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魂の天使  作者: らんペル
2章~日常と非日常~
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~逆転~

 俺達は亀裂の側で座り込み、これからの行動を決めるために話し合いをする



「まずは日程の確認からね。宗は明後日にまた人界に戻る。そしてその二日後に魔界に、それからは8月末まで大丈夫なのよね?」



「ああ今月のバイトがそこまでで、後はリーナも知っての通り、休みにしてもらってある」



「つまり四日…今日が20日だから最短での出発は24日…」



 リーナは何か計算しているようだ


 いつになく真剣なリーナの答えが出るまで俺とアレフはじっと座りながらその時を待つ


 ほんの数分考えたリーナが口を開く



「アレフ、この辺りの探索はどこまで出来たの?」



「ん?ああ、えっと宗達が会ったのはコビル族だったか?昨日俺も会ってきて、そこから奥の森まで行ったな。とりあえず話に聞いた場所に着いてからは南に行って範囲を広げてみたんだが、森が広がっているだけで特に何かあるってわけではなかったな」



「わかったわ。それだけでも情報として助かる。ってなると…」



 またリーナは考え出した


 俺がもう一度帰らなきゃいけない以上は、東の海を目指すってのはないだろうから残る選択肢は北か…



「よし決めたこうしましょう。まず明後日までアンタ達は特訓よ。それで宗が帰っている間はアレフも自己鍛錬していてもらうわ」



「え?北の探索はしなくていいのか?」



「行きたいところだけど、あくまでも目的は東の海を渡る事よ。だからとりあえず今日からの4日間はアンタ達の特訓を最優先。それで宗がバイトから帰ってきたら、改めて1週間使って北側を探索する」



「何で北側を1週間もかけて調べるんだ?」



「厳密に言えば北に向かって特訓の続きをしながら調べていくってところね。だから途中で立ち止まる事もするし一週間丸々使う訳でもない。少なくとも虎牙族の村と同程度の距離まで進んだらそこから東に向かうわ」



 なるほど、そうすれば北側を無駄なく探索できるし、何もなくてもそのまま海を目指すルートに変更できるな



「なぜそんな事をするんだ?村をそのまま越えて行けばいいんじゃないか?」



 アレフはなぜ真っすぐ海を目指さないか少々疑問のようだ



「つまりここから東に進むと、俺達が出会った岩場があるだろ?それよりもっと進んだところには虎牙族の村がある。でも海はさらに奥っていう話だから、まだ未探索の北から回り込んでこうって事だ。万が一北に何かあった時見落とさなくて済むからな」



「ほおー、宗とリーナは頭がいいな」



「まあこれでも完全に探索できるわけではないし、もしかしたら西や南のさらに奥に何かあるのかもしれない。でもとりあえずは情報を頼りにして東の海を目指すのが一番だと思う」



「そうね、もしかしたらの可能性にかけて時間を使うよりも、手がかりになりそうな確率の高い情報に時間を使った方がいい。少なくとも今わかっているのは、東の海を越えたところから虎牙族は来たんだから、単純に考えて戻る道を使えば別の虎牙族の村にたどり着く可能性があるって事よ」



 こうして俺達の最初の旅路は決まった


 4日後の出発のために今日からは特訓だ


 しかし



「でも何で特訓がいるんだ?」


「それは今から説明してあげるわよ。まず一昨日のアンタ達の試合を見させてもらったけど、正直物足りないっていうか、ハッキリ言って力不足感が否めないのよ」


「どういう事だ?」


「シーヴァの名前が出てきて虎牙族のいた所までの情報が手に入った。私たちはそこに向かうの。それはつまりシーヴァのエリアに確実に入り込むって事よ。ここまでは分かるわよね?」



「ああ大丈夫だ」



「問題なのが王のいるエリアは私の知る限りでもアンタ達より強い魔物が沢山いるのよ。天界に帰ろうとしても、そういうやつらに出会ったら、それだけでも命の危険がある。それで生存率を上げるために特訓するのよ」



 今この辺りは比較的強い魔物はいない


 言ってみれば俺達がこの辺りでは一番強いから安全だという事だ


 でもリーナの話ではシーヴァのエリア、つまり魔界の中心に近づけば俺達より強い魔物たちがわんさかいる


 あくまでも天界に行くための旅だから無理に戦う必要はないが、強い魔物からは逃げる力も持っていないと駄目だって訳か



「それで特訓ってのは何をすればいい?また宗と試合すればいいのか?」



 アレフとの試合か


 正直またやりたい感は俺にもあるけどそれだけで強くなれるものなのか?



「アンタ達がやるのは魔力のコントロールと絶対値の底上げよ」


「コントロールって脚に集めたり少しずつやってきたアレか?まだ他にもやる事があるのか?」


「そんなの腐るほどあるわよ。アンタ達の魔力の流れを見てると形はできてても無駄な部分が多い。それにアレフは魔力の絶対値がちょっと低いわね。私の知ってる虎牙族はそんなものじゃないわよ」



 かなり慣れてきた感じはしてたけどそれでもまだまだ足りないのか


 この中ではリーナが一番魔力の使い方が上手いから言っている事は確かなんだろう



「完全にコントロールできるようになったらどうなるんだ?」


「適格な質問ね宗。極端な話だけど魔力を纏った攻撃や移動、防御や魔法の発動なんかが呼吸をするように自然に出来るようになる」


 呼吸と同じようにって事は言い換えれば常に魔力を纏っている事が出来るようになるのか


 でもそうしたら魔力がもたないんじゃ…



「多分アンタの考えている事は概ね正しいわ。常に魔力を纏っていたらすぐに魔力が尽きて動けなくなるんじゃないかって事でしょ?それを解決するのが絶対値を増やす事。そして纏う魔力を常に維持できる必要最低限の量で補えるようにコントロールする力よ」



 こういう時のリーナはとんでもなく”カン”が優れてるな俺の考えや不安要素もバッチリ判っている



「なあなあ、話がよくわからないんだが俺にも魔法は使えるのか?」



 え?アレフはもしかして魔法を使えないのか?でも村に行くときや俺と戦った時に変身してたよな



「アレフは自分で気づいていないだけで今も使ってるわよ」


「え?今?どんな魔法だ?」


「獣化や人化の魔法よまあ正しくは身体変化の魔法ね。言っておくけど虎牙族の本当の姿はアンタが獣化した姿。恐らくこれも長い逃亡期間の間に昔の先祖達が身を隠すため、人型を基本として生活するために徹底して教え込んできたんでしょうね

 虎牙族は身体が大きいから少しでも小さく、そして不便でないようにって想像した姿が人型なのよ」



「そうだったのか…しかし俺は今、魔力を使ってこの形を維持しているつもりはないぞ」



「それが魔力のコントロールの成果よ。知らず知らずのうちに人型を維持する最小限の魔力を常に使っているの。さっきも言ったけど呼吸するのと同じようにね。だから自分では気付かない、気付けなくて当然。生きるために身についた技の1つで、それが当たり前になっているから。つまりアンタの村の虎牙族は姿形が逆転してしまっているの」



 全然わからなかった


 俺には魔界にも人と同じような姿の魔物がいるようにしか思わなかったけど、そんな事実があったなんて


 それを普通に見抜いていたリーナは凄いとしか言いようがない



「じゃあ俺は本当の姿に、獣化した姿に戻れば常に使っている魔力の分も強くなれるのか!?」


「残念ながらそういう事ではないわよ。まずアンタ達はコントロールが不完全なの。宗は最近魔力に目覚めたばかりだし、アレフは代々戦闘から離れていた長いブランクがあるから。でもコントロールを覚えれば無駄な魔力を使わないし、必要な魔力をすぐに溜めることもできる。もちろんそれに呼応するように魔法の威力も調節できるし、必然的に戦闘力自体も上がる事になる。だからコントロールは一番大事なの。絶対値はその次ね」



 説得力が半端じゃない


 リーナの言う通りにしてればちゃんと強くなれる


 命を救ってもらった事もそうだが、改めてこの天使に出会えた事に感謝しなければいけないな

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