~成長~
あれからどれくらいの時間が経過しただろう
身体が重い、脚がガクガクしてきた
初めての経験だが、これから何が起こるかは分かる
もうすぐ意識が飛ぶ
分かっていながら意識が飛ぶなんて、普通の人生では中々経験できないだろうだけど…
「起きなさい宗」
リーナの声が聞こえ目を開けると俺は草原に横たわっていた
倒れるまでの事はハッキリと覚えているし、今は意識が飛んだからこの状態なんだというのもすぐに分かった
これが魔力切れか
「初めての魔力切れはどうかしら?」
この野郎、こうなる事は分かってたくせに、あえて聞いてくるなんて
「いい経験させてもらったよ。ん?魔力が回復してる…」
「すぐにちゃんと回復させといたわよ。アンタが倒れてたのもほんの10分くらい。ちなみに維持できた時間は15分前後ってところね」
たった10分だったのか
アレフとの試合の時もだけど意識が飛ぶと、寝るのとは違って時間がどれだけたったのか全く分からない
あまり体験したくない事だな
「じゃあ繰り返しやるわよ。炎は少しずつ大きくしてくからね~」
「え?」
逆らう事はできずに炎を発動し、維持して倒れるを夜まで繰り返した
「2人とも起きなさい!!」
もう慣れたようなものでリーナの声で目を覚ます
隣ではアレフが横たわっていた
「アレフ、おいアレフ起きろよ」
何度か呼びかけるとアレフは目を開き、意識を取り戻したようだ
どうやらアレフも魔力切れで意識が飛んでいたみたいだな
あれ?どうしてアレフは俺の横で倒れていたんだ?まあ細かい事はいいか
空は既に暗くなっていて、お腹が空いたな
スマホを取り出し時間を確認すると夜の11時を過ぎていた
かなり集中してたから気付かなかったが、こんなに時間が経っていたのか
「ああ、宗おはよう。俺は一体どうしたんだ?何で宗の横で寝てたんだ?」
どうやらアレフは魔力切れを起こした事に気付いていないみたいだ
俺は少しだけ説明した
「そういう事か。いやー特訓中に疲れてきてな、宗の様子を見に来たら倒れていて、駆け寄ろうとしたらこの有り様だぞハハハ」
「アレフは魔力切れを起こした事はなかったのか?」
「ああ、生まれて初めてだ。こんなにも魔力を使ったこともなかったしな」
虎牙族のアレフでさえ魔力切れが初めてだなんて驚きだな
「それじゃあ二人とも起きたからご飯にでもしましょうか。食べ終わったらもうちょっと特訓して今日はお終いにしましょう」
え?まだ特訓するんすか?そりゃあ回復してくれるから疲れが残ってる感じはあまりないんだけど
こうして俺の持ってきた食料をアレフと一緒に食べたあと特訓を再開し一日が終わった
ちなみにレトルトカレーを食べたアレフは言うまでもなく感動していた
次の日朝起きると身体に違和感がある
魔力が溢れてくるような感覚だ
「リーナこれはなんだ…」
「ん?ああもう現れたのねって、何よそれ!?」
とにかく力が溢れてくる感覚
昨日とは打って変わって魔力が高まっている
「なんだろう…今なら昨日の何倍にも特訓に耐えられる気がする。リーナ…」
「驚いたわね。アンタってもしかしたら天才の部類なのかもしれないわね」
天才?リーナは一体何を言っているんだろう
そういえばアレフはまだ寝ているのだろうか時間を確認すると朝9時
もう起きていてもおかしくはないな
「これは予想外だったわ。これならもう、すぐにでも次の特訓に移れるわね」
「何を言っているんだ?」
「ちょっと外に出なさい」
言われるがまま外に連れ出され、昨日炎を放った岩の前に来た
「昨日と同じように炎を撃ってみなさい。ただしアンタの全力でね」
何やらリーナは少々興奮しているみたいだ
だけど俺もこんな感覚のままはちょっと気持ち悪いから、一応全力で撃ってみるか
昨日と同じ感覚で炎を出す…しかし炎は俺の予想を裏切る形で出現した
同じ感覚で出したはずなのに勢いが全く違う
なんだこれ…
「これが昨日の特訓の成果…?」
俺は無我夢中になり全力で炎を岩に投げつけた
岩に当たった炎は凄い勢いで燃え上がった
ガーゴイルに向けて放った炎と同格…いやそれ以上の威力なのかもしれない
あの時はリーナの加護のおかげで俺の魔力も何もかも強化されていた
だが今は加護の恩恵を受けて魔法を使った訳ではない
「凄い成長ねアンタ…」
その後炎は何分間も消える事はなく、岩は黒く焦げた跡が残った




