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魂の天使  作者: らんペル
2章~日常と非日常~
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~虎牙~

「さて村長さん、あなた達虎牙族は昔どこから来て、どうしてこの地に住み着いたのかしら」



 試合が終わりアレフの家に戻るなり、リーナが問いかける



「我々はここより遥か遠くから来た。それはそれは何十年も何百年もかけて村を移しながら、今の村があるこの地にたどり着いたのは、ほんの2ヶ月ほど前になる」



「どうしてそんなに頻繁に移動するんですか?」



「食料の確保が難しいのだよ。我らはある程度の期間食べなくても生きてはいけるのだが、それにも限度はあるのだ。今いる虎牙族約30名がしっかり食べていくには狩りができる環境はもちろん、それなりに作物なども育つ環境が必要なのだ」



「そうか、だからアレフはあんなところで生態調査を」



「そうだ、でもこの辺りもハズレだな。作物は育つには育つが正直物足りないレベルだ。奥の森も多少なり果実が採れるがいずれは食い潰してしまう。周辺に食べれそうな魔物もいないからここもいずれ発つ事になる」



 食料問題か…魔界でもどこでも困っているところは困っているのが現実か



「シーヴァに敗れた虎牙族はいくつかに別れたと言ったね。私達以外の虎牙族が生きているのかも、もう今となっては分からないのだよ」



「そこは安心しなさい。シーヴァのエリア内ではあるけども他の虎牙族がいるのは私が昔確認済みよ」



「ほ、本当かリーナさん!?」



「ええ。でもまさかエリアの外にまで別れていたとは思ってもなかったから不思議だったのよ。でもほんの一部だけ、何世代にも渡ってここまで来ていたなら納得ね。ちなみにどの方角からきたのか聞いているかしら?」



「ありがとう…ありがとう……まだ仲間達は生きているのか…。————ああ、我々がどこから来たのかだったな私の父から聞いた話では、ここよりさらに東にある海を渡ってきてこの地に降り立ったと聞いておる。祖父の代から幾度となく旅を重ねてここにおりますので、どのくらいの距離になるのかは定かではないが」



 海!?魔界に海があるのか!?ただでさえここまでかなり距離があったのに、さらに別の地があるのか


 まあ考えてみれば当然か、人界にも海はあるし外国もある長旅になりそうな気がする



「ありがとう、それじゃあ私達からの情報だけど、アレフが調査していた岩場があるわよね?あれより先にはとにかくただ草原が広がるだけだから、別の方向に進んだ方が定住できる可能性はあるわ」



「おお有難い情報だ。聞いたかアレフ?次は…」



 アレフはうつむいて真剣な顔をしている


 何やら考え事をしているようだが



「おいアレフ聞いているのか!?」



「あ…!?ああ、すまない。————なあ親父、俺宗達について行ってもいいか?」



「どうしたんだ突然!?」



「さっき宗とやり合ってなんだかわからないけど俺の中でこう、もっと戦いたいというか、くすぶっているというか何というか…」



 アレフは何を言っているんだ!?せっかく一族で暮らしているのに何で皆と別れて俺と来ようとしているんだ!?



「そうかアレフ、やはりお前も私の子、そして虎牙族の子だ」



「何を当たり前の事を…?」



「行ってこい。私も昔自分の力を試したい、そしてシーヴァという者を一目見たいと思ったことがあった。しかしその時私には既に妻、お前の母さんが傍にいてな、親父も自由に動けなくなってきていて行動に移す事はできなかった。しかしお前はまだ全然若い。私や村の皆の事は気にせず自由に生きてみるといい」



 いい親父さんだ


 人間や魔物でも親子ってのはどこも変わらないんだな


 いずれは親元を離れ立派に生きていく


 俺も人界に戻ったら頑張らなきゃな



「ありがとう親父。言い出しといて何だけど、俺の希望だけじゃ駄目だからな。宗とリーナはどうだ?」



「私は構わないわよ。ただ宗がちょっと問題アリなのよ」



「俺が?一体何の問題があるんだ?アレフが一緒に来てくれるなら心強いだろ?」



「そういう意味じゃないわよバカね。アンタ学校やバイトはどうするのよ?いくら夏休みだからってずっとこの世界にいられるわけじゃないでしょ?」



「確かに。こればっかりは俺がスケジュール調整するしかないよな…」



「な、なあ宗リーナ、学校やらバイトって一体何の事なんだ?」



 俺にとっては普通の事でも魔界には人界の常識は一切通用しない


 当然学校なんてシステムはなくバイトも意味が分からないだろう


 俺は人界の在り方を簡単にではあるがアレフに説明した



「それは難しい問題だな。では一旦こうするのはどうだ?宗がいない間はその亀裂とやらの周辺をとりあえず俺が調査しておこう。もし気になる所があれば行ってみてもいいし、海を渡るのはそれからでも遅くないだろ?」



「それ名案だわ!さすが虎牙族ね」



「よし、なら今日はもうゆっくり休んで明日具体的に決めようぜ。宗達はあっちの部屋が空いてるからそこで寝るといい」



 次の俺達の目標は決まった


 昔虎牙族が渡ってきた東の海を探し、王の1匹シーヴァのいるエリアを目指す


 でもそのための一番の難関が俺のスケジュールかぁ…8月のバイト全部休みにしてもらうしかないかな…

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