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魂の天使  作者: らんペル
3章~魔界突入~
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~殻~

 エビは炎玉によって燃えた顔を振りながら悶えている



「キュゴオォォ…」



 鳴き声なのか何なのかよく分からない声を上げながら必死に炎を消そうと顔を振り回す


 アレフはその隙を見逃さず既に行動をしていた



「ここだ!!」



 バキィン!!


 今までとは明らかに違う音が響く


 アレフの関節狙いのパンチは、今まで動きもしなかったエビの右腕をふらつかせた


 これは効いている!



「アレフ!休まず一気に攻撃するぞ!」


「オラオラー!!」


 執拗なまでの同じ個所への連続攻撃


 少しずつエビの腕の力が抜けていっているのが目に見えて分かるくらいにダメージを与えている


 この好機に俺も反対側へ周り込み、左腕の関節部分に炎玉を連続で発射する


 ドンッ!!ボオン!!



「キシャアアァァ!!」



 不気味とも呼べるエビの悲鳴が俺達の耳を通り抜ける


 結構怒ってるようだな


 しかし確実に手応えはあった


 後はこれがどうなるかだが


 炎玉が当たった関節部分の殻にヒビのようなものが入っている



「宗!!腕にヒビが入ったぞ!」



 どうやらアレフの方の腕もヒビが入ったみたいだ


 中に攻撃が当たればしっかりとしたダメージを与えて倒す事ができる


 そう確信した俺は一旦アレフの下へ戻る



「アレフ、殻さえ破れれば後は魔法でケリを着けれると思う」


「俺もそう考えてた。俺がもう一発全力でぶち込んで腕の殻を壊す。そっから殻の中目掛けて魔法撃てるか?」


「全く同じ考えだな」



 お互いに考える事は同じだった


 顔を包んでいた炎が消え、怒りをあらわにしたエビはこちらを睨みつけている


 ここからコイツはどう動く…?



(ここからが正念場。恐らく初めての水の中での戦闘になる。まだ空気の膜を作った事がないから長い水中戦は出来ない。あの子達は上手く勝てるかしら…?)



 エビは大きく両手を振りかぶった


 攻撃してくるかと身構えたが、そのまま水中へと勢いよく潜っていったのだ



「宗!エビが逃げたぞ!」


「違う、逃げたんじゃない!水中から襲ってくるつもりだ!」



 湖の上での戦闘、当然水の中での戦闘になる事だって予想できたはずなのに、対処法が分からない


 ただ目の前の敵を倒す事だけに集中すればいいわけじゃない事を今痛感した


 どうすればいい


 水の中じゃ炎玉なんて全く意味がない…



「宗!俺に考えがあるんだがいいか?」


「何だ?今はどんなのでも有難い」


「俺が何とかしてアイツを水中から引きずり出す。宗はアイツが水上に出たらトドメの一撃を入れてくれ」



 ごくごく普通に考えられる戦法だな


 でも今の俺達に出来るのはそれくらいしかないか


 ここはアレフを信じよう



「分かった!無茶するなよ」


「任せとけ!特大の炎玉を頼むぞ!」



 そう言うとアレフは思いっきり空気を吸い込み水中へと潜っていった



(綺麗な湖だな。こんなに綺麗な所がにあんなでっかい魔物の住処だなんて俺も知らない事がまだまだある。それよりもエビはどこに行った?)



 水中に潜り辺りを見渡すアレフ


 あれだけデカいエビである以上アレフはすぐに奴を見つける



(さて、どうすればいい…?アイツを水上に上げるとは言ったものの方法が分からないな。水中で呼吸をしなくてもいられるのは多分10分がいいところだろう…)



 アレフが水中で頑張ってくれている間に俺がやるべき事


 それはエビに対して、今の俺の全力の魔法をぶつける


 きっとこれが奴にまともに勝つ最初で最後のチャンス


 俺は全力で右腕に魔力を集中させ、その時を待つ



 アレフは水中で奴と戦っていた


 水の中ではアレフの動きは遅くなる


 しかしエビの動きは水上と何ら変わらない速度だった


 動きが鈍くなったアレフは当然避けられる筈もなく、横払いされたエビの腕が腹に直撃する



「ゴボッ!」



 攻撃を受けたアレフは衝撃によって空気を吐き出す



(こいつは効く…そう何発もくらえねえぞ……)



 しかしエビの攻撃は休まる事はなくアレフに襲い掛かる


 水中の中ではあるが辛うじて直撃を避ける


 次第に最初に取り込んだ空気が段々と減っていく



(ヤバい…思ったより息が続かない!方法は何でもいいから、とにかくコイツを上までぶっ飛ばせば……ぶっ飛ばす…?)



 何かを思いついたアレフ


 しかし水中にいられる時間は残り僅かで、考えている暇は彼にはなかった



(やるしかねえ…一か八かだ!!)



 少しずつ距離を詰めながらもアレフは両腕に魔力を集中させる


 エビが攻撃のパターンを変え尻尾をアレフ目掛けて叩きつける



(ここしかねえ!!)



 紙一重で尻尾をかわしたアレフは、一瞬の力を爆発させるために溜めた魔力を解放し、そのまま片手で尻尾の一部分を掴みエビを引き寄せる



「ゴボボボ!!!」(ウラアアァァ!)



 エビの腹が目の前に引き寄せられた時、もう片方の腕に溜めていた魔力を爆発させ、水面に向かってエビを殴った


 エビは衝撃により勢いよく吹き飛ばされ水面へと飛んでいく


 しかし水の抵抗は強く、水上まで上がるかどうか微妙なラインであった


 勢いが弱まりつつあったその時、アレフは2撃目をエビに打ち込みさらに水面へと向けエビの体は加速した



(行ってこいや!後は頼むぞ宗…)



 水中で明らかに戦闘が起こっている


 アレフを心配していたがそんな心配をよそに水中の様子が変わる


 水面に大量の泡が噴き出してきている


 来る…きっとアレフがやったんだ


 俺はいつでも魔法を撃てるように身構え時を待つと、段々とエビらしき姿が見えてくる


 水面にたどり着きそうになると同時に水の中からエビが勢いよく打ち上げられ宙に舞う



「さすがアレフだ!あれは…?」



 宙に浮かぶエビの腹に殻を砕かれた跡がある


 俺は何のためらいもなく、砕かれた跡目掛けて全力の炎玉を放った


 特訓や先ほど使ったものとは違い、かなり大きめのサイズの炎玉はエビの腹に直撃した



「ギシャーーッ!シャー!!」



 大きなエビの叫び声が上がる中、炎は砕けた殻の中へ入り込み燃えていく


 そして宙に舞ったエビは、奴自身が凍らせたところへ落ちた


 リーナが言っていた通りエビの魔力は相当強かったんだ


 あの巨体が落ちても割れない氷面とは…くらっていたら本当にヤバかったな


 氷の上で燃えるエビからはもう叫び声は聞こえなくなっていた


 あれが最後の断末魔だったんだろう


 エビが氷に落ちてからほんの数秒…アレフが水面に顔を出した



「ブファアァッ!!ガハッ!!」



 息が限界だったのが最初の空気の吸い方で分かる


 水面を激しく揺らしながらも水上に出たアレフは、その場でしゃがみ込み深呼吸をし始めたので、俺は歩み寄り声をかけた



「やったな!俺達の勝ちだ!」


「ああ!」



 立ち上がったアレフと互いに腕を組み、1人では勝てなかった敵との戦闘は終わりを告げた

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