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異世界転移する

 やっと終わった。

 そんな事を考えながら藤咲(ふじさき)逸矢(いつや)は帰る支度をしていた。


 今日は高校の文化祭最終日だ。

 僕のクラスは劇をやっていた。


 悪いヤツに支配されていた国を勇者と呼ばれる主人公がヒロインと共になんやかんやで救う話だ。

 大きな失敗も無く、お客さんもそこそこ来てくれていたから、今回の文化祭は大成功だろう。

 

「最後は皆で写真撮ろうぜ」

 

 そんな誰かの言葉に皆が賛同する。

 お城を背景にして撮ることになり、クラスの皆がお城の前に並んでいく。

 

 そして、先生がカメラにタイマーをセットして最後に列に並ぶ。

 

 パシャ


 フラッシュが眩しく、つい目を瞑ってしまう。

 眩しさが無くなり、目を開ける。


「へ?」


 現状に着いて来ていない僕はそんな間抜けな声を上げた。

 いや、おかしいだろ、どうなってるんだよ。


 ピカピカな石造りの床、煌びやかなシャンデリアが目立つ豪奢な体育館ぐらいの大きさの場所に僕は立っていた。

 さっきまで教室にいたのだ、こんな事普通、

 有り得ない。


 そして、此処にいるのは僕の他にも同じクラスの人や同じ学校の生徒であろう人がいた。

 彼らも皆、戸惑っているように思える。


 見た感じ、全校生徒がいるようには見えない。

 先生たちもいないから、一部の生徒たちがいるのだろうか。


 そして、僕らの学校の生徒の他にも人がいた。

 僕らから少し離れたところにいる。


 50歳ぐらいの男は僕らより高い位置の椅子に座り、踏ん反り返っていた。

 僕らを見下しているような感じだ。


 彼の隣には騎士のような人と、眼鏡を掛けた頭の良さそうな人も立っていた。

 僕はじっと観察する。


 日本ではないであろう内装のこの建物、そして偉そうに踏ん反り返っている彼の服装、また、彼の顔も日本人ではないだろう。

 となると、此処は日本ではない。


 そして、教室からいきなり、この場所へ来るという不思議現象。

 なるほど、これは異世界転移だ。


 まあ、夢の可能性もあるが、流石に見えている物、感じている事が鮮明過ぎる。

 絶対に起きているだろう。


 何かのドッキリでも、ドッキリと疑うよりも騙されていた方が、騙す側も嬉しいだろう。

 という訳で、異世界転移したのだと僕は思う。


 僕は友達に進められて、異世界転移というジャンルの小説を読んだ事がある。

 全部は読んでいないけどね。


 その小説を参考にすると、あの踏ん反り返っている彼は僕たちが今いる国の王様という事になる。

 僕たちは勇者だろう。


 そして王様は僕ら勇者に魔王討伐を依頼するのだ。

 最初は勇者たちはいきなり異世界転移させられた事に戸惑い、もとの世界に帰せと言うが、王様は良い人だったことを知り、魔王討伐をするために勇者たちが励む。


 まあ、大体こんな感じになるのだろう。

 すると、あの王様は良い人なのか。


 そうは見えないが、人は見かけによらずと言うしな。

 良い人なのだろう。


 その王様が口を開いた。


「よく来てくれた、勇者たちよ」


 別に自分の意思で来たわけではない。


「我はバッルド王国国王ジャステ・ハン・バッルドだ。此処は君たちが住んでいた世界とは別の世界だ。そして、君たち勇者は魔王を倒すためにこの世界に召喚されたのだ。まあ、詳しい話は君たちにつける教育係が教えてくれるだろう」


 てきとうだな。

 もうちょっとぐらい王様が説明してくれてもいいだろう。


 そして、今の王様の発言によって、他の生徒たちは益々混乱している。

 新手のドッキリだろうと言っている者もいる。


「ふざけんなよ。もとの世界に帰らせろよ」


 1人の男子生徒が声を荒げて言う。

 おぉ、予想通りの展開だ。


「無理だな。君たちを帰還させる方法はない」


 マジか。


「そして君たちは我々には逆らえない。手の甲を見てみろ、紋章があるだろう。それは隷属の紋章だ」


 マジだ。

 僕の手の甲には複雑な模様があった。


 周りの人たちにも同じものがある。

 隷属の紋章にどんな効果があるのかはわからないが、きっと命令を意思など関係無くきかされるのだろう。


 これであの王様が良い人説はかなり薄くなったが、もうちょっと様子を見ようか。


「もとの世界には家族もいるんだぞ」


 さっきの生徒が再び発言する。


「そんな事知らん。お前らは我の国のため魔王を倒し、その後も働いてもらうのだ。家族など忘れよ。そして、我のために働けることに感謝しろ」


 王様良い人説は死んだな。

 異世界転移も悪くないとは思っていたが、こんな王様のもとじゃ楽しくないんだろうな。


「それにしてもお前は我に対して態度がでかいな。少し立場というものを知れ」


 そう王様が言った後、発言した男子生徒は苦しみ始めた。


「これが隷属の紋章の力だ」


 王様は下卑た笑いを見せながらそう言う。

 あぁ、最悪だ。


 僕は自分の現状にそう思うのであった。

 あの偉そうな王様の話が終わった後、異世界転移した僕たちは男子生徒と女子生徒に分かれて別の大きな部屋に連れて行かれた。


「今日からお前たちはここで寝ることになる。飯はさっき案内した食堂で食べろ。そんで、今日は自由時間だ。好きに過ごせ。明日は午前10時から鑑定を行う。遅れるなよ」


 そう言って、僕たちを案内した兵士は帰っていく。

 自由時間だし、何をしようか。


 この世界については後日授業をするそうだが、先に知っておいてもいいだろうし、書庫に行くか。

 どうせあいつらも行くだろうから、丁度いい。


 それにしてもお城って凄いな、お金が掛かっているのがすごく分かる。

 あそこに飾ってある壺を壊したら、弁償代もばかにならない額だろう。


 そんなどうでもいいことを考えていたら、書庫に着いた。

 書庫の前には兵士が立っている。


 確か書庫にはこの国の地図や禁書など出回ってはいけないものもあるらしいから、変な奴が入らないように警備しているのだろう。

 僕たち勇者は書庫に入るために必要なカードを貰っているから、簡単に入れる。


 このカードは魔法がかかっていて、このカードを持っていない人が書庫に入ればブザーが鳴るらしい。

 書庫には司書さんはいなかった。


 ゴーレムであろうものはいるが。

 書庫に着いた僕は勇者関係の本を読み始めた。


 僕はこの世界の一般的な知識について知るのもそうだが、まず勇者について知りたかった。

 勇者ってのはもっとチヤホヤされるものじゃないのか。


 そう思ったのだよ僕は。

 だから、他国は勇者召喚をしているのか、いつから何回しているのか、前の勇者には隷属の紋章がついているのかなどを調べた。


 結果、他国も勇者召喚をしていて、今回を合わせて世界では勇者召喚は5回行われているらしい。

 でも、勇者召喚で呼び出された勇者は、過去4回で最大でも3人だ。


 今回は多すぎやしないか。

 そして、勇者召喚は魔王が新しく誕生した時と魔王を倒せず、勇者が死んだ時しか出来ないらしい。


 前の勇者は魔王を倒しているから、新しく魔王が誕生したのだろう。

 魔王に酷いことをされているから勇者を呼ぶんじゃないんだな。


 魔王は絶対悪なのだろうか。

 良いやつかもしれないのに。


 また、前の勇者には隷属の紋章がついていないことも分かった。

 召喚の本を読んで分かったが、従魔召喚で召喚された従魔は隷属の紋章が刻まれるらしい。


 僕の推測ではあるが、今回の勇者召喚はそれを応用したのではないだろうかと思う。

 あと、勇者はめちゃくちゃ強いらしい。


 なんでも、唯一無二のスキル、ユニークスキルを1人1つ以上は持っているらしい。

 僕はどんなユニークスキルを持っているかな。


 明日の鑑定で分かるから、楽しみだ。

 そうやって、色々考えていると時計が午後9時を示していた。


 お腹も空かないし、食べなくてもいいだろう。

 暗くなってきたし、もう寝るとしようか。


 不思議な照明が暗くなった廊下を照らしている。

 エコそうだ。


 まだ騒いでいる元気なヤツもいるな。

 大部屋の2段ベットの上段で横になる。


 それにしても誰も書庫に来なかったな。

 あいつらなら絶対に来ると思ったのに。


 来ないということは、あいつらは勇者として召喚されていないのか。

 うん、その可能性は高い。


 偉そうな王様のもとに親しい友達もいない状態で異世界転移とか、益々ここが嫌になってきた。

 勇者のチート能力に期待するしかないな。


 あいつらしか僕には友達がいないのに。

 は〜、あいつらと過ごした日々が懐かしいぜ。


 そんなことを考えながらいつしか僕は眠っていた。


 ピロリン♪

 1人目 自己管理(メニュー) 解放

 ピロリン♪

 2人目 完全耐性 解放

 ピロリン♪

 3人目 奪取 解放




次回の投稿は気長にお待ち下さい。

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