~空間魔法~
森を抜けた先には砂地が広がりながらも、少々の岩石地帯があり、遠くの方には山がいくつか見える
どうやらこの先には火山があるようだ
活火山なのか死火山なのか定かではないが
視界的には広く辺りを見渡せるレベルで広い
時間的に夕方に差し掛かっており、岩石地帯で今日の野営をするという事で、俺達は走ってそこを目指す
途中で襲ってくる敵の数は少なくなったが、森の中よりも強いトカゲやモグラみたいな魔物が土の中から現れたりしてきた
こいつらも今の俺達なら苦戦する事はなく倒せるレベルで、日が沈む前には岩石地帯に辿り着けたのだった
「ところで宗、戻りはいつ頃にするんだ?」
「そういやリーナ、帰りはいつくらいに戻りだすんだ?」
頭の中から抜けていたが、8月がもう半分終わっている
つまり俺の夏休みがそろそろ終わりを迎えるのだ
ここまでの道のりにかかった日数から帰りを逆算して、亀裂に戻る日にちを決めなければならない
「その事なら問題ないわよ。亀裂をここに呼び出せばいいわ。」
亀裂を呼び出す?
また意味の分からない事を言い出したぞこの天使
「そうか、亀裂の方を持ってくればいいのか!」
あれ?アレフは分かっているのかな?
「そうよー。簡単な事でしょ?」
「ああ!それでどうやって亀裂を作るんだ?」
「・・・」
やはりアレフは分かっていなかった
「結局のところどうするんだ?」
「まあ私に任せなさい。これでも空間魔法は得意分野なのよ」
リーナの得意魔法の分野は初めて聞いたな
空間魔法は俺も何度か挑戦したけど全然できなかった
普通に難しすぎるし、イメージが上手く湧かないんだよな
「それじゃあ宗、またお願いね」
リーナは魔力を集中させ始めた
いつもよりも時間をかけて集中している
今まで感じた事のない質の魔力が俺の身体を駆け巡ってきた
「いいわよ」
俺はリーナの魔力を解き放つ
解き放ちはしたが何も起こらなかった
「おかしいわ!何でなのよ!」
1人で勝手に逆ギレしている天使がここにいる
しかしリーナが失敗するだなんて初めてじゃないか?それほどまでに難しい魔法なんだろうか?
「これはどういう魔法だったんだ?」
「亀裂の空間とここの空間を入れ替える魔法よ。失敗した原因は…」
「原因は…?」
リーナは俺の方をじっと見ている
え?もしかして俺が原因で失敗したのか?
「宗が失敗したのか!?」
おいおいアレフ…俺はただ魔法を放っただけで失敗するもクソもないと思うんだが
「原因は恐らくだけど、私が自分の身体じゃないからね。」
「つまり?」
「アンタの身体を媒介にして使う魔法には限度があるって事よ。多分ある程度の魔法は大丈夫だけど、遠い場所の空間を入れ替えたりとかそういうちょっとレベルの高い魔法は無理って事みたいね。」
「そんな事があるのか…」
「元々私の魂の器はアンタの身体じゃないからね。今はアンタの身体に居候しているだけの状態だから自分の身体みたいに細かいところまでシンクロしてるわけじゃないのよ。薄々感じてはいたけど、この失敗で確定的になったわ」
「えーと、それじゃあ帰りはどうするんだ?」
「ちょっともう一回試してもいいかしら?」
「ああ」
そう言ってリーナはまた魔力を集中させ始めた
一度失敗しても諦めないのはリーナっぽいというか何というか
アレフはよく分からないような顔でじっと見ている
「いいわよ宗。もう一度やってみて」
俺はさっきと同じように魔力を解き放つ
先ほどとは違い目の前の空間が魔力で覆われていき、俺達が通ってきた亀裂みたいなものができ始めた
亀裂は形を変え、やがて人が通れるくらいの大きさになってきた
「宗、もう一度魔法を撃って」
いきなり言われ戸惑ったがすぐにもう一度魔力を解き放つ
どうやら亀裂が出来るまでの間にリーナは次の魔法の魔力を溜めていたみたいだ
亀裂に2つ目の魔法を当てると空間の周りが光を帯び、空間の膨張はピタリと止まった
「これは…」
「私達が渡ってきた海岸よ。ここまでの距離ならアンタの身体でも何とか繋げる事が出来るみたいね」
「凄いなリーナ!それに宗も!」
いやこれは単純にリーナが凄いんだよアレフ
しかし海岸までとは言っても距離的に大体半分は短縮できている事になる
これはとんでもなく凄い魔法だ
「これはどういう仕組みなんだ?」
「海岸の一部分とここの一部分を入れ替えたのよ。空間同士で繋がった状態で入れ替えてるからここを通れば普通に海岸に出れるわ。2発目の魔法は、人界で結界を見えなくして固定したのと同じよ。多分だけど真面目に帰るのだけに集中して走れば海岸からなら1日で亀裂までは戻れると思う。これで時間ギリギリまで先に進めるでしょ?」
わー、この天使さらっと凄い事言ってんなー




