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17話 満点とりすぎ問題。


「本当に大丈夫なの? それ」


「あぁ林王さん、大丈夫」


「大丈夫じゃないよゆうくん! ソイツを今すぐに見つけて殺らないと!」


「いや、それは大丈夫です」


昼放課の屋上。

鳴海は風邪かなんかで学校を休んだので来ていない。

 

「警察に被害届とかだすの?」


「いや家族と話し合ったんですけど、とりあえず様子見ようって事になって」


「⋯⋯本当に大丈夫かなぁ、それ。私は言っといた方がいいと思うけど」


あんまり昨日のあれは他人に言わない方がいいとは思う。


だがどこか上の空でご飯を食べていたら2人に感づかれ、何かあったのかと迫られてしまい、今こうして彼女に全てを話してしまった。


俺、弱いなぁ⋯⋯


「私に何か出来る事があれば何か言ってよ、手伝うから」


「私も!」


「ありがとう林王さん姫香さん。でも危ないし気持ちだけ受け取っておきますね」


正直、この事を話すだけで背筋が凍りそうになるので話題を変更する事にしよう。


「それより2人はテストどうでした?」


「え? わ、私はまぁまぁかな⋯⋯」


「林王さん⋯⋯同士ですね⋯⋯」


「まぁまぁだからね!?」


林王さんは顔に内に秘める感情がすぐでるので本当にわかりやすい。


ちなみに俺は散々な結果だった。

特に理系、その中でも酷かったのはやはり物理。

30点という赤点目前の点数を取ってしまった。


「私もまぁまぁだったかなぁー」


「⋯⋯なんでだろう⋯⋯同じ言葉でも全然違う意味に聞こえる」


「だから私はまぁまぁだったからね!?」


姫香さんの答案をチラッと見たが、数学が満点でいらっしゃった。

高2の数学を満点取るってどんなバケモノだよ⋯⋯


「ゆうくんは?」


「えっ俺ですか? ⋯⋯に、日本史は90点ありました」


「本当に? ゆうくんすごい!」


「姫香の日本史満点じゃなかったっけ?」


「さ、沙希ちゃん! それは言わない約束でしょ!」


「全部聞こえてますからね⋯⋯」


俺が唯一マウントを取れると思っていた日本史すら敵わないのか⋯⋯



「今から2週間後にある球技大会の実行委員2人決めるぞー、立候補は⋯⋯まぁいないよな。だから俺もそう思って俺があみだくじで適当に決めといた、後ろの掲示板に貼ってあるから確認しといてくれ。じゃあ解散」


ざわつく教室。


「ん? どうした? 解散していいぞ」


尚もざわつきながらも、部活に行く者、そのまま帰るものに分かれて行く。


「一応確認しておくか」


そう言って席を立った瞬間、


「優斗」


林王さんから声がかかった。

非常に嬉しそうな表情と嬉々とした声で。


「どうしたんですか?」


「私達、実行委員に選ばれてた!」


「えっ⋯⋯」


ま、マジかよ⋯⋯

40何分の1の確率だぞ⋯⋯運悪いな⋯⋯


「わ、私とは嫌だった⋯⋯?」


「い、いやそういう事じゃなくて、単純に実行委員に選ばれたのが嫌なんですよ。去年もこんな感じで選ばれてコキ使われた思い出があるんで」


「そう、なんだ⋯⋯良かった⋯⋯」


「? なんか言いました?」


「べ、別になんでも! それじゃあ私は部活行くから!」


何故か少しキレ気味でそう言い残し、早足で去っていった、


「あ、おい林王。お前確か実行委員だろ、今から集まりあるから部活行けないぞ」


かに見えたが、担任に呼び止められその足を止めた。



⋯⋯というか今日からあんのかよ。


家が心配だしなるべく早く家に帰りたいんだけど⋯⋯



それから数十分後。

俺たちは生徒会室に集められ、話し合いを始めていた。


 大きなテーブルの一番奥には、去年俺の事を散々な扱いをした女生徒会長がいる。


 あいつの顔を見るだけで悪寒がする。


「林王さんどうしたんですか? ソワソワしてますけど」


「私こういうのちょっと苦手だから⋯⋯」


「あぁなるほど、ちょっと分かります」


 そしてもう一つ気がかりなのは、あのオタクメガネがいる事だ。


 相変わらず俺と同類なのだろう。

 部屋の隅っこでラノベか何かを読みながら時々不気味な笑みを浮かべたりしている。

 

「それじゃあ話し合いの結果、とりあえず実行委員長は生徒会長である私がやる事になりました。皆さんよろしくお願いします」


 生徒会室に拍手が飛び交う。


「それじゃあ次に役割分担ですが、あらかじめクラスごとの割り当てを決めておきましたので早速担当種目ごとに集まってください」


 生徒会長のその言葉を合図に一切に役割を確認し、動き始める。


「優斗は去年何やったの?」


「⋯⋯まぁ雑用全般分け隔てなくやらされました」


 主に肉体労働をね⋯⋯


「あのぉ⋯⋯ドッジボールはここでいいでござ――ってあの時のやつではないか?」


「あっ、メガネ」


 コイツと一緒か⋯⋯運ねぇな本当に。


 というかコイツ俺のいっこ上の学年じゃねぇか、年上だったのかよ。


「知り合いか何か?」


「あ⋯⋯ま、まぁ知り合いなのかもしれません」


「これは林王殿、よろしくでござる」


「よろしくお願いします⋯⋯ご、ござるって何⋯⋯」


「俺に聞かれましても⋯⋯そういう語尾ってだけじゃないですか⋯⋯」


 不安だ、物凄く。



 だが、予想に反して話し合いは円滑に進み、今日中に決めなければならない事を早々に決め皆んなより一足早く帰ることになった。


「優斗、そういえばあのメガネの人の名前教えてもらってないよね」


「あぁ、そうですね。言われてみれば」


 別に知りたくもないが。


「今度の集まりの時にでも聞いときましょうか」


「うん、そうだね⋯⋯いやぁ、なんかどっかで見覚えがあるんだよねあのメガネ君」


「はぁ⋯⋯? 見覚え?」


「まぁ同じ学校だしどっかで見たってだけだと思うけど。それじゃ私は部活にちょっと顔だしていくから、お疲れ優斗!」


「あっ、お疲れ様さまです」



 見覚えねぇ⋯⋯姫香さんもそんな事言ってたっけか⋯⋯


 そういやあいつ、いっこ上なのに林王さんと姫香さんの苗字知ってたな。

 ⋯⋯まぁ有名だから知っててもおかしくはないが。



 今度あのメガネにそれとなく聞いておこう。


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