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魂の天使  作者: らんペル
1章~人と天使と魂~
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~戦闘~

 魔族を探しだす


 分かっていた事ではあるが、どうやって探せばいいんだよ


 見渡す限り草原だし



「なあ探すって言ってもどうやって探すんだ?」



「探す方法は2つあるわ。残留魔力を追うのと、勘で探すのよ!」



 残留魔力を追うすげえファンタジーな言葉だ


 多分残留思念の魔力版みたいな感じなんだろう


 そしてもう1つの方法…この天使…凄いのかバカなのかわからないな



「残留魔力を追うってどうやるんだ?」



「簡単よ。魔力を体内じゃなくて、体外で感じればいいのよ」



「いや、そんな簡単に簡単だって言われてもな」



「イメージすればいいのよ。あとはあんたの魂と身体が勝手に感じ取ってくれるわよ」



 イメージ…そういえば聞いた事がある何かを作ろうと、いや創作以外で何をやるにしてもイメージが出来ているのと出来ていないのとでは結果が変わると



「つまり魔力を感じ取れるイメージをしながら集中すればいいのか?」



「そうよ。私は上手く説明できないから自分で感じ取って覚えて」



 このヤロウ…なんていい加減な天使だやっぱりバカだろこいつ…


 天使って皆こいつみたいな感じなのか?まあ天使の事は置いといて、まずは魔族探索が先だ



 大雑把ではあるが、体内での魔力の流れは感じ取れるようになった


 つまりそれの応用で体内ではなく、皮膚や身体そのもので自分以外の魔力を感じればいいのだろう



 俺はそっと目を閉じて集中してみた


 今までは感じた事のない感覚


 体内の魔力の流れを感じる


 耳をすませば風の音が聞こえる


 すぐ近くの岩の付近では風の音が若干違ったりしている


 普段こんなに集中して自然に耳を傾けるなんてことはした事がなかったから新鮮な気持ちだ



 ほんの僅かだが身体に違和感を感じる


 自分の魔力とは違う僅かな魔力が分かる


 これが魔族の残した残留魔力か



「感じとれたみたいね。ちなみに魔族の魔力はこのまま正面に向かって進んでいっているわ」



「ちょっと待て!今いい感じだったのに何でいきなり答を言うんだよ!」



「魔力を探すのは慣れてないと思ったより疲れるのよ。今アンタに倒れられたら魔族を追いかけられなくなるじゃない」



 ホンっとにコイツは…疲れて動けなくなるほどの事なら先に言えよ…



「まあちょっとずつ慣れていけば大丈夫よ。早いとこ魔族を追いかけましょう」



「ああ分かったよ」



 俺は草原を歩きだしたさっきも思ったが風がとっても気持ちいい


 魔界は思ったところと全然違う


 俺の世界では夏が始まった感じで暑く感じたが、ここはポカポカな春の感じがする



「なあ魔界ってどこもこんな感じで心地いい場所が多いのか?」



「それは場所によるわ。アマゾンよりも広大なジャングルがあったり、南極よりも寒い地帯があったり、とにかく魔界はとんでもなく広いのよ」



「ちなみに広いってどれくらいだ?」



「天界でも完全には把握しきれてないんだけど、人界の何倍もあるのは確かね」



 広すぎだろ…というよりもしかして魔界は地球じゃないのか…?



「私も詳しくは知らないんだけど、人界と魔界は同じ時期にできたとかなんとかって聞いたことがあるわ。でも私は興味が無かったからあんまり聞いてなくて覚えてないのよ」



「そうか、とにかく広いって事はよ~く分かった」



 そんな話をしているうちに、別の魔力を感じるようになってきた


 残留魔力なんて小さなものじゃなく、もっとまとまった魔力


 慣れていない俺でも魔力をもつ存在が近くにいるとこんなに分かるようになるのか



「近いわね、言葉がわかるやつならいいんだけど…」



「言葉が分かる?魔族ってやっぱり話せたりするのか?」



「魔族にも話ができたりするのはいるわ。それなりに知力が高いやつだったり、人型の魔族や魔物、中には精霊もいるわよ」



「精霊までいるのか?」



「ええ、でも精霊も良い精霊から悪い精霊までピンキリよ。っと、そんな事よりアイツね」



 ほんの少し先にいるのは…なんだ?茶色い体に小さな角が生えているあまり大きくはないが、話が通じなさそうな顔だ


 あれはゴブリンってやつか?



「アイツはガーゴイルね」



「ゴブリンじゃないのか…」



「アイツの背中に小さな翼があるでしょ?そしてあの頭悪そうな顔はガーゴイルの種類で決まりよ」



「魔族相手とはいえ酷い言いようだな。アイツは話が通じるのか?」



「残念だけど駄目ね。アイツはこっちに気付いたらすぐに襲ってくる。倒すしかないわよ」



 だから何でこの天使は何でも簡単に言うんだよ


 あんなの生身で勝てるわけねえじゃん…筋肉結構ついてますよ?小さくても翼があれば飛べるんでしょ?俺にどうやって倒せと?



「ギギ‥!」



 気付かれた!?



「おい!気付かれたぞどうすればいいんだ?」



「落ち着きなさいまず初めに言っておくけど、アイツの攻撃はあんたには効かない」



「は?」



「アイツの力よりも私があんたにかけている魔力加護のほうが遥かに強いから大丈夫よ」



「え?え?」



「ギギ―!!!」



 天使と喋っている間にガーゴイルは俺に襲ってきたけど…ガーゴイルが遅く見えるのは気のせいか?魔力も感じるけどとても強そうな魔力だとは思えない



「ギ―!!」



 ガーゴイルは渾身の力を込めた感じでパンチを繰り出してきた


 バシッと俺は反射的に左手で受け止めた


 軽い…


 とてつもなく軽かった



「ギギ…!?」



 ガーゴイルは腕を振りほどき、後ろにジャンプして距離をとった


 今のはなんだ?俺の力試しのつもりで軽く殴って来たのか?



「今ので分かったでしょ?アイツの攻撃はあんたには効かないのよ」



「もしかして今のは全力で来たのか?」



「そうね。問答無用であんたを殺すつもりで殴り掛かって来たわ」



「でも全然痛くなかったぞ?」



「だからアイツの能力より、私の加護の方が圧倒的に強いのよ。さっさと倒して戻りましょ」



「倒すって言ってもどうやって?」



「魔法を一発ぶち込んでやれば倒せるわよ」



 魔法をぶち込むってどうやればいいんだよ…


 そんな事を考えていたらガーゴイルから高まっていく魔力を感じた



「なあ、アイツの魔力が強くなっている気がするんだけど…」



「多分魔法を使うのよ。きっとあんたが殺されかけた炎の魔法ね」



「いやそれってヤバくないか?」



「あんたはその炎を1回吹っ飛ばしてるでしょ?何もヤバくないじゃない」



「それはそうだけどさ」



「あんたって結構ビビりなのね~」



 人の気も知らない天使と喋っているうちにガーゴイルは魔法を放った


 天使の言った通り炎だ


 一度俺を焼いた炎


 あの時の記憶が甦る


 これをもう一度受けるのか?そしたら次こそ死ぬんじゃないか?



「受け止めなさい!!」



 力強いその声に反応して俺は咄嗟に右手で炎を受け止めた


 手のひらで炎が止まり燃え続ける



「止まった…のか?」



「ギギギ…」



 自分の魔法を受け止められてガーゴイルは気が動転している感じがする



「やっぱり………」



 天使は小さな声で何か呟いたようだが言葉は上手く聞き取れなかった



「ん?どうした?っていうかこの炎はどうすればいいんだ?」



「え!?ああ、とりあえず魔力を少し手に集めて握りつぶせばいいわ」



 炎を握りつぶすってまた変な事を…


 しかしこの天使の言う事なら何故かできると思ってしまうようになっていた


 手に魔力を集中する感じか?


 言われた通りに炎を握りつぶす



 炎はいとも簡単に俺の手の中で消えた


 全然熱くなかったな



「ギギ―!!」



 ガーゴイルは炎を消されたのを見て、逃げ出そうとしていた



「おい!逃げられそうだけど、どうすりゃ魔法が使えるんだ!?」



「だからイメージよ!私の魔力を放出するのはできたでしょ!?今度は自分の魔力をえーと、何か自然現象をイメージして放てばいいのよ!」



「スゲー大雑把だなオイ…」



「うっさいわね!早くやりなさいよ!」



「ギー」



 俺たちが言い合いをしている間に、ガーゴイルは飛び立っていた


 そのまま後方上空へ逃げている



「うおおおおぉぉ!!」



 俺は無意識のうちにガーゴイル目掛けて左手から魔力を解き放った


 大きな炎が俺の手から放たれてガーゴイルへ飛んでいく



「ギ!?」



 ガーゴイルがこちらへ振り向くと炎が当たる



「ギーギー!ギアァァ…!」



 ガーゴイルは上空で燃え上がり、そして地面に落ちた

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