~成果~
「エルー、ハルー、おーい」
「あっ宗!リーナも!」
「お帰りー無事だったんだね」
「ああ、ゴリ…魔物は退治はできなかったんだけど、今後こっちに来ることはあんまりないと思うよ」
「本当?でもどうやったの?」
「ちょこっとビビらしただけよ。でもアイツらには相当な恐怖心が芽生えたと思うから大丈夫よ」
「宗とリーナって強いんだねー。とにかくこれで安心して暮らせるよー。ありがとう」
森の魔物を退治?した俺たちはコビル族の村を後にした
とりあえず亀裂の場所まで戻ってきたが、これからどうするか
「次は違う方向に行ってみるか?」
「そうね、この亀裂を中心にしてコビル族の村を仮に北にするとしましょう。だからそれ以外の方角へ行ってみましょうか」
「それじゃあ反対の南正面に進んでみようか」
「決まりね。でも行くのは明日にしましょう」
「え?何でだ?」
「こっちに来てからもう結構な時間が経っていると思うわアンタも寮に帰らなきゃいけないでしょ」
俺はスマホを取り出して時間を確認した
もう夜8時前確か亀裂を通って来たのが昼の1時頃
ここに来てからそんなに時間が経っていたのか
寮の食堂が閉まったら晩飯がなくなっちゃうな
「続きは明日にして帰ろうか。晩飯食いそびれるのは嫌だしな」
「そうしましょう」
こうして夏休み1日目の魔界探索は終わった
コビル族に森の魔物ゴリリンか…日本じゃまず見る事の出来ない生物に遭遇した
今のところ危険っぽい危険はないけど、これからはわからないんだろうな
もっと強い魔物もいるんだろう
「あっ悪い、リーナ」
「何よ」
「明日は午前中バイトがあるの忘れてた。探索はまた昼過ぎからでいいか?」
「ああバイトね、まあアンタの生活だから私が文句言える筋合いはないから大丈夫よ」
「いやに聞き分けがいいな」
「しょうがないじゃない、本当は私一人でも探索したいけど、アンタの身体から長距離離れられないんだからどうしようもないわ」
「そういやそうだったな。まあバイトが終わり次第また探索しようぜ」
なんだかリーナが可哀そうに見えてきた
リーナが俺の身体から離れても問題ない状態にでもなれたらいいんだけどな
それができないのか帰り道にそっと聞いてみた
「できる方法はあるわよ」
例のごとく自転車で堤防沿いを走っている時、普通に返された
え?できるの?
「確か前に、そんなに離れられないって言ってたよな」
「言ったわねでも方法はあるわよ」
「どんな方法だ?」
「今の私をアンタの魔力でガードするの」
何だろう、言っている意味が全くわからない
「な、なあ具体的にどうすればいいんだよ」
「だから私をアンタの魔力で覆ってくれればいいのよ」
「それの意味がわからん」
「んーとつまり、魂だけで長時間体外に出る事は厳しいの。あまりにも長い時間体外にいると魂の形を維持できなくなって、魂の樹に還ってしまう。それを防ぐためにアンタの身体にある魔力で私を覆ってくれれば形を維持したまま行動できるのよ」
「何で俺の魔力だと形を維持できるんだ?」
「魂そのものに錯覚させるって言えばいいのかしら?今私の魂の器は紛れもなくアンタの身体なのよ。身体にほんの欠片でも魂を残せば、アンタの魔力をその欠片が勝手に感じ取るし、自分の魔力としても使えるわけなのよ。そうなれば外に出た魂の本体も常に身体の中で魔力を感じ取る事になる。そして外に出た魂を器である宗の魔力で覆ってあげれば、アンタの身体の中にいるのと変わらない状況が出来るって事よ」
なるほどそうしたら俺は一時的にでも自由の身になれるのか
「でも今のアンタじゃ無理ね~」
「あ?なんでだよ」
「わからないの?常に私をアンタが魔力を放出しながら覆ってなきゃならないの。まず魔力の絶対量が足りないし、そこまで遠隔コントロールできる技術もないでしょ」
「う…確かにそうだ」
「だから今のところは変わらず2人で探索していく事にしましょ」
「ああ、そうしようか」
今はほんの僅かだけど希望は見えた
これから先俺が強くなっていけば、いずれはリーナも長距離を離れての探索が可能になる
それが分かっただけでも今日の探索の収穫はあったな
リーナとの話が終わり、俺たちは寮に戻ったそして晩飯を食べるために食堂へ入る
「あら、思ったより人が少ないのね」
「もう夏休みに入ったからな。みんな帰省したり、遊びに行ったりで、いつもみたいに大人数はいないよ」
「アンタは実家に帰らなくていいの?」
「俺はバイトもあるし、実家って言っても隣の市だからいつでも帰れる。それに今はこっちの方が優先だしな」
他愛もない話をし、食堂で晩飯を食べ、自分の部屋に戻った
夏休み初日は探索でそれなりの結果は残せた気がする
明日はバイトだから今日はゆっくり休むことにした




