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魂の天使  作者: らんペル
1章~人と天使と魂~
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~暗雲~

 天界で私はのんびりと空の散歩をしていた


 魂の樹はあんなに大きく近くに見えるのにどこまで行っても近づけない


 いつかあの樹の下まで行ってみたいと思っている


 神様以外はまだ誰も行ったことがないあの樹の下



「今日も退屈ね~」


 つい最近魔界の調査をしていた時に、ちょっとやらかしてしまって今は調査禁止令をくらっている


 暇でしょうがない


 だけど暇なのは平和な証拠だから別にいいんだけどね


 もうちょっと飛び回ったら、お家に帰ってテレビ見ようかしら


 今日は何か面白い番組あったかな



 呑気にふわふわ飛んでいると空の異変に気付く


 本来天界の空は色が変わる事がない


 しかし所々変な雲が浮かんでいる


 私は異変を感じる方向を見る


 神殿と町がある方向


 そこにはとても大きな暗雲ができていた


 暗雲の中に巨大な魔力を感じる



「何あれー?結構ワクワクするんですけどー!!」


 私はすぐに町に向かって飛んだ



 飛んでいる時に一カ所に魔力が集まっているのを感じる


 そのすぐ近くには感じなれた魔力


「あちゃ~兄貴もいるのか…でも私が気付いたって事は兄貴も気付いてるはずだから、ここで引き返したらまた怒られるわね…」



 ここで私は究極の2択を迫られる


 1・怒られるのを覚悟してバックレる

 2・前回の事を反省しているふりして様子を見に行く



「…ここは2番ねこんなに短いスパンで怒られるのはさすがに嫌だわ…」


 暗雲に気付いてしまった自分にガッカリしながら引き続き町へ飛んでいく


 どうせ魔界の()()()()のどれかの仕業だろうけど、退屈だったからナイスタイミングね



 なんて事を考えていた時、頭の中で声がした


「リーナ、大天使長に聞こえていないみたいだから妹の君に話しておくね。今私は動けないから暗雲の事は頼むよ」


「あっハイ!わかりました神様」



 あっぶな!!


 兄貴だけじゃなくて神様にも怒られるところだった!


 もしかしたら神様は私の行動と考えをお見通しだったりして…



 町の上空に着くと兄であり、大天使長でもある銀髪の天使リエルが他の天使に指示を出している所だった


 私はリエルの隣に降りた


「リエル…あの暗雲はまさか魔界の…?」


「わからん…だがあの魔力玉を撃ち込めば暗雲ごとき消し飛ばせるだろう。それよりも神はこの事態について何か言っておられたか?」


「特には…ただ大天使達に任せるとしか…」


「そうか…」



 どうやら天使達が集まって魔力玉を作っているところだったみたいだ


 普通の天使達の魔力でもあれだけの魔力を集めたら私がくらってもかなりのダメージを負う


 あれをぶち込むならまあ大丈夫でしょ


 どんどん大きくなってくけど、どんだけ魔力集めてんのよ


 ってあれ?暗雲の魔力が…



 私は暗雲の中の魔力が高まっていく事に気が付きリエルに話す



「ねえ…暗雲の中の魔力が大きくなっていってない?」


「気がついたかどうもおかしいとは思うのだが、それも終わりの時だ」



 兄貴ったら結構強気発言するわね


 バチィン!!大きな音と共に天使達の作っていた魔力玉が完成した



「でっか…」



 魔力玉は私の想像よりもとても大きく、かなりの魔力が込められていた



「完成したか天使達よご苦労だった後は私に任せ退がるがよい」



 リエルは天使達を退がらせると魔力玉に向かって歩き出した


 私は…手伝うのめんどくさいから動かないでおこっと



 リエルは考え事をしながら歩いているようだ


 一歩ずつ確実に魔力玉に向かって近づいていき、やがてたどり着く


 リエルが魔力を溜めながら右手で魔力玉を浮かせる


 そしてそのまま暗雲に向け一気に放った



 魔力玉は猛スピードで暗雲に向かって飛んでいく


 天界には神様が張った結界がある


 天界の者の魔力なら結界は反応しない


 魔力玉が結界をすり抜けて暗雲へ近づく


 他の天使達が見守っている中、リエルは勝ち誇ったようなドヤ顔をしている


 ちょっと面白い事になるかもとか思ったけど、案外あっけなかったわね


 また退屈な……



 少し残念な気分になったその時、魔力玉が途中で止まった


 いや、何かにぶつかったのか、その場で魔力が暴発している



「バカな!?暗雲の中の魔力はその場に留とどまっているのに何が邪魔をしている!?」



 リエルはその不可解な現象に戸惑っている


 私も何が起こっているのかわからない


 しかし離れて傍観していた事が幸いしたのか、魔力玉が暴発したその場所を見つめていた


 雷と炎で滅茶苦茶な空間に何かある


 空間に亀裂…?アレはもしかして人界!?



「リエル!魔力玉がぶつかっているアレは!?」



 すぐさまリエルに駆け寄りその存在を知らせる


 しかしリエルは言葉を発する事ができないくらい動揺している



「落ち着いて!落ち着いて魔力玉の奥を見るのよ!」


「ハッ…!?」



 私の声に正気を取り戻したリエルがジッと亀裂を見つめる


 そして放つ言葉に私は驚いてしまう


「そんな…アレはまさか…人界か…?」


「人界!?どうして天界の空に人界が!?」



 まさかとは思った


 だが私だけではなく大天使長のリエルまでもが同じ答だった


 私達が驚いている間に亀裂周りの魔力が消えていく


 消えていく魔力を追うように亀裂も次第に閉じていっていた


 しかしリエルは見逃していなかった



「あれは人界ではない!」


「人界じゃない!?じゃああの世界は…」



 あれが人界じゃなかったらまさかあれは魔界?いや人界でも魔界でもそれは大差ない


 とにかく天界の空に亀裂が入って別の世界が現れる事がおかしいのだ


 私がリエルに聞き返したその時、暗雲の中が不気味に光った

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