~開けた先には~
早朝7時
更に森の奥深くへと俺達は突き進む
常に安全に探索出来ているかと言われたらそうでもなく、奥に行けば行くほど訳の分からない魔物が襲ってくる事が多くなってきていた
しかし幸運な事に俺達より強い魔物とはまだ出会っていない
戦闘の経験を積みながら進めているので一石二鳥というところだろう
「本当に魔界って広いな。もう4日も経つのに未だに森から出る気配がない」
ここまで一直線に進んで何かしら開けた場所にすら出ないとは思いもしなかった
「そうね、広すぎてちょっと嫌になってくるわ」
「天界にいた時はここまで調査とかはしなかったのか?」
アレフがナイスな質問をしてくれた!
「そりゃあある程度の所までは調査してたわよ。でもそれはあくまでも各王のエリア内の話。あいつらのエリア内ですらまともに全部は調査出来てないからエリアの外なんて未調査同然よ」
「どうして王のエリア内だけなんだ?」
「したくても調査が進まないのよ。王と鉢合わせるわけにはいかないし、当然襲ってくる奴らもいるの。そいつらの相手をしながら王には気を付けてなんて、調査がまともに進むはずがないのよ。後はエリアそのものが広すぎるっていうのもあるからね」
なるほどな
天界は天界で大変な仕事をしていたみたいだ
だからリーナもこの辺りの事は何も知らないし、ましてや海の向こう側なんて見たこともなかったんだろう
「そうだったのか、何か悪かったな」
「別にいいわよ。シーヴァがあの海岸を通ったって事だけはハッキリ分かってるんだから、収穫0って訳ではないから」
「ハハハ、そうだな」
アレフは高笑いをしているが、現状は何も変わらない
とにかくこの森を出なければ天界への手がかりは無いに等しいのだから
その後も俺達は森を進み続けた
そしてさらに2日
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「アンタ達!湖が見えたわよ!」
リーナの声が大きく響く
少し高めの場所から見ていたリーナは俺達よりも一早く湖を発見したのだ
俺とアレフはお互い顔を合わせ進む速度を上げた
やっとの思いで少し開けた場所には広大な湖が広がっていた
広がっていたが…
「いやこれ海じゃないのか?」
目の前にはとてつもなく広大な水源
普通に見れば海にしか見えないが…
「何言ってんのよ。海じゃなくて湖よ」
「いや向こう岸見えねえし…」
「向こう岸の見えない湖くらい人界にもあるでしょうが」
確かにそうだ
いやそうなんだが…
「宗の世界にもこんな広い湖があるのか?俺はこんな広いのは初めて見るが」
「ああ、あるっちゃあるよ。でもこんな水面だけが果てしなく続くような思いにはならないよ」
そうなのだ
日本では琵琶湖とか広い湖自体はあるが、それはあくまで人界の話
魔界はスケールが違いすぎる
とりあえず見渡して見えるのは果てしない水面とどこまで続いているか分からない湖沿いの道
本当に終わりがあんのかよ
「まあ宗がそう思うのは仕方ないわね。人界では既に地図とかで、どこがどうなっているかその場所を見なくても大体わかるんだから」
「そんな物まであるのか!?人界って本当にすごいな!」
天然なアレフをよそにリーナの洞察は当たっている
「それでこっからはどうする?また湖の上を渡っていくのか?」
「そうね。ただこの湖、何か強い奴がいるわ…」
ピクッ
俺とアレフはリーナの言葉に即座に反応した
強い奴…
今魔力を探してはみたが、そんな脅威になるような魔力は俺には感じ取れない
アレフの方に顔をやると首を横に振った
どうやらアレフも感じ取れないみたいだ
「どうしてそんなに強いって分かるんだ?俺には何も感じ取れないんだけど」
「経験の差ね。これはその内備わってくるから安心なさい。でも明らかに力を抑えている感じの魔力の出し方…。今のアンタ達が相手をするとしたら相当強いわよ。」
ゴクリ…
やはり俺は人界の時とは性格が違うようだ
その相当強い魔物と戦ってみたいと思っている
今現在リーナの加護は不意打ちでも致命傷を負わないように防御の為だけに使っている状態
リーナ自身の魔力量にも限界はあるから普段はこれがベストなのだ
「なあ加護無しで勝てる相手か?アレフと2人なら…」
「微妙なところね。私の加護をそれなりに使えば全然勝てる相手ではあると思うけど」
ホンっとにこの天使は強いな
「俺と宗で戦わせてくれないか?」
「アレフ…」
「この先に進むならどうせ倒さなくちゃいけない相手なんだろ?じゃあ俺と宗でキッチリ倒してやるぜ」
やる気満々だな
そうだ、俺は別に魔界に遊びに来たわけじゃないんだ
「リーナ、俺からも頼む。俺もやってみたい」
「しょうがないわね。危なくなったら加護を強めるから、その時はすぐに終わらせるのよ。あと…―—―」
戦闘をやる事は決まった!
しかし今日ではなく、このまま水辺付近でキャンプをして明日戦う
戦闘が長引いて夜になったところで他の魔物が乱入してきたりする確率を下げるためだ
明日の戦闘に臨むべく、俺とアレフは野営の準備をして今日の特訓に入った




