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3−5.狂犬JKちゃん、未知との遭遇を果たす

「うふふ、わくわくするわね、ヴィヴィアン?」

「ウサギさんクラスの逸材かもしれないものね、モルガナ?」


結論から言うと、妖精姉妹はエイリちゃんに種を与える事に対してノリノリであった。


「久々の魔王サイドの人間だわ、ヴィヴィアン」

「《上位者(アークス)》なんて何年ぶりかしらね、モルガナ?」


そそくさと準備を進めつつ、妖精たちはなんやかんや楽しそうだった。


「《上位者(アークス)》ってどんな種なの?」


カルシャが尋ねると、妖精たちは喜々として説明してくれる。


「《上位者(アークス)》は聖女や聖人より高位の存在よね、ヴィヴィアン?」

「より超自然的な力を扱い、それでいて人の身のままなのよね、モルガナ?」


立ち位置としては人サイドの災厄くらいらしい。


魔王に至るほどではないが、元の種族のままでかなりの強化。


人の身のままで至る最高峰、といった所らしい。


「《超越者(リミットブレイク)》まで行ってしまうと、人らしさが消えるのよね、ヴィヴィアン?」

「あれは最早世界のルールに近づいているものね、モルガナ?」


序列的な役割の話らしい。


そうすると、魔王の種も世界のルールとやらに絡んでいそうな気もするが。


「魔王サイドはルールの影響が薄いのよ。ね、ヴィヴィアン?」

「魔王サイドは元々少し理から外れた存在だもの。ね、モルガナ?」


ふぅん。


そんなものなのか。


まぁ、確かに異形であるゲッコウも十分人間臭いしな。


「さて、準備ができたわね、ヴィヴィアン?」

「これで種を与えられるわね、モルガナ?」


魔術の準備が整ったらしい。


床には妖精糸で描かれた幾何学模様。


異世界文字で色々と描かれているが、カルシャには断片的にしか読み取れない。


「“運命を紡ぐ者”、“切り取られし定め”、“破滅への願い”…」


内容はさっぱりだけど、前にやった時、こんなんしてたっけ?


「ウサギさん、少しは読めるみたいだわ、ヴィヴィアン」

「魔術も扱えるかもしれないわね、モルガナ」


妖精たちが何か囁いた気がしたが、カルシャには聞き取れなかった。


妖精たちは幾何学模様の真ん中に立つと、エイリを跪かせ、それから手を繋いで唱える。



「「最古の魔術よ、我等の友に加護を授けよ、《妖精女王の神託(グランギニョル)》」」



途端、幾何学模様が輝く。


意味のある言葉の群れ。


一節ごとに明滅し、意味を成しては消えていく。


前に与えられた時は気付かなかったが、きっと同じ事をしていたのだろう。


魔王としての知識が増え、知覚できる事が昔より増えたのだ。


だから、妖精たちが扱うコレが、ギフトでない事はよく理解できた。


そしてソレは一瞬で終わった。


「私の贈り物は《上位者(アークス)》」

「私の贈り物は《神威の辻(ディバインスラッシュ)》」


エイリの資質は一つのみ。


従って、妖精たちからの贈り物の一つは上位者ギフトとなる。


「これで種の贈与は完了ね?」


確認すると、妖精たちは妙に満足げな表情をしていた。


「滞りなく終わったわ。ね、ヴィヴィアン?」

「最強の臣下が誕生してしまったかもしれないわね、モルガナ?」


ほほう。


双子がそこまで言うからには、かなり当たりギフトなのだろう。


「エイリちゃん、新しいギフトはどんなギフトか解る?」


上位者ギフトについては、正直情報がない。


一覧表から見ても、ざっくりとした情報しか読み取れないし。


神威の辻(ディバインスラッシュ)》ってどんなギフトなんだ?


「えぇと…斬撃を色々弄くれるギフトみたいです」


エイリが把握できた情報をまとめると、こんな感じだ。


使用すると一定時間、発動し続けるタイプのギフトで、任意の自分の斬撃を変化させる。切っ先を伸ばす、斬撃の当たる幅を拡げる、斬撃をその場にしばらく固定する、空間を隔てて斬る、の4つを斬撃毎に選ぶことができるそうだ。


…かなり有能じゃない?


近接戦闘はもとより、かるく遠距離戦闘も可能とか。


エイリの戦闘センスと合わせれば、これほど便利なギフトは無いと思う。


妖精たちが自慢げな訳だ。


上位者としての能力補正、多機能便利ギフト、生来の戦闘感覚。


これは強い(確信)。


「これで勝つります」


…間違ってもアンタはタンクじゃないでしょうに。


どっちかっていうと、アンタは侍とかのアタッカー系よ?


ま、とにかくこれでエイリちゃんの戦力は大幅アップしそうね。


…ついでに、ゲッコウとも喋れるようになってしまったけど。


「エイリちゃん、上位者化おめでとうやで!」


鞘から抜け出しパッカーン!


呼ばれて飛び出てゲッコウやで!


実際は飛び出るどころか鯉口すら切っていないが、刀を下げていたエイリちゃんの表情はそれくらいの驚愕度合いだった。


「?!刀が喋った?!」


すばやく腰から外し、距離を開けるように掲げるエイリちゃん。


「我が銘はゲッコウ・レプリカ!魔王の魂を宿す神剣やで!」


畳み掛けるゲッコウに対して、エイリちゃんは酷い表情をした。


「…なんかキモーイ」


まさに汚いモノを見る目。


これには図太いゲッコウさんもたじろいだ。


「な、なんやとぅ?!」


汚物を眺める視線のまますばやく抜刀、エイリちゃんはゲッコウを構える。


「刀が喋るとかマジ厨二病ぢゃん!あり得なーい!」


そして全力素振り。


「あばばばばばば」


ぶんぶんぶぶぶん!


「消えろー!刀の邪念ー!消え去るのだー!」


邪念て…。


まぁ…邪念、みたいなものか。


でも、刀に写された魂が、その程度で消える訳もない。


「…残念だけど、ソイツはそう簡単には消えないわよ?」


ただの素振りのされ損である。


「オゥウェエエエ…」


「き、きちゃない…」


吐き気を催すゲッコウに対して酷い物言いだった。


「…まぁ、仲良くやんなさい。これは魔王の命令よ」


それでもゲッコウが名刀なのは間違い無い。


「マジっすか、お姉様…」


「大マジよ、妹分」


「…名刀なのは間違いないし、我慢するかぁ」


「あ、改めて、よろしゅうな…」


ゲッコウさんは精神的に息も絶え絶えだった。


「知識の宝庫なのは間違い無いから、上手く活用しなさい?」



後書きウサギ小話

どこで習ったの?編



「お姉様、異世界の文字も読めるんですね」


「《知識の紙魚(ナレッジイーター)》っていうギフトのおかげね」


「どんなギフトなんです?」


「簡単に言うと、他人の知識の一部を奪うギフトよ」


「だから色々と偏って詳しいんですね」


「なんか転生者って変わり者が多いみたいなのよねぇ」


「え?そうですか?」


普通のキャラじゃ生き残れないからだよ!物語的に!


完!


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