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23.最弱ウサギさん、色々と秘密を知る

「先ずは小生が何者なのかを明かしておく」


黒装束の男・ツワブキは、顔の覆いを取り払う。


感情のすり減った、皺の深い顔がそこにはあった。


「小生は転生者にして忍、人知れず上位者の資格を得た者にござる」


革命の力を持つ者。


「《革命の徒(リベリオン)》、ね」


男の出自はこの世界には無い。


その点はカルシャの想像通りで、ツワブキは転生者である。


だが、ツワブキの秘密はそれだけではない。


「小生は元々は一神教の傀儡であり、今は破棄された勇者候補の一人」


「勇者、候補?」


聞き慣れない。


一神教の傀儡?勇者候補?破棄?


その疑問を解くために、ツワブキは言葉を重ねる。


「転生者を創造するシステムを利用し、自分たちの利に沿う救世主を世に送り出し、世界を牛耳る。それが一神教の上層部の目論見」


古くから存在する一神教は、世界の秘密を知っており、勇者を通じて世界を支配する。


「一神教は私利私欲のついでに人々の世を保つため、勇者を製造している。遥か昔から、秘密裏に」


歴史の改ざんがあった。


焚書があった。


暗殺があった。


一神教は、自分たちの教義に都合が良いように世界を少しずつ侵食した。


献金で贅沢をし、信仰という覇権を握り、その既得権益を守り、平和と繁栄を享受し続けるため、今もシステムを悪用している。


「かつては自然発生していた魔王種も、最近は駆逐されてばかり。それでも魔物たちは強大な存在だが、少なくとも支配者ではなくなった」


ツワブキ曰く、昔の魔物は殆どがマルチギフトだったらしい。


それが今では、ギフトを持たないモンスターすらいる。


いかにモンスターが弱化したか良くわかる。


ハジメウサギなど最たる例だ。


昔は身体も大きく、素早く、数も多かったらしい。


そこまで語って、ツワブキは話を本題に戻した。


「小生は転生者。ただの道具に過ぎぬ。が、一神教は好かぬ故、こうして魔王種の手助けをする事で反逆している次第」


ツワブキの反逆の事情は解った。


だが、それはあくまで表面的な話だ。


「それで?アンタの本音は?アンタは魔王に世界を滅ぼして欲しい訳?」


違うだろう。


この男は、そんな事は考えていない。


そんな事を考えているのなら、こんなに死んだような目をしてはいない筈だ。


カルシャの思った通り、ツワブキは己の願望を持っていた。


「…小生は死にたい」


それは摩耗した心の悲鳴であった。


「勇者になる過程で少々死ににくい身体になってしまったので、小生は不老で生き続ける羽目になっているでござる」


一神教から破棄されるまでに、ツワブキには様々なギフトが与えられた。


その様に仕向けられた。


結果、ツワブキはすでに百年以上生き続けているらしい。


ギフトが馴染みすぎて、もはや人ではなくモンスターに近い。


それでも真正面からは一神教に手が出せない。


「一神教の呪いのせいで自害も出来ぬ故に、小生を殺してくれる者が必要なのだ」


未だに縛られている。


一神教の呪いと、上位者のギフトのせいだ。


「革命のせい、ね?」


革命の力は、相対的強者に逆転するための力。


「左様。小生は強いが、弱者にしか殺せない」


弱者にしか殺されない強者が勇者であるならば、一神教にとっては都合が良かった筈だ。


何故破棄される事になったのか、ツワブキは語らなかった。


カルシャもまた聞かなかった。


だが、ツワブキがカルシャを求める理由は理解できた。


「それで私か」


カルシャは絶対弱者なのだ。


「御身は最弱でありながら魔王と革命の力を手にした」


ハジメウサギという身体も心も、未だにカルシャのモノだ。


魔王の力も、革命の力も、それを変えられはしない。


ツワブキ以上の理論武装であり、ツワブキ以上の力を秘める。


今のカルシャはそういう存在だった。


「よく知ってるわね。覗き見でもしてたの?」


「いかにも。小生の得意技は隠密であるからして、強力な妖精に気取られずに見張る程度難しいことでは無かった」


長生き、隠密、上位者と多彩なギフト。


妖精たちからギフトを貰い、確認して、上位ギフトを使うまで全てを見ていたのだろう。


「ホントに見てた訳ね。言い逃れは出来ないか」


ここでカルシャを逃がすつもりも無さそうだ。


「無論、小生の知識は提供する。御身が魔王として確立されるまでは手駒として動く」


ツワブキは取引を提示した。


「如何だろうか?」


だが。



「魔王、か。興味ないのよねー」



へ?


ものすごく間抜けなツワブキの表情が見えた。


ここまでしっかり話を聞いて、まさか断るとは思わなかったのだろう。


だが、あいにくと興味は皆無なのである。


だいたいこの前エリスにも言った通り危ないじゃない。


ギフトは知りたいが、魔王になるメリットは無いのだ。


そんな事を考えていると、ツワブキは思い出したように告げる。


「と、とりあえず、魔王の話はさて置いて、御身は遺跡を引き払う方が良いでござる」


なにやら急な話だが。


「なんでよ?」


ツワブキは大事な事を言い忘れていた。


「ライナ・クロムウェルが局地的転生者不足について遺跡付近の調査を始めるでござる」


察するに、転生狩りによるギフト収穫作業がバレたらしい。


正確には疑いあり、といった所だろうが、引き際には違いない。


「確かにアイツらなら遺跡深部まで入ってこれるわね」


カルシャが納得する様子を見せると、ツワブキは事を急かす。


「左様。上位ギフトを手に入れるにも、とある場所まで行かねばならぬ故、ここはすぐに遺跡を離れ、小生についてきて欲しいでござる」


だが、遺跡をそのまま放り出す訳にはいかない。


「ダメよ。遺跡にはまだ必要なものが残ってる」


オルトグランの魔導書、ギフトの資料、資金。


いずれにせよ持っていかなければならないし、最悪処分が必要だ。


「では、すぐに取りに向かわれよ」


ツワブキも了承してくれたので、エリスを伝令に出すことにする。


「エリス。レイジにもこの話を伝えて頂戴」


「了解っす」


「ツワブキ。アンタはエリスと一緒に行って。遺跡に行くのは私だけで十分よ」


待ち合わせは隣の街だ。


そうと決まればさっさと動く。


カルシャは遺跡へと足を向けたのだった。



後書きウサギ小話

秘密の隠し場所 編



「確かにアイツらなら遺跡深部まで入ってこれるわね」


カルシャが納得する様子を見せると、ツワブキは事を急かす。


「左様。上位ギフトを手に入れるにも、とある場所まで行かねばならぬ故、ここはすぐに遺跡を離れ、小生についてきて欲しいでござる」


だが、遺跡をそのまま放り出す訳にはいかない。


「ダメよ。遺跡にはまだ必要なものが残ってる」


ベッドの下の色々とか…///


真面目な顔して発情期!


完!

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