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2−14.最弱ウサギさん、水底に沈む

レソルカルト河の果てにある樹海のオアシス、レソルカルト湖。


この湖はレソルガ樹海の中でも強いモンスターが徘徊するエリアにあり、小型の水竜が棲む。大河が流れ込む割にはここが最下流地点で、一説では地底河に流れ込んでいるらしい。


そして、あまり情報が無い場所でもある。


街道が敷かれ、ギフトによる戦闘力の強化やモンスターの組織的討伐が進む中でさえ、人に拓かれていない秘境なのだ。


ただの人間には危険な地帯、とも言える。


そんなレソルガの奥地に、カルシャ一行はやってきていた。


「案外楽勝だったわね」


メンバーはカルシャ、ツワブキ、グレインと戦闘班一組の計6名。


「お二方が強すぎるんですよ」


グレイン含めた戦闘部隊は、その実、取得物などの運搬係だった。


既に彼らの革袋にはいくらかの獲物が入っている。


道中のモンスターは決して雑魚ではなかったが、グリムソルガ最強コンビの前ではなんの障害にもならなかった。


哀れな犠牲者はすでに食料化されているのである。


「まぁ、今回の目標は湖の底ゆえ、今からが本番でござるが」


ツワブキの言うとおり、今回のターゲットは水底にいる。


澄んだ水面の奥底。


そこに潜むは湖底遺跡。


一神教が秘匿する情報にも少ししか記述がなかった。


転生者を召喚するための遺跡ではなく、かつて強大な魔王を封じるために造られたとされる伏魔殿らしい。


「まずは水竜の姿に変身できるようにならないとね」


当然湖の水を抜ける訳もない。


端から水竜に変身して潜水するつもりだ。


だが、水竜たちも水の中。


まさか飛び込んで掴み取るなんて事はないだろう。


そう思ったグレインが問いかける。


「具体的にはどうなさるんです?」


「釣り上げる。ぶちのめす。変身する。以上」


カルシャはウサギなのに意外と好戦的である。


彼我の戦力差が理解できるからこその発言なのだろう。


でなければ、わざわざ生命を脅かすような行動をカルシャが取るはずが無い。


大概のモンスター相手に負けることなく、レソルカルト湖の水竜も例に漏れないだけの事なのだ。


とはいえいとも簡単に言うなぁ、とも思う。


「釣り上げるのは簡単でござる。グレイン、荷物から生き血と肉を適当に湖へ投げ入れるでござる」


ツワブキの支持どおり、グレインは荷物からいくらか肉を放り投げ、血の入った袋を逆さにした。


するとすぐに。


バシャバシャ!


魚と共に水竜が跳ねる。


いつの間にか変身していたカルシャ、その姿は鵺となっていた。


「そしたら私が鵺の尾で釣り上げるでしょ?」


尻尾の蛇が水に潜ったかと思えば、餌に釣られた水竜を締め上げる。


キューッと締められた水竜は意識を失い、そのまま水揚げされてまな板の鯉状態に。


「そのままこの通り、なます切りでござる」


ツワブキの直刀がいくらか煌めくときれいに解体完了、ばらまいた肉を超える食料補充だ。


「で、私はそのまま変身すると」


カルシャはすぐに変身。


今釣り上げて刺し身になった水竜と同じ姿。


大柄な人より頭二つは高く、細長い体躯。


そして双角と大きなヒレ。


「これで湖の底まで行けるって訳」


ここまで数十秒くらいの見事な手際だ。


それに付き合うツワブキも、やはり只者ではない。


「さらっととんでもない事をしますね、我が主…」


小型とはいえ水竜、普通の魚と同じように扱えるなんてあり得ない。


それを平然とやってのける辺り、測るのも馬鹿らしいくらいに実力は隔たっている。


「無茶無理無謀をひっくり返すのがギフトよ?使わなきゃ持ち腐れだわ」


グレインが言ったのはギフトの事ではないのだが、訂正するのもなにか違う気がして、結局何も言えなかった。


その間にツワブキはカルシャの背に乗っていた。


「まずは小生とカルシャ殿で潜って、中の状況を確認するでござる」


「空気がなきゃ活動出来ないものね」


ツワブキごと湖に飛び込む。


湖はそれなりに深い。


雪解け水の集まりだからか水温も低い。


だが、水竜になって鰓呼吸も出来るようになっているカルシャにとっては問題ない。


水竜の眼のおかげで視界もクリアだ。


幸い遺跡はすぐに見つけられた。


時折泡が立ち上る事から、中に空気があるのは間違いない。


渡り廊下のような部分の下に潜り込むと、ちょうど崩壊した場所があり、空気が揺れている。


頭を出すと吸い込まれそうな真っ暗闇が広がっていた。


「…思ったより深かったでござるな」


濡れた頭巾を外し、ツワブキはランタンを取り出す。


カルシャもエリスの姿に変身して、ギフトを開ける。


「《焔の射手(ブレイズアーチ)》」


威力最小で火を放ってランタンに火を灯すと、辺りに埃と湿気の多い石造空間であることが解る。


「広いわね」


外から見ても大きかったが、中に入るといっそう広く感じる。


生物の気配も音もしないが、壁は老朽化ではなさそうな傷だらけで、何かが居たのは間違いない。


傷の大きさと高さからして、かなり大型。


少なくとも水竜ではない。


とはいえ、直面していないものを恐れても仕方ない。


「とりあえず窒息の心配はなさそうだし、上の四人を連れてくるでござる」


ツワブキの言うとおり、まずはグレインたちをここに連れてくるべきだろう。


探索はそれからだ。


後書きウサギ小話

3分間クッキング?編



「はい、では今日は水竜の味噌煮を作っていきたいとおもいます」


「材料はこちらでござる」


「活きのいい水竜1匹ですね!こちらをぶつ切りして内臓処理します」


ザシュッ!ズバッ!スパパッ!


「はい、こちらが処理済みのものでござる」


「下味付けて煮込んでいきます」


ボボボボボボ!!


「はい、鍋も少し焦げましたが出来上がりです!」


「以上ウサギさん3分クッキングでござる!」


力技!


完!

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