~四神~
遠い遠い昔
私が天使として生まれるよりも更に昔の話
魔界は現在よりも数段荒れていた
常に弱肉強食の魔界ではあったものの、絶対的強者の王が4体
それぞれ独自の国と呼んでも差支えのない数の部下や魔物の群れ、かなりの数の町や村を持っていた
遠く離れた王達のエリアを、天界ではそれぞれ把握しながら監視をしていた
永い時が過ぎ少しずつ自分達のエリアを広げていった4体の王
天界ではいずれ王達のエリアが交わるのは予想できていた
当時の大天使達は事態を重くみて警戒していた
何かあれば天界総出で止めなければ魔界中を巻き込む大戦争が起こりかねないと
そして長い時間が経ち、遂に今まで交わる事のなかった王達が衝突する時が来た
距離にすればかなり離れている
だが王はすぐに自分とは別の強大な魔力や気配を察知した
その時の距離と居場所を中心として王達の中でエリア分けがされた
自分以外を先に察知したのは両翼の2体
そして察知した時に漏れた気配と魔力から自分の正面にもう1体いる事にも瞬時に気付く
察知するのと同時に動き出した者がいた
それが白虎のシーヴァ
各エリアの交わる中心から見るとシーヴァは西側にいた
中心に向かってとてつもない速さで駆け抜けるシーヴァ
やがて中心地にたどり着くとその場で待った
シーヴァの意図を読んだ他の3体もその頃ほぼ同時に動き出していた
少し遅れて他の王が到着する
今まで決して出会う事のなかったそれぞれの王が遂に邂逅する
極限の警戒態勢を敷いていた天界だったが、予想を裏切る形での幕引きとなった
王達は互いに互いを睨みその場を去った
恐らくは自他共に実力を見抜いたから
多少の強さの違いはあれど戦闘になった場合はバトルロイヤルになる
誰が生き残れるかは分からない
それを4体とも瞬時に見切り、誰も一言も発せず王達の邂逅は顔合わせのみで終わった
「これが私が天界で聞いた、王達の最初の情報よ」
「ちょっといいか?四神って神話の物語の生き物だろ?どうしてそんな奴らが現実に存在するんだ?」
「人界に神話はいっぱいあるでしょ?でもどれもが作り話だったり想像の話であったりする。その中で四神だけは現在進行形の実話だったってだけの話よ。もちろんその行いや何々を司るってのは違うんだけどね。ただ圧倒的に強い。神様にも匹敵しかねない力の持ち主達。それがアンタの知っている四神の正体で、天界や魔界では四王獣と呼ばれる魔物よ」
「とんでもないな、昔の俺の仲間達が遊ばれていたというほどの強さのシーヴァ。それと互角の力を持つ者が他に3体も」
やっべえだろそれは…どう足掻いても俺達に勝ち目ないじゃん
そんな奴らと出くわしたら間違いなく死ぬ…
「そんなに心配しなくてもいいわよ。今のアンタ達ならアイツらはこっちに興味も示さないわよ。私の目的は天界に帰る事だから、アイツらとやり合う気はない。それにアンタ達を天界の事情に巻き添えにするつもりもないわ」
そっか言われてみれば四王獣がどれだけ強くても、戦闘する必要はどこにもないんだ
天界にリーナを送り届けれれば俺の役目は終わりで、俺は日常に戻れる
アレフも仲間を見つけるのが目的だから戦う理由はない
心配するほどの事じゃないみたいだ
「ただ一個だけ問題がね…」
「どうしたんだ?」
アレフはリーナに問いかけるがちょっと嫌な予感がする
まだほんの僅かな期間しかリーナと一緒にいないがコイツは判りやすい
この顔はきっとろくでもない事を言い出す顔だ
「アンタ達だけなら問題はなかったのよ…」
「どういう事だ?」
「そのね…、私昔戦ったことがあるって言ったじゃない…?その時決着はつかなったのよ。もしかしたらシーヴァや他の王が私の事覚えてるかもなーって…」
「もういいよリーナ、お前の言いたい事は分かった。つまり俺と魂を共有している以上、王が覚えていたらお前の魂が見つかっちゃうって事だな?」
「そ、そうなのよーアハハ…ハ…ハ…」
最悪のケースじゃねえか
王のエリアに入らなきゃ天界への門へはたどり着けないんだよな
しかも門が使えるかどうかすらわからない状況で、最悪の場合、王に目を付けられる可能性だけがあるって事じゃねえかよ
「リーナ、俺達が王に絡まれたりしたらどうなる?」
「見逃してもらえるかもしれないけど…気まぐれで殺されるかも……アハッ☆」
「アハッ☆じゃねえよこのボケ天使があぁぁ!!」
「だってだってしょうがないじゃない!アイツらがどれくらい強いかちょっと試したくて、ちょっかいかけてみたら普通に戦闘になっちゃったんだし!しかも想像よりよっぽど強くて倒すなんて無理ゲーだったのよ!」
「まあまあ二人とも落ち着け!今はそんな事考えてもしょうがないだろ?まずは門が使えるかどうかが先決なんだから、今後の事を決めるためにもとりあえずは亀裂とやらに案内してくれよ」
アレフは落ち着いてるな
同世代かと思いきや年上オーラを醸し出している
アホな天使よりよっぽど頼りになる
そういえばアレフって何歳なんだろうか
「アレフって歳はいくつなんだ?」
「俺か?俺は生まれて20年くらい経つのかな?」
二十歳ってやっぱり大人だなあ
同世代くらいかと思ってたけど年上だったか
若く見えるのは虎牙族特有なのか
「ちなみにリーナは…?」
「女性に年齢を聞くもんじゃないわよ。あーもういつまでもくっちゃべってないで、亀裂までいくわよ二人とも!」
謎にリーナに一喝されながらも俺達は亀裂へと戻っていった




