表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/143

3−4.防腐済みようじょさん、正式に復活する

頬が冷たい。


目を覚ますと、僕は地面で寝ていた。



なんでこんなとこで寝てたんだっけ…。


あ、そうか。


僕は地虫に殺されたんだっけ。


じゃあ、ここは地獄かな。


そう思って目を開ける。


あれ、違うっぽい?


普通の土の地面だ。


霞んでいた視界が段々とクリアになる。


周囲の人だかり。


ウェアウルフたち。


目の前には、よく知った匂い。


!!


カルシャ、姉…!


その瞬間、意識が切り替わる。


顔を上げる。


そこには、求めて止まない主の姿。


カルシャ姉…!


知らず、口元が緩む。


ニヤケそうになる顔を引き締めて、上半身を起こす。


「カルーーーー」


「ーーーーアンタ、名前は?」


だから、その言葉はものすごく鋭い。


見知らぬ敵を見定める目つきで、カルシャ姉は僕を見ていた。


なんで。


息が止まりそう。


心臓が縮こまる。


なんで、そんな事言うっすか。


何も言えずにいると、カルシャ姉は詰問を繰り返す。


「ーーー良いから、名前を言いなさい」


あぁ、なんて冷たい声色。


視線を地面に落とす。


僕は一体何を見ているんすかね。


僕は死んで、やっぱり地獄にいるのかも。


期待して損したっす。


僕の名前は。


「ーーーエリス・レッサカルシャ」


想いに囚われたまま死んだ者。


だから、こんな地獄(こうけい)を見せられているのかも。


夢でもそんな目で見られるなんて、嫌っすよ、カルシャ姉。


あぁ、顔を上げられないっす。


もう一度。


もう一度、あんな冷たい目をされたら、僕は立ち直れない。


だから。


「…無事に、戻ってきたみたいね」


だから、そんな優しい声を出さないで下さいっす。


心は怖がっているのに、身体が勝手に動いちゃう。


あぁ、顔を、顔を上げないで。


冷たい目が、見えちゃう。


心が砕けちゃう。


ダメ、ダメっすよ。


これは地獄。


期待したら裏切られるっす。


あぁ。


でも。


抗えない。


ついに僕の目線は再び上がり、カルシャ姉の顔をしかと見た。


その、表情は。





「カルシャ姉ー!」


叫びと跳躍は同時だった。


問いかけに、名前を答えたエリスは、間違いなく本人。


なによりこの表情が本物でなければ、何が本物だというのか。


飛びついてくるエリスに対して、カルシャは両手を広げて応えた。


ひしっ!ゾワッ!


「ひゃっ!冷たっ!」


ぶべらっ!


そして一瞬でハグ終了。


冷血死体であるという事を忘れ、本能のままについつい投げ捨ててしまった。


痛くない筈なのに痛そうに頭をさすり起き上がるエリス。


「何するんすかもー!」


「ふっ、アンタが冷たいから悪いのよ?」


「当たり前のような責任転嫁?!」


売り言葉に買い言葉、縦板に水のようなやり取り。


「ちゃんと適温で抱きつきなさいよね」


「無茶言わないでっすー!」


お互いに自然と目が合い、心の声がまろびでる。



「「こ、このやり取り、超絶しっくりくる…!」」



あぁ、これよ、これ!


久々だけど、エリスとのこのバカらしいやり取り!


癪だけど、めちゃくちゃしっくりくるわ!


思わず目頭を押さえる。


その一瞬で、エイリちゃんがすっとカルシャの前に立った。


「起き抜けで随分やりたい放題だねぇ、…この駄犬」


「あぁん?カルシャ姉一番の下僕に向けてなぁに文句つけてんだぁ…新入りか?」


インテリヤクザ風狂犬vsチンピラヤンキー風駄犬の開幕である。


目線にバチバチ火花。


人が感動してる余韻を乱すなよ、バカ犬どもめ。


そんなカルシャの気持ちを他所に、新旧犬対決はヒートアップしていく。


「お姉様の一番の臣下と言いつつ、さっきまでおっ死んでたの、どこのどいつかなぁ?」


「新入りが舐めた口聞いてんじゃねぇぞ」


エリスが詰め寄りメンチを切る。


「…このクサレ死体が」


エイリの目がゴミを見る目だった。


「あぁ?殺るか?」


鉤爪シャキーン。


「そっちこそ、もう一回死体になる?」


釣られて抜刀シャキーン。


一触即発の雰囲気の睨み合いは、しかし一瞬だった。


「黙りなさい、騒がしい」


カルシャの高速打撃が両者の脳天を叩いたからである。


「ふぎゃっ」


「あべし」


それぞれ文句を言うが、カルシャには関係ない。


「か、カルシャ姉ー、何するんすかぁ…」


「痛いです、お姉様ぁ」


安定の魔王ムーヴで否応なく命令する。


「煩い、黙れ、跪け、頭を垂れろ、この駄犬狂犬が!」


結果的に、仁王立ちするカルシャの前に、エリスもエイリも正座する事となった。


ショボーン。


カルシャに怒られて本気ヘコミの二人だが、カルシャは気にせず話を進める。


「エリス。アンタは不死種ヴァンパイアとして覚醒した。身体の改造はこの通りよ。把握しなさい」


「わ、わかったっす…」


エリスには改造内容を纏めた書面。


身体の詳細くらいは自分で把握しなさいよね。


「で、身体の状態について、後から報告すること。良いわね?」


不死種については、それを以て情報把握する。


その点については正直判らない。


エリスの情報伝達には不安しかないけど、まぁ仕方ない。


閑話休題。


「アンタたち二人にはもっと強くなって貰わなきゃならないのよ」


この二人は、今後の主戦力になってもらわないといけない。


「私だけが強ければ良い時間は終わったの。アンタたちはその先駆けになって貰う」


一神教の司祭どもに対抗するには、私だけじゃダメだ。


魔王としても、魔王軍としても強くなければ、淘汰されてしまう。


「だからエイリ。アンタには新しい力をあげるわ」


そのための改造と妖精。


「新しい、力…」


エイリちゃんには種を与える。


「そう。上位者の力よ」


こういう真面目な話をしてるってのに。


「あ、足がビリビリするっすぅ」


コイツは…まったく。


正座で足が痺れたエリスがコテンと倒れる。


ったく…死体のくせに、足痺れさせてんじゃないわよ、もう!



後書きウサギ小話

初心者向け?編



「だからエイリ。アンタには新しい力をあげるわ」


「新しい、力…」


「そうよ。新しい力を得るには、この妖精さんのギフトガチャを回すの。今回は特別に私が対価を払っておいたわ!」


「ソシャゲのチュートリアルガチャ!?」


ガチャガチャ・・・


キラーン!


デデン!


SR《上位者(アークス)


「やっぱり才能あるわね、エイリちゃん!いきなりSRとかチートだわ!」


「チュートにありがちなプレイヤーに才能ある設定!」


初期の高レアほどゴミクズ説!


完!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ