手紙
小説と言い難いかもしれません。
拝啓
ご息災であられますでしょうか。あの時に私の夢が潰えてから、どう生きようかと迷う毎日です。夢が今までの私の生きる原動力でありましたから、何か心にぽっかりと穴が開いたような気分です。
つい先日、町へ出かけることがありました。町を行き交う人々は、それぞれ他人に目を向けることもありません。それは別にかまいませんが、迷子になって泣いてしまった子供ですら彼らは気にも留めません。無関心とはこれほど恐ろしいものなのでしょうか。それ以上に私は、自分のこれからについてもっと不安を募らせてしまいました。あの子供に、なぜ誰も手を差し伸べなかったのでしょうか。その子が、隅っこで蹲っていたからでしょうか。それともその子供が泥だらけでばっちぃからでしょうか。それともその子はその街で有名な羊飼いだったのでしょうか。それでも家の場所はあの子も知っているはずです。あの子が泣いてしまっているのなら、今の私はどうしたらよろしいのでしょうか。
そんなことを考えていると、そもそも行動の原動力が夢であるというのも少し間違っていたようにも思えてしまいます。私が思うに、この世界には2種類の人間がいるのです。夢に生きる人と夢を追う人。前者は、私でした。夢を原動力として生きている人たち。後者は私がなるべき方でした。
きっと、私はもう夢を見ることは無いでしょう。なぜだかそんな気がしてなりません。もし次そういうものを見つけたとき、私はそれに依存してしまうでしょう。性懲りもせずまた夢に生きてしまう。それが怖いのです。でも、おそらく皆さんそうです。確かに2種類の人間しかいませんが、彼らの中にも私のような人がいる。けれども3種類目の人間ではない。
これから、私の人生に何があるかわかりませんが、それでも一生懸命生きてみようと思います。心の穴は恋でもして埋めてみるのもいいかもしれません。相手に依存してしまうかもしれませんが。
敬具
こういうのを書いてみたかったんです。いろいろと考えてもらえると幸いです。