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2−15.ようじょさん、たらたら文句を言う

カルシャたちがダイビング盗掘しているちょうどその時、置いてけぼりを食らったエリスは盛大にぶーたれていた。


「また置いてけぼりとか、カルシャ姉はしどいっすよ!」


御所の玉座にてジタバタ。


全身で不平不満を表現するようじょさんに対して、転生者傭兵は冷静だった。


「仕方ないだろ?不在時には影武者を置いとくってのが、カルシャさんの決定なんだから」


カルシャの決定は絶対である。


緊急時でもないのに、ここでそれを破る訳にはいかない。


「レイジもレイジっすよ!あの黒子鬼教官に側近ポジション盗られてるのに何も言わないで!」


そんな事言ってると、またツワブキにしごかれるぞ?


内心そんな事を思いながら、レイジはエリスの言葉を否定する。


「別に僕は側近ポジション譲ったつもりはない」


群れの多様化に従って、分業化しただけだ。


「でもツワブキの信頼度はうなぎのぼりっすよ?」


ツワブキには一神教の情報と、元・勇者候補の肩書に恥じない戦闘力がある。


カルシャが胡散臭いと言いつつも信頼するのは理解できるし、レイジが同じ立場でも利用する。


面白くない訳じゃないが、配られたカードを嘆いても始まらないのも確か。


ぐちぐち言ってカルシャの足を引っ張るより、前向きに考えるべきだ。


「適材適所って言うだろ?戦闘や諜報は彼に任せて、僕は他の部分でカルシャさんを支えるさ。同じ立場なら君もそうするだろ?」


エリスも解っている筈だ。


だから文句は言うけど、決定には従っている。


「そりゃそうっすけど…」


言葉を濁すと耳が折れる。


わかり易い奴。


打算的なレイジよりよっぽど従順で忠誠心がある。


「では、魔王さま。今日も現場の巡回に行きますよ?」





「そいえば、カルシャ姉が狩ってきたオオトカゲの装備ってどうなったんすかね?」


日課の見回りが終わりに近づいてきた頃、エリスはふとモンスター鎧の事を思い出した。


カルシャがレソルガオオトカゲを狩ってから、もう何日か経つ。


順調に行ってれば何か出来てきてそうっすねぇ。


ニーフェに聞いてみると、答えはすぐに返ってくる。


「モンスター由来の装備開発の件ですね?見に行きますか?」


「それは僕もみたいな」


レイジも気になるっぽい。


「こちらへ」


ニーフェの案内で、レイジと一緒に工房区画へ。


いつの間にやらしっかり出来上がってたらしい。


「工房区画も出来上がってたんだね」


石と鉄で出来た堅牢な鍛冶場。


金床とレンガの炉がいくらか並び、ギフトを持たない者でも簡単な補修が出来るようになっている。


工房班はまだいないはずなのに、既に何人かが作業をしていた。


「こちらは一昨日完成した部分です。外壁が片付いたので、少し手の空いた鉄茨工法組はそのまま工房で開発に回ってもらっています」


製鉄と加工の組らしい。


居住区の方も躯体は出来ており、今は木材を使った内装がメインなので、鉄関係は釘や道具を作るくらいしか仕事が無かったのだ。


雑談しにくるため、よく知っている顔もあった。


「あ、魔王さま…じゃないや、エリスさんか」


その内の一人が気付き、こちらへ寄ってくる。


ちなみに、臣下でカルシャとエリスの見分けがつかない者はいない。


表情と雰囲気が全然違うらしいっす。


鋭いのとふわふわだって。


牙が鋭い僕と、お肉が柔らかいカルシャ姉を如実に現してるっすね。


「お疲れ様っす!」


「装備の開発具合を見に来たよ」


「早速ですが、成果物を見せて貰えますか?」


ニーフェが伝えると、すぐに班長が試作品を持ってくる。


「これですね」


班長の手には、スケイルメイルのようなモノ。


「今はこのような形で、革鎧を強化したモノを作成中です」


革を繋ぎ、鱗には鉄のコーティング。


鉄のプレートが各部に付いているものの、メインはあくまで鉄鱗だ。


「これは…軽いけど、丈夫なのかな?」


「鱗を鉄でコーティングしてる状態です。ミスリル程強くはないですが、この軽さでもそれなりに強度はありますね」


絶大な防御性能、とまでは行かない。


そもそもギフトにはあまり効果がない。


とはいえ、それなりの耐切断・刺突防御力と多少の耐衝撃性を持てば、着用者の生存率はぐっと上がる。


身軽さが売りのウェアウルフが装備者なら、これでも十分役に立つはずだ。


「量産は出来そうかい?」


ここで量産できるなら安価で戦力増強となる。


「オオトカゲだけでは難しいでしょうが、もう少し数の多いモンスターであれば可能かと」


レソルガオオトカゲは捕食者である。


相対的に数が少なく、狩りすぎるとバランスが崩れてしまう。


「樹海からはちょっと離れるっすけど、レイザーウィングなんていいんじゃないっすかね?」


エリスの提案したレイザーウィングは、鋼の外殻をもった鳥類モンスターだ。


レソルガ樹海の端、シルカルト霊峰の麓に生息していて、身体は子供一人ほどあり、地表に露出した鉄鉱石を食べ、体表には剃刀のような鉄羽が生えている。


「確かにそれなら数も多いし、捕獲方法も確立されてる」


食う食われるの関係にある存在が多くなく、自身も刃の鎧を纏っているために素早くなく飛行もしないため、捕獲は容易い。


上手くすれば、軽くて安価な鎧が量産出来そうだ。


「では狩猟時に捕獲してもらうよう伝えておきますね」


ニーフェが手帳に要望を書き入れる。


あとは具体的な性能だ。


「試着してみますか?」


班長の提案で、一度着てみる事に。


「サイズ的に僕は厳しそうだから、エリスが着てみてくれ」


「はいはーい」


僕には少し大きいが、試着なのでそのまま着てみることになった。


「では失礼して…」


班長がベルトで多少調整してくれる。


「お、中々いい感じ?」


着心地は悪くない。


重すぎず、関節も突っ張らない。


「見た感じ、動きにくさは無さそうだね」


「これなら派手に動いても平気そうっす」


十分実用に足るだろう。


「最終的にはカルシャさんに見てもらうとして、レイザーウィングの素材からも鎧を作ってみてくれ」


レイジが班長に指示をだして、この日の巡回は終わった。



後書きウサギ小話

知られざる革命の力・・・?編



ゾワァ!


「ヒェッ?!Σ(゜Д゜)」


「エリス?どうかした?」


「今何か凄まじい悪寒が・・・」


「黒子鬼教官とかディスるからw」


「もいっかい試してみるっす。鬼ー!胡散臭いー!まるでGー!」


「・・・流石に酷くない?」


「良いんすよ、聞こえないから。それに冗談っすよ?」


その頃


「エリス殿、なんか失礼な事言ってる気がするでござる!!」


以下冒頭に戻る


無限ループ再び!


完!

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