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4−20.終幕
あの日から、世界は何も変わらなかった。
一人の魔王が消えた。
聖都は潰え、しかし一神教は消えなかった。
魔王の噂は消えず、しかし何も変わらなかったのだ。
だから、魔王の眷属たちは、今も森の中で王の帰還を待ち望んでいた。
第一の家臣であるエリスとエイリは行方がしれない。
妖精たちも、いつの間にか姿を消していた。
ツワブキは聖都の地下深くから戻らなかった。
聖女と勇者は何処へとも消えた。
レイジとグレインが、残された者たちの希望となった。
残された者たちはその武力で集落を維持し、平和が訪れた。
その主の帰りを待ちながら。
†
とある時。
とある場所。
暗がりの中で、静かにまぶたを持ち上げる。
その目に映るのは、2つの人影と、多数の羽根持つ小人。
そして、背の高い翼人。
「………ようやくお目覚めになられたのですね、神よ」