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3−18.魔王さま御一行、未知の世界へ

レソルガ樹海にある湖、レソルカルト湖。


魔王ゲッコウが封印されていた神殿跡をその水底に抱くその奥底から、気泡が昇る。


棲み着く水竜たちの合間を抜けて昇るそれを見て、一匹の水竜はその発生源を探し、そしてついに見つけたのだ。


地底世界、タルタロスへの入り口を。





「ぷはっ!」


滝壺から顔を出すと同時に大きく息を吸うのが3人。


巨体を陸に押し上げるのが一匹。


カルシャが変身を解くと、水から揚がる3人が文句を言う。


「ちょっと!どうせなら陸で降ろしなさいよ!」


「そうっすよ!耳まで水入ったじゃないっすか!」


「竜になったお姉さま堪能タイム、終了のお知らせ…(*´﹃`*)」


なんか一人だけ方向性が違った。


エイリちゃんだけ浸水もなんのその、ぴかぴか輝いてやがる。


これはもう解散しかないね、方向性が違うからね。


「水が嫌なら乾かそうか?私の炎は魔王の炎だけど」


「え、遠慮するっす」


遠慮するなよ、魔王ジョークだぞ、はぁと。


今なら割引き、第4位の根性焼きで勘弁してやる。


なんならカルシャ参上って焼き付けてあげてもいいけど?


「っていうかアンタたちは死体じゃない。そもそも溺れないでしょうが」


エイリちゃんはともかく、ライナもエリスも不死種なんだから、溺れても肺が水浸しになるだけでしょうよ。


うん?苦しそうではある?


知るかそんな事。


「溺れなくても感覚はあるのよ。薄々感じてはいたけど方法が強行突破すぎやしない?」


いやいやお嬢さん。


「先に独りで偵察させておいて、その言い草、しどい!」


「カルシャ姉、それ僕のっすよぅ!?」


水竜変身で水底の様子と空気の有無を確認してこさせておいてそれは無いわぁ。


エリスの口癖も伝染るってものよ。


って、あら?


エイリちゃんだけ半身浴したままなんですけど?


「お姉さまのツヤツヤ鱗…ハァ、しゅきぃ」


目がぐるぐるしてんな、コレ。


「どうでもいいけど、酸素不足その他のせいでトランスしてるわよ、貴女の臣下」


死にかけなのか幸せなのかはっきりしなさいよね。


「テイッ!」


脳天チョッープ!


「あべし!」


あ、コレ本当に酸欠だわ。


ヤベ。


救命措置、救命措置…。


「し、しどい…」


ギフトによるリジェネと、風による呼吸確保。


下位ギフトも使いよう、である。





「なんだか天国を見ていたよーな」


「気のせいよ、気のせい」


各々装備を確認し、動けるようになって、改めて辺りを見回す。


天井から流れ落ちる滝、岩が削られた滝壺、水しぶきと氷柱のように垂れ下がる石の槍、それから何処かに流れ行く水。


天井から落ちるのは勿論レソルカルト湖の水だ。


そして、これら全てを何故かはっきりと見る事ができた。


光も届かない水底の洞窟内なのに。


「今更だけど、洞窟内なのに明るいっすね」


エリスが口にした疑問は、ライナがすぐに答えを見つけた。


「多分コレのおかげだわ」


ライナは壁に近付いて触れる。


触れた部分が淡い光を発しており、指でつつくと光が強くなる。


「鉱石?」


「名前までは解らないけど、光る鉱石と反射する鉱石が混雑しているみたいよ」


エリスが面白がって様々触りだしたが放っておく。


それよりも知恵袋を召喚だ。


「エイリちゃん、ゲッコウだして」


「了解でーす」


ゴソゴソ。


ぬれないように厳重に封された包みを取り払うと、さっそく煩い奴が喋りだす。


「呼ばれて飛び出てゲッコウさんやで!」


飛び出ちゃいないだろうよ。


まあいいや。


今は聞きたいことが優先だ。


「アンタ、魔王時代にここに来たことある?」


神殿ごと水に浸かってたゲッコウなら、何か知っているかもしれない。


そう考えての質問だったが、答えは期待に沿うものではなかった。


「完全体の時、神殿の下になんや魔力溜まりみたいなんがあるんは気付いてたけど、なんせ巨体やったから入った事は初めてやなぁ」


しかし、その中には気になるワードが。


「魔力溜まりなのは知覚できるんだ?」


魔力溜まりとは、魔力が溜まっている場所のことだろう。

ゲッコウはそれを感知できた訳だ。


「人間のままやったら解らんやろうなぁ。異形化した副産物でそういう感覚が鋭うなったおかげやな」


なるほど、わからん。


「…私は解かんないんだけど」


魔力などという不可思議なものは、生まれてこれまで感じた覚えがないんだけど。


「お嬢ちゃんも解るはずやけどなぁ」


ゲッコウはそう言うが、どんな感覚か知らなければ分かりようがない。


「どんな感覚なのよ?言葉で表現してみて?」


個人差がありそうだし、参考にもならないかもしれないが、聞くだけ聞いてみよう。


「せやなぁ…肌がぞわぞわするような、空気が重たいような、風邪で熱があるような、そんな感じや」


んー。


やはりわからん。


さっぱりなカルシャに対して、エリスはそれに相槌を打った。


「あー、なんとなく解るっすよ、ソレ」


妙に納得した顔をしている。


うざ。


エリスのくせに生意気だわ。


「え、そうなの?私には理解できないんだけど」


自分だけ理解してすっきりしてんじゃないわよ。


「んー、理解するっていうか、感じる?カルシャ姉は考えすぎなんすよ、きっと。頭空っぽにして、周りを感じるっす」


無言でエリスの頬をつねる。


「いひゃい!いひゃいっふぅ!」


煩い、この駄犬め。


「アンタたちはどうなの?わかる?」


お仕置きの手は緩めず、ライナとエイリに問いかける。


「ウチはよくわからないです」


「私も同じよ」


結局わからずじまいな訳か。


ま、仕方無いわね。


「解らない事は置いといて、とりあえず先に進みましょうかね」


ようやく手を離してやると、エリスは頬をさする。


「しどい、しどいっすぅ…シクシク」


後書きウサギ小話

直感的、編



「魔力が感じられないんだけど」


「考えるな!感じろっす!」


「うざ」


「しどい!」


「もうちょっと言い方ってもんがあるでしょうよ」


「じゃあ…」


「じゃあ?」


「こまけぇこたぁいいんだよ!Σ(ΦωΦ)」


だから言い方ぁ!


完!


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