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2−34.悪夢の魔王さま、宣戦布告を決意する

その晩、ツワブキが帰還した。


魔眼はまだ痛むが、カルシャは報告を聞くことにする。


臨時の御前会議だが、皆すぐに集まってくれた。


「ご苦労さま。無事で何よりよ、ツワブキ」


労いの言葉をかけると、ツワブキは頭を垂れた。


「ありがたきお言葉」


「早速報告してちょうだい」


カルシャが促すと、ツワブキは報告を始める。


「ではまず、持ち帰ったモノの報告から」


ツワブキには情報収集の他に、資金と人材、装備を調達するように指示していた。


まずはそちらからという事だろう。


「資金についてはこれくらいでござる」


ドサリ。


聖都金貨の入った革袋が机に置かれる。


しかも複数だ。


付き人も増えてるし、コイツは何してきたんだ。


「ざっと10万S(シャール)くらいあるはずでござる」


かなり大金じゃないの。


商人何人か破滅に追い込んだか?


「なぁに、ちょっと司祭の献金をちょろまかしただけでござるよ。はっはっは」


「……詳しくは聞かないわよ」


聞いてもしょうがないし。


で、その付き人は何なの?


「この者たちは、小生がカルシャ殿の臣下として勧誘した者たちでござる」


全員は入りきれず、大半は広場で仮設テントを設営中だ。


「全部でおよそ30人。殆どが転生者。それなりに装備品も持参しているでござる」


なかなか大所帯だな。


また増築が必要か。


あとは選別だけど…ツワブキセレクトだから、そこは大丈夫かな?


まぁでも、顔合わせがてら一応確認しておくか。


「とりあえずギフトと名前は直接確認するわ」


「御意」


で。


重要なのは最後。


一神教の情報は持ち帰ったんでしょうね?


「勿論情報はバッチリでござる」


「さっさと聞かせなさいよ」


ツワブキはまず地虫の出処について語りだす。


「エリス殿が戦った狂信者は、聖都東門街区で処理された」


一神教の本拠地か。


東門だとレソルガ樹海からは一番近い門だ。


聖都アラスラクトは中枢街区を中心に、周囲に四方門都市と巨大要塞である四方角都市で構成される。


内部はモンスターがほとんど居らず、大半が広大な農地。


中枢には選民、他には農地労働者と外敵対応のための戦力。


外道な事は中央でやらずに外庭でやる訳ね。


砂漠の地虫は端からそういう目的のために飼われているという事なのだろう。


「特別司祭のジノス・ギアという者が異端審問官を兼ねており、各地で処理を行っているでござる」


そこからツワブキが詳しく話してくれる内容は、一神教が異端だけでなく学者や学徒、世界を暴こうとする転生者まで、秘密裏に処理しているといったもの。


いよいよ聖職者とは言いづらい。


魔物なき、魔王なき平穏なる神の世とは聞いて呆れる。


異端の処理という名目の元、都合の悪い者を積極的に始末している訳だ。


どっちが邪悪なんだか。


ツワブキは特別司祭なる者の予定も調べてきていた。


流石有能な隠密(ナイスニンジャ)


「ジノス司祭は専属の処刑配達人(ドラゴンギフター)とともに移動しており、今後のスケジュールはこの通りでござる」


羊皮紙に記されているのは連番と街の名前。


日数と滞在場所なのだろう。


2、3日毎に移動する事になっている。


これを見る限り、本当に各地を飛び回るらしい。


ドラゴンに乗って移動するとはいえ、かなり目まぐるしい予定だ。


一神教にとっては、それだけ各地に処理すべき異端者が多いのだろう。


レイジやツワブキみたいに、少し賢い転生者ならすぐに気付きそうなものだしね。


「すぐに狙うならケラスかしらね」


ここからの移動時間、街の警備度合いを考えると、あまり聖都には近付けない。


こっちは魔王とその臣下だから、近づきすぎても危険。


そこを考慮すると、ケラスの街ならチャンスがありそうだった。


「最短で攻めるのであれば、そうなりましょうな」


ツワブキもそこが狙い目だと思っていたらしい。


特別司祭ともなると狙えるタイミングはそうそう無いのだろう。


「リスクは多いけど、やらない理由はない」


やるなら確実にダメージを与えなければ。


「一神教の警戒が強くなったり返り討ちにあう可能性もあるけど、それは承知の上ってことだね」


レイジの言うリスクも解っている。


襲撃に失敗すれば一神教の警戒度合いは上がるし、敵が強ければ返り討ちも確かにあり得る。


けど。


「トカゲの尻尾を狙っても仕方ないじゃない?」


今回に関しては、リスクを取らなければ効果がないのだ。


「確かに、いくらただの司祭を殺したところで、一神教には多少の嫌がらせにしかならないでござろうな」


ツワブキの言う通り、ただの司祭は所詮教義に心酔したただの聖職者。


替えのきく多数であり、一神教の体制を崩せるような駒ではない。


「だから大物狙いで行くわ」


敵対するならしっかりやる。


「勘違いしないで欲しいんだけど、これはエリスの敵討ちじゃないわよ」


これは弔い合戦ではない。


やる事はエリスの仇討ちでもあるが、主眼はそこじゃないのだ。


「これは魔王アーデカルシャに売られたケンカ。言わば宣戦布告。黙って見過ごす事は出来ない」


これは魔王を敵に回した事による報復なのだ。


「生きる以外で戦いに出る事になるなんて思っても見なかったけど、私も魔王としての自覚が出てきたのかもね」


私の臣下を勝手に殺した報い、しっかりと代償を払わせてやる。


「だから、アンタたちにはしっかり付き合ってもらうわよ?」


アンタたちは、この魔王アーデカルシャの臣下。


だから、その命を賭けてもらうわ。


「嫌とは言わせない。ちゃんと付いてきなさいよ?」


後書きウサギ小話

リクルーター・ツワブキの苦悩、編



「志望理由を説明するでござる」


「ケモミミスキー」


「ケモナー」


「ケモミミようじょ最高」


「転生者にまともな奴はいないでござるか?!」


魔王臣下志願者の顕著な偏向性!


完!

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