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2.最弱ウサギさん、転生者の情報を集める

唐突だが、皆さんはウサギをご存知だろうか?


異世界にもいるアイツだ。


そう、アイツ。


寂しくて死んじゃうアイツ。


転生者たちも知っているから、恐らく共通認識を持てる生き物の一つだろう。


「これ、もしかしてハジメウサギ?」


この世界でウサギと言えば、コイツだ。


シチューやパイにされちゃうような最弱モンスター。


特技は渾身の体当たり。


当たらないやつ。


それだけ。


駆け出しの傭兵や、ちょっと鍛えたい者に狩られる、練習相手にすらされないような狩猟対象である。


「そうだけど」


店主に言って、下げてもらう。


「悪いんだけど、宗教的に食べられないのよ」


そして私は、そのウサギなのである。



最近惨劇があったと噂の流れるゼチの村からいくつか山を越えた所にある町、ナシム。煉瓦造りの外壁に囲まれた大きめの町は旅人の交差点として栄える宿場町で、人も物もよく通る。


そんな町のとある宿屋に宿泊している少女がいた。少女は食事を終え、洗い物をする店主に声をかける。


「ねぇ、この町に転生者がいるって聞いたんだけど」


「あぁ、町長のとこで用心棒してる新参のことだな」


店主は洗い物の手を動かしたままで答える。


傭兵や戦士の募集には事欠かない町長がわざわざ用心棒として雇うくらいなので、さぞかし強いのだろう。


「へぇ、用心棒を?強いの?」


「良いギフトを貰ったらしい。俺もよくは知らないが」


「ふぅん」


少女は思案顔で席を立つ。


「ご馳走さま。少し出掛けるわ」



ナシム町役場、その一角のナシム傭兵互助会窓口では、少女の他にも多くのー大概は厳つい身体付きをしたー人々が並んで受付を待っていた。


この町では、というか大きい町ではどこでも、常々傭兵登録が賑わっている。その中でもナシムは大規模な部類だ。


旅人が多く通り、モンスターからの護衛依頼が耐えないため、拠点とするのに丁度よく、この町役場もまた互助会組織によって税収を増やすのにメリットがあるからだ。


「こんにちわ。傭兵登録希望でしょうか?」


「いいえ。聞きたい事があって」


「何でしょうか?」


「最近、町長が用心棒を雇ったって聞いたんだけど、どんな人?」


「すみません、用心棒の情報に関してはお教え出来ない規則なんです」


「わかったわ、ありがとう」



少女が役場を出ると、見知った顔が待っていた。


「見つけた!ウサギのお姉さん!」


「げ」


「げ!とは失礼だなぁ。僕、そんなに迷惑?」


ボロボロブカブカのローブを纏った小柄な幼女。


その正体を、少女は知っている。


「そうね。控えめに言って邪魔」


ギフト収集している時に結果的に助ける形となり、現在進行形で付きまとわれているのだ。


ギフト収集の足枷である。


「手厳しいなぁ」


にへへと笑うその口、その犬歯は鋭い。


「今日は何の用?」


「へへーん。僕はお姉さんに耳より情報を持ってきたのです」


それなら話は別だ。


本当に有益情報ならば、屋台の肉くらい奢っても良い。


「前置きは良いから、さっさと聞かせなさいよ」


「じゃ、コッチで話そ?」


話を急かすと、幼女は路地裏に少女を誘った。



「名前は藤原タカシ」


幼女によると年は20歳前後。


身体つきはがっしりしており、転生前には身体をよく動かしていた事が窺えるそうだ。


「今まで雇われてた町長護衛隊に単身で挑んで、見事に打ち倒したんだって」


町長護衛隊と言えば、傭兵互助会の中でも実績を重ねた者たちが、直々に町長から雇われて構成されている私兵のようなもの。転生者も少なくなく、実力は折り紙つきとの噂も聞く。


「で、ソイツのギフトは?」


最も重要な部分である。


だが、幼女はばつが悪そうにすっとぼける。


「あー、えっと、多分、回避系?」


途端、少女の機嫌は真っ逆さまだ。


「知らないの?使えないわね」


幼女は頬を掻く。


「だって、僕も聞いてただけだからね」


幼女いわく、護衛隊が面白そうな事をしていたのを、離れた場所で聞き耳立てていたらしい。そのため、直接目視出来ていなかったのだ。


ため息をつく。


「回避系って判断した理由は?」


「風の音。変な風切り音がするの」


「風切り音、ね」


「そんなとこだねー、僕の知ってる事は」


幼女の話を聞き終えて、少女は手持ち金から硬貨を数枚取り出して放る。


「この内容じゃあコレくらいね」


幼女は危なげなく硬貨を捕まえて数えるが、金額が解ると意気消沈する。


「これじゃお肉買えないよぅ」


「肉が欲しかったらソイツの似顔絵とかギフトの詳細掴んで来なさいよ。そしたら肉でも何でも奢ってあげるわ」


にべもなかった。


後書きウサギ小話

もしも幼女が変態だったら・・・編



「じゃ、コッチで話そ?」


話を急かすと、幼女は路地裏に少女を誘った。


そして人気のない所まで入ると振り返り、ボロローブの前を勢いよくオープン!


「僕の裸見てぇ!ハァハァ」


「・・・随分貧相な」


「断崖絶壁で悪うございましたよぅ!」


結論。ようじょが精神的ダメージを受ける。完!


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