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魂の天使  作者: らんペル
1章~人と天使と魂~
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~現実~

 俺はまだ死んでない?一体どういう意味だ?火が体中に燃え広がって呼吸もできなくなってそのまま意識が…これでまだ死んでないって…ここは天国?それとも夢?一体どこからが夢なんだ?



「時間がないからそのまま聞きなさい」



 それにこの子は誰なんだ?白いノースリーブに白のパンツ


 赤いショートヘア、そして赤い瞳


 身長は俺が170くらいでそれよりわりと低いから150ちょっとくらいか


 スタイルは良さそうだが胸はちょっと小さめでめっちゃ可愛い顔をしている


 今時の子って感じがするが日本人ではないのか?



「あんた聞いてるの!?」



「ああ悪い、ちゃんと聞いてるよ」



 彼女は怒っている様子だがそのまま話し出す



「ここは魂の精神世界。現実世界のあんたは今炎に焼かれて死ぬ寸前の状態よ」



 彼女は俺が燃えた事を知っている


 やっぱり身体中が燃えていたのは夢ではないみたいだが、魂の精神世界ってなんだそりゃ



「悪いんだけど詳しく説明している時間はないのよ。単刀直入に聞くけどあんたは助かりたい?それともこのまま炎に焼き尽くされて死にたい?」



 なんだその質問は…



「いやちょっと待って!俺、今なにがなんだか分からないんだけど…」



「時間がないって言ったでしょ私が魔力を使ってこの世界にいられるのもあとほんの僅か。私の魔力が切れたらあんたは現実世界に戻って死ぬだけよ」



 死ぬ…?つまりあの炎の中に戻って死ぬだけ…


 それはさすがに嫌だな


 だけど嫌だからと言ってどうこうできるわけがないし



「さあどうするの?」



「いや、そりゃ助かりたいけど」



「それじゃあ交渉成立ね。事情は後で説明してあげるから私の手を握って」



 彼女は微笑みながら俺のほうに手を差し出してきた



 いやいやいやその前にやっぱりあなた誰ですか!?精神世界と現実世界ってどういう事ですか!?むしろ何であなたは微妙に光ってるんですか!?何でそんなに可愛いのに光ってるんですか!?



「さっさとしろこのボケ!」



「え!?ああ!ハイッ!」



 俺は彼女の勢いに押され差し出された手を反射的に握った


 手を握ると彼女の光りがどんどん強くなっていく



「とりあえずありがとう。これから現実世界に戻るけど戻ったら私の言う通りにしなさい。それであんたは死なずに済むから」



「あぁ…わかった」



 光が眩しくなってきて目を開けていられない


 俺は目を閉じた



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 よく寝た気分だ


 変な夢を見ていた気がするが


 って地面が固いな


 ん?地面?



 目を開けた俺の視界に入って来たのはとにかく赤寄りのオレンジ色の光景


 というよりもそれしか見えない


 心なしか少し暖かい感じがする


 そもそも何で地面で寝てるんだ?俺はとっさに起き上がった



「戻ったわね。じゃあまずはこのうっとしい炎を消し飛ばすわよ」



 頭の中に聞き覚えのある声が響いてきた


 この声はさっきの…あれは夢じゃなかったのか?それより現実の続きって事は俺は今燃えている状態!?でも熱くないし、苦しくない


 さっきまであんなに苦しくて死を実感している感じだったのに



「返事くらいしなさいよ!」



 また声が頭の中で聞こえる



「え?返事って言われてもどうやって…」



「普通に話せば私に聞こえるわよ!」



「そうなのか?これで聞こえているのか?それで君は今どこにいるんだ?」



「私はあんたの中よ」



 はい?俺はやっぱり炎に燃やされて死んだのか?頭の中に声が響いてくるし、焼かれてるのに熱くも苦しくもない、挙句の果てには光る女の子の幻まで見てしまって…ましてやその子が俺の中にだなんて…



「正確にはあんたの魂と身体を共有させてもらってる状態ね」



 いやいやいやいや!!!この子は何を言っているのデスカ?魂?身体を共有?聞きなれない文字列の言葉に俺は戸惑う



「さっきも言ったけど後で説明してあげるから、まずはこの炎を消し飛ばすわよ」



 彼女の声はするが姿は見えない


 炎を消したら目の前にいるのだろうか



「でもどうやって消したらいいんだ?」



「炎を消し飛ばすイメージで気合を入れればいいのよ」



 …そんなので炎が消えてたまるか


 でもこれだけ不思議な事が立て続けに起こったんだ


 もしかしたらと思いながら俺は気合を入れた



「ハッッ!!」



 しかし炎は消えなかった



「————消えねえじゃねえか…」



「あーそういえば魔力の説明してなかったっけ?身体の内側でエネルギーを溜めて外に放出する感じでもう1回やってみなさい」



 さっきから精神世界だの魔力だのってなんだよ


 いつからこの世界はファンタジーになったんだ


 疑いつつも彼女の言う通りもう一度やってみる


 エネルギーを溜めるイメージ


 身体の中で感じた事のない何かが発生しているのがわかる


 集中してそれを腹の辺りに集める…


 そして一気に外に放出する



「うおおぉっ!!」



 パァンッ!!


 光と何かが弾けたような音と共に俺を焼き尽くそうとしていた炎が吹き飛んで消えていった



「何だこれ…?」



「やればできるじゃない。それが魔力よ」



「じゃあ今のは俺が魔法を使えたって事か?何でこんな事ができるようになったんだ」



「さっきから質問が多いわね。とりあえずあんた服持ってないわけ?」



「服って?」



「あんた燃やされてたんだから当然だけど、服も一緒に燃えてるわよ」



 俺は自分の体を見てみる


 上半身は裸


 下半身はズボンは履いてなく、パンツが所々焼けて今にもな状態だった



「う、うわあああぁぁ!!!!あれ?」



 服がないことに驚いたが同時に疑問が浮かんだ



「俺ってあんなに燃えてたのに、何で火傷一つないんだ…?」



「私が治したのよ死にかけの人間の体を治すくらい訳ないわ」



「治したって…」



 何がなんだか分からないままだが、段々と落ち着いてきた


 頭の中で声がするのはやはり現実だ


 しかし周りを見てもさっきの女の子はいない


 だが声は確かに聞こえる


 本当に俺の中に彼女がいるのか…



「なあ、炎は消えたし、そろそろ色々と教えてくれてもいいんじゃないか?」



「そうねとりあえず死ぬのは免れたからあんたの疑問、質問に答えてあげるわ。でもその前に」



「その前に?」



「さっさと服を着なさい」

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