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魂の天使  作者: らんペル
3章~魔界突入~
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魔界探索~

 現在地は森



「ブモ――!!!」



 森の中で俺達は、豚?イノシシ?見た目はそんな感じだけど獰猛な動物に襲われた


 アレフは動きを見切っており、突進してくる敵の巨体をヒョイっと避けて頭に向け肘打ちを入れる


 しかし敵は1匹で、魔法も使ってこない


 言うなれば人界での野生の動物と大差ないのだ


 それはもはやアレフの敵ではなく、いとも簡単に倒してしまった



「おおーい、コイツ今日の晩飯にしようぜー」


「はは、さすがは魔界だ」



 サバイバル慣れしているというか、これが魔界での生活


 人界のサバイバルでも同じような感じではあるのだろうが、俺は全くの未経験だ


 ゆえにこういうのは経験豊富な人が近くにいるのがとても有難い



「そうね、今日の探索はこの辺にして、ご飯にしましょう。でもちゃんと日課の特訓は忘れないようにしてね」



「はいはい厳しいな、リーナはハハハッ」



 アレフは笑いながらもリーナの言う通り、晩御飯の準備を始めた


 木々を集め、石で囲い、あっという間に焚火の準備をしてしまう



「宗は水とか寝袋の準備だけでもしといてくれるか?」


「分かった」



 サバイバルというよりもキャンプだなこれは



「リーナ」


「ええ」



 俺の呼びかけに応じてリーナは魔力を少し解放する


 その魔力を俺が受け取り、カバンから取り出した物に魔力を注ぐ


 するととても小さい物が大きくなり、見慣れたポリタンクが現れる・


 これは物を圧縮する魔法で無属性に位置する魔法らしい


 物そのものではなく、物を囲む空間ごと凝縮するとかなんとかで、簡単に見えるが実はとんでもない精度と緻密な魔力コントロールがいるらしい


 俺も人界でやってはみたが、まず空間の圧縮自体が出来ないので、うんともすんとも言わず…


 結局出発前にリーナが魔法をかけて超ミニチュアサイズへと荷物をサイズダウンさせた


 空間ごとなのでそれそのものは無重力状態で重さを感じる事はなく、魔力制御によって収納しているのでどこかに浮いて飛んでいってしまう事もないのだとか


 いやはや全く便利な魔法だが、そのおかげで大量の荷物をリュック1つで収納する事が可能になった


 水と鍋とコップを用意し、アレフの用意した焚火セットに炎魔法を当てて着火する


 水は念の為沸騰させてから冷やして飲む事にしている


 当然だが魔界に病院はないので、体調や食材の品質管理は絶対に手を緩めてはいけないのだ



「準備できたか?こっちは出来たから焼いてくぞ」



 準備をしているとアレフは先ほどの動物の肉を食べやすいサイズにしてくれていた


 やっぱりこういう生活をしていたであろうアレフの手際はよく、あの巨体がもう食べられる食材に変身していた



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「リーナ」


「どうしたの?」



 準備が整いこれから晩御飯の時間


 俺は1つ気になっていた事をリーナに問いかけた



「天界では俺達のこの行為をどう捉えてるんだ?」


「どうしたんだ宗」


「ただの狩りよ。すべての生物は生きるために何かを食す。そこに善や悪なんてないし、食べなければ生きていけないならなおの事。この世界は何かを犠牲にして何かが成り立つ。神様もそう言っていたから、狩りそのものに問題はないわ。問題があるとしたら、別の目的で悪戯に他の生物の生命を奪う事ね。アンタを襲ったガーゴイルなんかがいい例よ」



「ならなおの事、人間のやっている事はどうなんだろうって思ってさ」



 人界では人間が支配者だが、この魔界に来てから圧倒的に非日常を経験してきた俺は、違う考え方を覚えてしまった


 人間はちっぽけだなと


 この魔界において絶対的に必要なのは力


 しかし力が必要という事は他者を制圧するという事


 それは当然、命を奪う事も含まれる


 だがそれは人界でも日常的に起こっている


 ちっぽけな人間が科学で生み出した武器や兵器、長年積み上げてきた知恵を駆使して様々な動物を管理し、育成、時には間引きする事だってある


 しかし魔界での出来事が考えを歪める…それが本当に許される行為なのだろうかと疑問になってきた


 ———この魔界こそが生きる者達の正しい姿なのではないだろうかと…



「そうね、アンタの言う通り人間は間違っているかもしれないわ」


「ど、どういう事だリーナ!?」



 アレフはちんぷんかんぷんなようだ


 無理もない


 アレフは俺以外の人間を知らないし、今まで魔界で生きてきたからだ


 人界がどのようなシステムになっているのか、どんな歴史を紡いできたのかなんて想像もできないだろう



「ただ人間が間違っているとも言えないわ。宗、アンタはまだ高校生ながら普通じゃあり得ない経験をしている。古の時代に人間が失った魔法を使って魔界を探索、魔物との戦い、未知との遭遇、恐怖、それらをアンタの歳で体験したらそんな風に考えがまとまらないのも無理ないわ。でもねまだ未熟なアンタだからこれから時間をかけて考えていけばいいのよ。今焦って答を出す必要はないし、人間が人間を間違っていると思うなんて、それこそ間違っているわよ。少なくとも天界では人間を愚かだと評価しているわけではないし、神様も人間には天使達が想像もつかない可能性があるって言ってたから安心しなさいな」



「———可能性…?」



「何の事かは分からないけどね。ただ今は難しい事考えずに出来る事をやりなさいって事よ」



 天使に言われると説得力があるな


 考えすぎか…、今まで興味がなかったから考えてもこなかった、考えようともしなかったから何かナーバスになっていたのかもな


 でもきっとまた考える時は来る…その時の俺はどんな風に考えてどんな答を出すんだろうか


 今俺にやれる事…



「よし!2人共ごめんな、ご飯食べよう!」



 精一杯頑張って天界に行って誰も見た事がない景色を見てみよう


 そしてそれからまた出来る事をやっていけばいい


 魔界探索1日目はこうして終わった

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