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魂の天使  作者: らんペル
序章
1/56

プロローグ〜天界の異変と始まりの暗雲〜

はじめまして、らんペルです。

初めての小説になります。


所々おかしい描写等あるかも知れませんが素人なのでお許しください。


作品は見やすさを考慮し基本2行間で書いておりますので、少々縦に長くなってしまうと思います。



不定期ではありますがなるべく更新していきますので今後ともよろしくお願いします。

【天界】


 それは神と天使の住まう世界


 美しい空、白き雲の地面、空中に浮かぶ多数の陸とそこに建つ白き宮殿、その周りを流れる澄んだ水、そして一際大きく目立つのが数多(あまた)の魂が宿る大きな樹


 通称【魂の樹】


 そして天界を管理し守る7人の大天使を筆頭に数々の天使達が人類を見守る平和な世界


 平和だったそんな世界に天使から報告が入る



「リエル様!見たこともない暗雲が凄まじい速さで天界を覆っていっています!」



 1人の天使が異常の報告をするとさらに他の天使も報告に来る



「とてつもなく巨大な魔力が暗雲の中に…」



 銀色の美しく長い髪、背が高くどこか高い知性を感じさせ落ち着いた風貌をした大天使リエル



 リエルは報告を受け直ぐに天使達に命じる



「うむ…。あの暗雲はもしや…この天界は神の結界で守られている。神の力を破ることはできん。お前達は暗雲を消し去るため魔力を合わせよ。」



 大天使リエルの指示によって多くの天使が一箇所に集まり魔力を集め大きな魔力玉を作り出し、5人…10人と天使の数は増えどんどん魔力を注いでいく



 見守るリエルの隣に赤髪の女天使が空から降り立った



「リエル…あの暗雲はまさか魔界の…?」



「わからん…だがあの魔力玉を撃ち込めば暗雲ごとき消し飛ばせるだろう。それよりも神はこの事態について何か言って(おっしゃ)られていたか?」



「特には…。ただ大天使達に任せるとしか…。」



「そうか…。」



 2人が話している間にも魔力玉は大きくなっていき完成に近づいていく


 魔力玉が大きくなっていくのに対し、同時進行のように暗雲の中の魔力も高まっていっている事にリエルと女天使は気がつく



「ねえ…暗雲の中の魔力が大きくなっていってない?」



「気がついたか。どうもおかしいとは思うのだが、それも終わりの時だ。」



 リエルがそう言い放つと同時に魔力玉は完成の時を迎えた



「完成したか。天使達よご苦労だった。後は私に任せ退()がるがよい。」



 リエルの言葉を聞いた天使達は魔力玉から離れ飛び立っていく


 天使達が離れたのを確認しリエルは魔力玉へ向かって歩きだした


 女天使はその場を動く事なくリエルを見守る



 リエルは歩きながら考える


 なぜいきなり暗雲が現れたのか


 どこから来たのか


 魔界の何者かが発生させたものなのか


 そもそも神の加護で守られているこの天界にどうやって


 そして暗雲の中のあの巨大な魔力は…



 しかし答えが出ることはないまま魔力玉の元へたどり着いた



「少々考えたが答えは出ずか…まあよい。恐らくは魔界の者の仕業だろうが消しとばしてくれる。」



 リエルは右手を前に出しそのままゆっくり暗雲に向け掲げる


 自身の10倍以上はあるであろう大きさの魔力玉は右手と共に動き己と暗雲の直線上で止まる


 そして魔力をぶつけ魔力玉を暗雲目掛けて発射した



 巨大な魔力を纏いながら勢いよく暗雲に向かって飛んでいく魔力玉


 空に張り巡らされた神により作られし結界を内側からすり抜け暗雲に向かっていく


 リエルや他の天使達はその行く末を見守る



 しかし暗雲まであと少しのところまで飛んだところで予想もしていない異変が起こった



 魔力玉が何かにぶつかりその場で魔力を放出していく


 凄まじい音と共に膨大な魔力が暴走し、激しい雷を纏った炎が発生し始める



「バカな!?暗雲の中の魔力はその場に(とど)まっているのに何が邪魔をしている!?」



 落ち着いた表情をしていたリエルは何が起こっているのか分析しようとする事も出来ないくらい混乱し始める



「リエル!魔力玉がぶつかっているアレは!?」



 女天使は何か分かったのか、すぐさまリエルの元へ駆け寄る



「落ち着いて!落ち着いて魔力玉の奥を見るのよ!」



「ハッ…!?」


 女天使の言葉に少々落ち着きを取り戻したリエルは魔力玉の奥を冷静に見つめる


 魔力玉の奥には空に入る歪な亀裂


 そしてその亀裂の中に映るのは…



「そんな…アレはまさか…人界(じんかい)か…?」



「人界!?どうして天界の空に人界が!?」



 2人が驚き戸惑っている間に段々と魔力玉が小さくなっていき炎も弱くなっていく


 そして魔力玉は消えさり、その後を追うように亀裂も消えていく


 しかしリエルは亀裂が完全に消える瞬間まで目を離さずある事に気がつく



「あれは人界ではない!」



「人界じゃない!?じゃああの世界は…。」



 女天使がリエルに問いかけたその瞬間に暗雲の中が光る



 油断したわけではない


 目を離したわけでもない


 しかし魔力玉を消し去ったあの世界の事に気をとられたほんの僅かな時


 光に気づいた時には暗雲からとてつもない魔力の黒い波動が放たれていた



 波動は結界を外側から簡単に破壊しリエル達に向かって飛んでくる


 リエルは瞬時に頭の中でいくつもの可能性を考える



 波動は誰が撃った?

 魔力がいつの間にここまで強く?

 このとてつもない魔力は?

 結界をいとも簡単に破るほどの魔力の持ち主?



 いくつもの可能性を考えたリエルは考えてしまったが故に反応が遅れてしまう


 波動の衝撃波でリエルのいる地面が砕け始める


 足を取られてしまいさらに波動への対応が遅れる


 波動は既にリエルのすぐ側にまできていた



「クッ!バリアが間に合わ…」



「リエルーー!!!」



 名を呼ぶ叫び声がしたその時リエルの前に女天使が飛び込んできた


 波動は女天使に容赦なくぶつかりやがて魔力を帯びた黒い光に女天使が包まれる



「バカが!どうして私をかばう!?どうして飛び込んできた!?」



「うぅ…大天使長がやられたら…天界がさらに混乱するでしょ…?あなたの代わ…りはいない…のよ…」



 女天使を包む黒い光が大きくなっていき陸地をさらに砕き始めていく


 リエルは魔力を瞬時に溜め込み光を消そうとする



「黒き光が消えぬだと…!?」



 光の魔法で女天使を包む黒い光を消そうとしたリエルだったが黒い光は消えることはなくさらに大きくなっていく



「う…!くっ…」



 黒い光はどんどん女天使を蝕んでいく


 女天使は弱っていきながらもリエルにある事を伝える



「リエル聞いて!!気づいてる!?あの暗雲の…中に新しい…魔力が作られ始めてる!あなたは私よりも…あの魔力をなんとか…して天界を守る事に集中して…」



 女天使に告げられた新たな暗雲の魔力


 リエルも気づいてはいた


 しかしそんな事よりも先に女天使を包んでいる黒き光を消す事を優先したかったのだ



「あなた…は天使達の長…。私たちの…天界を神様を守るためになくてはならない存在…。私の事よりも天…界を優先して…。これくらいの…攻撃なんてどうって事ないわよ…」



 自分の身よりも天界を守る事に集中してほしいという女天使


 女天使の覚悟の言葉に完全に我に返る大天使長リエルの姿がそこにはあった



「少し待っていろ。すぐに助ける。」



 リエルはまぶたを閉じ魔力を集中させる


 両手で胸の前の空間を囲むようにその中心から魔力玉を作る


 天使達が集まり作った魔力玉よりも小さいが桁違いの魔力が込められた魔力玉を瞬時に完成させた



 ガラ…————その時リエルの後ろで何かが崩れる音がした


 音に反応し後ろを振り返るリエル


 自らの目を疑いたくなる光景が目に入る



 黒き光に包まれ倒れていた女天使の姿がなかった


 女天使だけでなく宙に浮いていた陸地もろとも形を崩し雲の下へ落ちていっていた



 すぐさま女天使を探しに陸のあった所へ飛ぶリエル


 落ちていったであろう雲は所々裂かれその原型を留めていない


 そのさらに下に落ちていく黒き光を見つける


 下へ急ごうとしたその時…



「————私は大丈夫…。こんなの自分で…なんとかしてみせるから天界を守って…」



 女天使の弱々しい声が頭の中で響く


 声を聴き動きを止めるリエル。黒い光が小さくなっていき、やがて見えなくなっていく



「リーナアァーー!!!!」



 リエルは女天使の名を叫んだ



 あの時天使達ではなく自分がすぐに攻撃していれば…

 バリアを張るのに遅れなければ…

 何が天使長だ…

 天界どころか天使1人守れず…



 ありとあらゆる苦痛を受けたかのような厳しい表情で瞼を閉じるリエル


 やがて女天使を包む黒い光は完全に見えなくなった

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