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飛べ!ペンギンが如く。

作者: 春野宵詩

デブでちっこくてトロい。あだなは

「ペンペン」




花よりご飯。

男より肉。

恋って何?



そんな女の子が恋をした。

相手はイケメン。

女慣れしてる男に振り向いてもらうべく!




立ち上がれ!

ペンペン。




*--------------------------------*


「なんじゃこりぁぁ!?(°□°;)」


「何って、ペンペンをモチーフに小説書いてみたの♪(≧∇≦)」




神崎結菜かんざきゆいな19才。


身長155センチ。体重85キロ。


恋愛経験ゼロ。


芸能ネタよりグルメに興味深々。


確かに見た目、中身共にペンギン。


でも、中身はペンギン程働きません。

(ペンギンに失礼なので言っておく)




服飾系専門学校の帰り、クラスメートの弥生やよいに連れられてファミレスに来たが、いきなり変な小説読まされ凹み中。



「弥生。これはつまり…」


「そ!調査させて頂きます。」



はぁ〜。


弥生。私と同じ歳、容姿淡麗、成績優秀。


実際学校でもモテモテで、モデルをやっているとかIT企業の社長と付き合っているとか…噂が絶えない女の子。



つまり、私の正反対なタイプと言える。


黙ってればアイドルのようなのに…やることなすこと『天然』な女の子。


私に毎日絡んでくるのも

「興味あるから。」らしい。





興味って…


小説ネタかよ!!(>O<)ノ”ぉぃ!




「で、早速だけど〜。あ、このパフェ私のおごりだから食べきってね。10分以内に♪」



「ギャラっすか」



「そ。で、ペンペン恋するご予定は?」



「ないない。相手が近づかないっしょ。小説のようなイケメンなんて有り得ないね。」



「ん〜?そうかなぁ?ペンペン確かにおデブちゃんだけど〜それなりに可愛いと思うよ〜」



「それなりってアンタ…微妙だな…」



「なんでいっつもヨレヨレ服着てんの?」



「なんでってラクだし、デブ服ってあんま種類ないし、服買うならお菓子買うし。だから自分で作った方が安いかなぁと思ってこの学校選んだわけだし。」



「なるほど〜料理人の道は選ばなかったのね〜」



「ん〜、料理は作りながら食べちゃって出来上がらなそうじゃん?私」



「ぷっ。確かに。出来上がっても客に渡らない気がする。」



イチゴとチョコたっぷりのパフェをたいらげ、カルピスを一気に飲み干す。


ぷは〜っ。シアワセ。8分で約束死守。



弥生は何やらメモを取りながら、満足そうに私の食べっぷりを見ていた。



「ペンペン!私からもう一つプレゼントしていい?次行くよ!」



そういい終わるか同時かくらいに伝票を取ると席を立つ。


また弥生のいつもの『思いつき』だ。



「そんなに食べたら夕飯食べられなくなっちゃうよ〜(>_<)」



「バカ!食べ物じゃないよ。(-"-;)」



*-----------数分後------------*



「じゃあ、思いっきりいっちゃいまぁす」


「やっちまって。」




弥生に引っ張られてきたのは、最近話題になっている美容室。



弥生は既に常連だったらしく、店長と名乗る二十代後半くらいの男性美容師のもとに連れて来るや否や、有無を言わせず私を座らせた。


「え?切る?バッサリ?」



「うん。大丈夫ショートにはしないから。ペンペン丸すぎて似合わないしね。」



「悪かったわね!!」




私は戸惑いで頭の中真っ白だというのに。


美容師は華麗なるハサミさばきで背中まであった黒髪が肩のラインまで切り揃えた。


後ろで弥生は何やら美容師に指示をしている。




30分もしないうちに軽く仕上げられた頭髪の太め女性が目の前に現れた。



「うわ…短くなってる…」



「うん。似合ってるよ〜ペンペン。予想を裏切らないね。」



確かに…デブってだけで暑い印象だった私が、少し爽やかに見える。


しかも、気のせいか?顔のラインが細く見える?




「あ、気づきました?この髪型、顎ラインをシャープに見せることで小顔になるんですよ。お客様はもともと顔が小さめなので効果テキメンでしょお?」



美容師さんが得意気に説明してくれる。


丸いけど顔は小さかったのか…私。


少し照れた。







「弥生、散髪代…結構かかったんじゃない?」



美容室を出て、駅までの道。



仕事帰りのサラリーマンや学校帰りの学生の姿がごった返している商店街。



「ああ、大丈夫。タダだから。ま、タダより怖いものもないんだけどね〜。」



「た…タダ?!」



「うん。店長に貸しがあったから。」




弥生…あなた一体何者ですか?


人混みの中でもすぐに目を引く雰囲気の弥生の背中を追いかけて


ふとショーウィンドーに映った新しい髪形の自分と目が合った。


私ももう少しだけ女の子を楽しもうかな…







*-------次の日--------*



朝から弥生のリポートは炸裂した。


この学校では日常茶飯事。


今や美人がデブにつきまとう姿を誰も疑問には思わないらしい。


通称『美女と野ペンギン』




「ペンペンさん!やっぱ髪切るとスカートをはきたくなるものなんですか?」



「たまたまです!今ズボン洗ってるの!」



「ペンペンさん、女の子に目覚めました?」



「だから、スカートはたまたまですってば!」



「ペンペンさん、恋したくなりました?」



「もう〜しつこい!じゃあ相手のイケメン連れてこーい!」



「じゃあ次、痩せてみて。」



「へ?」




驚いて振り返ると、いつになく真面目な顔をした弥生。



弥生はすぐに笑顔になると、いつもの口調で



「なんてね〜、ペンペンはおデブじゃないとペンペンじゃないもんねぇ〜えへっ(≧∇≦)」



……なんかムカついた。



「えへっ って…弥生は可愛くてキレイで痩せててモテモテだから、私の気持ちなんか分かんないんだよ!私はデブだしペンギン体型だしトロくて暑苦しいんだから食べ物が恋人なの!悪いか!?痩せるのだって、そんな根性出すなら死にそうなくらいご飯食べてた方が私らしいんです!!」



言った自分でも逆ギレだと思った。


でも、それでも…容姿端麗な弥生の勝ち誇った顔に腹が立った。



「…ぷっ。悪くないよ。ただ、そんなに自分を卑下するくらいなら痩せてみればいいじゃん?

って思ってさぁ〜。ペンペンの人生だもん。ペンペンの好きに生きればいいんじゃん?」




あれ?なんか違和感…。



弥生がいつもと少し違って見えた。



「弥生の言ってることは正しいって判ってるけど。自信ない。」








今日は弥生がチャイムと同時にバタバタと帰って行ったので、一人で帰ることになった。



「時々、弥生って忙しそうに帰っていくよなぁ〜」



そういや、私 専門入って半年経ってるのに弥生以外に仲良いい友達っていないや…



今更なことを考えながら家路を急ぐ。



確か冷蔵庫にケーキがあったな…



冷蔵庫のケーキを思うと、今朝弥生に突っ込まれたフリルの付いたスカートがフワリと揺れる。



足の太い私が、スカートを履くのは入学式以来だ。




「弥生じゃなくても突っ込むよなぁ」



ダイエット…やってみようかな…。




考えてみたら、私のスタイルに駄目出ししてアドバイスしてくれる人って弥生が初めてだ。



今まで友達になってくれた子は、なんとなく『大人しく暗い雰囲気の子』とか、『いかにも自分を引き立てる相手を選んでいる子』だったから、逆ギレも初めてだった。



友達…か…。


なんか変な気分だ。



嫌ではなく、でもやっぱ弥生のあの目で言った言葉はちょっとグサッときたけど…でも嫌じゃなくて…



……くすぐったい?



家の近くの本屋に立ち寄り、ダイエットの本を立ち読み。



「色々あるんだ…」



今更だけど、ダイエットって1日やって(やった気分になって)終わった過去を思い出す。



「向いてないんだよなぁ…」



ため息がこぼれた。



「あれ?昨日のお客さん?」



「へ?」



振り返ると昨日弥生に連れて行かれた美容室の店長が立っていた。



「あ!それ。弥生ちゃんになんか言われたんでしょう?」



「あ…」



なんか恥ずかしい。



こんなデブがダイエット本なんて見てたら誰だって思うハズ。



「今更遅いよ…とは思わないで。」



「へ?」



心の中読まれたようでドキッとして店長を見る。



「昔、弥生ちゃんに俺言われたんだ。昔っつっても2年前?」



店長はクスリと笑うと



「弥生ちゃんは人を変える天才だからね。」



そう言って「じゃあ」と出て行った。




……今更遅いよ。とは思わないで……




頭の中に繰り返し入ってきた言葉に背中を押されるように、ダイエットの本を購入することを決めた。





*---------数週間後----------*




「なんか、いい感じに痩せたね?」



「え?そう?」



弥生がジロジロと見てくる。


なんか観察されているその視線が痛い。



「ふふっ。可愛いくなってきた。」



弥生!あんたに言われたくない!!



でも、心の中が暖かくなる。



「あ・・・・ありがと・・・」




私が手にしたダイエット本は、基本中の基本のダイエットだった。



毎日2時間歩いて、食事も野菜中心にして、お風呂では半身浴で30分。



簡単なストレッチと食事制限。



店長に聞いたあの言葉が繰り返されて、頑張れていた。



その甲斐あって、5キロ体重が減った。




確かに一気に減る方法ではないが、身体のために注意事項がこと細かく書かれていて。



痩せた時に綺麗な身体になるようなアドバイスがシッカリと書かれていたから。



よく見ないで選んだ本だったけど、なんかイイモノ選んだ気がした。




「そういえば、弥生って2年前から店長さんと知り合いだったんだね?」



ふと店長の言っていたことを思い出す。



「うん。初めて店長と会った時は、あの人まだ店員なりたてでさ〜。腕は確かにいいんだけど、なんていうか『自分に酔ってる』そんな感じだったんだよね〜。」



「へえ。今と全然違うね。」



「そう?まだまだナルだと思うけど?」



え?そうかな…(− −;)



「でも…随分頑張っていたよ。だから成功してるんじゃない?」



ああ…



「って、貸しってもしかして弥生のアドバイス?」



そう言えば、店長がそんなことを言っていたような…



「ははは。違う違う。貸しは〜あの店の宣伝。」



「うへ?」



宣伝?



以外な回答に目が点になっていたのだろう。



私の顔を見て、弥生は再び噴出すと



「私、店長試験のモデルやったの。で、そのことをまあ、ちょこっと宣伝してあげたんだな。」



モデルかあ…なんか納得。



弥生、綺麗だもんな…。



綺麗な人が『あそこ良いよ』言えば誰もが納得するかもしれない…





「あ!そうだ。ペンペン。あと10キロ痩せたらさ〜ちょっと付き合って。」



「じゅ…10キロ!?そんなの何年先になるかわかんないよ!」



「そうかな?私の予想だと、あと半年ってとこじゃない?」



「半年??無理でしょ〜?」



「まあ、いいわ。とにかく10キロ落ちたら、私先約だから。覚えておいてね!」



どうせ、例の小説ネタか…?



「あと。足、綺麗になってきてるんだから!スカート履きなよ!毎日」



「えええ?犯罪じゃないっすか?」



「だから〜犯罪じゃなくなってきてるから、スカート薦めてるの!解れ!!」



「うーん…」



「夏だしさ。周り見てみなよ。結構、足太い子でもミニ履いてるから。目立たないよ」



そうは言っても、ちょっと抵抗が…。






今更遅いよ…とは思わないで

弥生ちゃんは人を変える天才だからね





はぁ〜。やってみるか。






体重がドンドン減りだして、弥生の魂胆とは別の意味でスカートが重宝しだしていた。



お気に入りのヨレヨレズボンはウエストが合わなくなり。



新しい服を作ってもすぐにサイズが合わなくなるので、無意識にもワンピースに手を付けた。



夏はワンピースの種類も豊富なだけに、作るのも着るのも抵抗を感じないで済んだ。







そして秋が終わろうとしている頃。



「あと3キロで弥生が言っていた10キロに達する。」



「お!思ったより早かったね!」



「うん。自分でもビックリしていて。もうワンピースばっかりもなぁ〜って思っていたから、服新しいの作らなきゃなんだよね。」



「じゃあさ!半ズボンにしなよ!」



「えええ?お尻の肉が。。。犯罪じゃない?」



「ばか!お尻は女の武器でしょう!?」



「でも、15キロ落としたところで、まだ70キロあるんだよ!!私!!」



「だから、足見せろって言ってんじゃん?まだ解んないの?スカート履くようになって、一気に体重減ってたのが。」



「あ・・・そういえば。」



「あのね。人間てのは、見せることで見られてる感が働くの。見られてると思うとドンドン綺麗になっていくの!」



「ウェイトレスの人が細くて綺麗な人多いのはそういうこと?」



「そ。そういうこと。」



なんか、弥生の説明に感動を覚えつつ


また弥生の策略に乗ろうと思った。




「ねえ。弥生。」



ブーーーーブーーーーー



弥生の携帯がいきなり鳴り響いた。



「あ、ごめ。・・・・もしもし。」



慌てて席を立った弥生



「ええええ!!!今から?!ありえないから!なに?・・・・うんうん。」




弥生って何してんだろ?なんか変な友達でもいるんかな?



やっと『友達』って思える人に出会えたと思ったのに



私って全然弥生のこと知らない。



時々急いで帰る弥生。



知らない所で感謝されてる弥生。



なんでも知っている弥生。



私の・・・



あれ?これじゃ私『恋』してるみたいじゃん?



はは…友情と愛情って似てたんだ…



「ごめん。ぺんぺん。ちょっと付き合って貰っていい?」



電話を終えた弥生が必死な表情を浮かべてる。



「うん?」










なんだか地下鉄を何度か乗り換えた。




とにかく階段を上ったり降りたりした。




記憶が飛びそうなくらいに足がガクガクしている。




疲れ?




違う。




いや、それもあるけど…




「なんですかーーーーー?!ここは???」



煌びやかすぎる洋館風建物!



無意味なくらいゴージャスな飾り花!



デカすぎるだろ?なシャンデリア!



「ん?今私が取り組んでる仕事現場よん♪」




「し…仕事??」


「そ。私、こういう者です。」




弥生は胸ポケットから名刺を一枚取り出すと私に手渡した。



-----けいえーこんさるたんと-------



「経営コンサルタント!?!?」



「うん。で、今回はこのエステの仕事を任されていてさ〜」



「え?モデルとかじゃなくて?」



「モデル?無理でしょう…私じゃ。ははは…」



「いや…十分すぎるほどいけると…噂もありますし」



名刺に釘付けの私をよそに、またマイペースに店の店長らしき人と話を始めている。



「あ、弥生くん。もしかしてこの子が例の?」



「そう。自力でここまで痩せたんですよ〜」



「確かに写真よりスリムになってるね」



弥生と40代前半くらいの女性店長の視線を受けていることに気づき、戸惑う。



「え?弥生…くん?」



あれ?



「はは(>▽<)私〜こんなだけど〜男の子なの!てか、その名刺見ろ!」



「ええええええ!!!!」



「てか、ペンペンだけ知らない感じで〜超ウケてたんですけど〜」



「えええええええええ!!!!」



「私の名前、弥生雄介やよいゆうすけじゃんか!!」



「えええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」



あれ?そうだっけ?


あれ?



名前?


弥生って下じゃなくて?


名刺?



マジだぁ!



「もう!入学の自己紹介の時ペンペン居なかったから分からなかったんだろうけど〜クラスのみんなが言ってたのはウワサじゃなくてイヤミだったんだよ〜。ま、ペンペンのお陰で凹まずに済んだんだけどね〜。」




…って…そうか…痩せろって言われた時の違和感ってこれかぁ…



ん?



じゃあ、何?



私の女の本能は弥生を男だと察したわけ?



え?私の本能って食べ物以外にもあったわけ?




………あ!



違う。



あの時、私『女の子』だった。



髪型変えて貰って



浮かれてて



スカート履いて




弥生が私を女の子に戻してくれてたんだ。




「そゆわけだから。ペンペン、明日までにデザイン20〜30種類書いて来てね。」



「え?」




「だから!この店で使うお客様服書いて来い!!聞いてる?」


「えええええ?」




「お前さ〜ずっと自分のワンピース作ってたんだから、もう分かるでしょ?太め体型にも似合う服くらい。」




まぁ、確かに。



自分の為にひたすら作ってたわけですから…




って…



あれ?



これって、仕事?




「ギャラは20万でいいよね。」




し…



し…



仕事なのね〜!




「私でいいんですか?」




おそるおそる尋ねた私に店長が笑って答えた。




「そのワンピースでもいいくらいだわ。期待してるわよ。新人デザイナーさん♪」




「バカ!自信持て」



弥生が私の頭をフワリと撫でた。






なんか嬉しい。




自分の服を作る為に服の勉強しようと思って、それが今他人に認めて貰えて。




私、頑張る!




「必ず、お役に立ってみせます!」




心の底から、あったかい気持ちが湧き上がってきた。









「なんで弥生、私に本当のこと言わなかったの?」




帰りの電車の中で、つり広告をボーっと見つめる弥生は、目線をそのままに答えた。




「お前、俺が男だって知ったら今みたいになついてくれなかったじゃん?」




「てか、女言葉辞めたのね…」




「もう必要ないしね。それに、別に女服着てなかったんだけど?俺。」




「確かに…いつもパンツだね…」




「そ。女顔で細いから女っぽく見えるだけで、実際ピンクとか似合うから着てたのも悪いんだけどさ。」




「うん。でもピンク似合う男の人って、本当にカッコイイ人なんだってね。」


「それって、告白?」




「はぁ?一般論です!」




怒った風に見せたものの、さっきまで何故女だと思い込んでいたのか分からないくらい、今は弥生が男の子に見えて



なんか恥ずかしくなった。




「なに?今更?照れちゃった?」




私の様子に気づいた弥生がからかう。




「バカ!今更って思っちゃダメなんだよ。」




そうだ。



今更なんて思っちゃダメなんだっけ。




てか、コイツの言葉だったんだよな…










*-------一年半後--------*




「ペンペン!見たよ〜。ファッション誌の新人デザイン賞おめでとう〜」




「ありがと。自分の体型が功を奏した形になったんだぁ。」



「でも、ホント痩せたよね!」




ペンギン体型だからペンペンだった私は、弥生の助けもありエステのお客様服を作り上げ、思ったより高評価でお礼にと無料エステを一年間続けた結果、今は体重55キロまで痩せた。




エステの仕事は、私のデザイナーという夢を生み、気づいた時には自信のない、やる気のない私は消えて、弥生以外のクラスメートとも打ち解けられるまでになり…




弥生のコンサルタント能力って凄いと…本屋の時の美容室の店長の気持ちが実感に変わった。






「ペンペン!次の仕事これね!」




「今度はビッグサイズ専門洋品店?!てか、弥生ネクタイ曲がってる」




「直して」




「もう。」




あれ?このネクタイ…




今日の私の服と同じ?




「ペンペンの布わけて貰って良かったよ〜」




「い…いつの間に!」




「だって、卒業する時はペンペンとお揃い着たかったんだもん。」




自分でも赤面するのが分かった。




凄い嬉しくて




凄い恥ずかしくて




凄い…やっぱ嬉しい。




「ペンペン、これからも傍にいていいかな?」




覗きこむ弥生の目は真剣で、でも優しくて




「しょーがないな〜」




私はまだ、素直にはなれないけど



ずっと傍で見ていたいと思った。









「ところで弥生って、なんでうちの学校入ったの?」




「あれ?俺、ペンペンと同じ高校だったの知ってる?」




「え?!初耳」




「どんだけ俺を知らないんだよ!ムカつく!」







*-------おしまい--------*



初めて投稿する話です。まだまだ勉強不足で、最後まで読んでくれた人には…マジで感謝申し上げます。(ToT)ありがとぉ!

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[一言] はじめまして、トキ イチロと申します。 読ませて頂きました。 太めの女の子が主人公という、少し変わった設定で、冒頭から引き込まれました。 ペンペンも、ごくフツーの女の子、という感じが良く…
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