初めての来客
ピンポーン
甲高い電子音で目を覚ます
「あれっ電気が通ってるのかい。あー、ソーラーパネルかー」
「なんで家を知ってる、それとここは俺ん家だ勝手に入るな」
ドアを開けると同時にぞろぞろと入ってくる戦闘班
それに、みたことない顔もいる
「ここはユッキーの両親が残してくれた家でしょ?それにこんなに綺麗に残ってるなんて母親のお陰だしねー。あ、情報班って普通にGPSとか持ってるから 」
いくつか突っ込みたいが、お構いなしにリビングに侵入する
「よし、ここを革星戦線戦闘班の拠点とする!」
「おいちょっと待て、ここは俺ん家だ。」
「頼むぜ旦那、外は危険だし俺たちの家はみんな燃えちまってるんだ」
その後しばらく抗議したが結局俺の方が折れ、二階へは上がらないことを条件に許可することにした。
「先に言っておくけど俺はお前達を、完全に信用したわけじゃないからな。」
それにしてもまさか中学二年生に「旦那」と呼ばれる日が来るとは。
「よし、第一回戦闘班作戦会議!」
なにか始まった…
皆それぞれ適当に座ってるが顔はこちらへと向けている。あ、あの三馬鹿め勝手に冷蔵庫開けおって…後で覚えとけ
「まずは衣・食・住の住!これが私達に今もっとも必要であるもの!トミー君、作戦説明を」
それに答えたのは天パに白衣のいかにも科学者風の男、富岡ことトミー。情報班らしい
「はいチーフ。まずはこれを見てくだサイ」
トミーは手元にあったノートパソコンをくるりと180℃回転させる
そこにはマップが開かれていた
「おい、その赤い印はなんだ?」
「あ、青いマークもありましゅ…ます」
「これは反乱軍に関わるものの施設、それと隠れていても生存可能な施設に印を付けておきましタ。」
「これ、東京都の一部だけですか?それに青い所なんてほぼ無いようなもの…既に潰されてたりは?」
「あなどるなかレ、日本全国確認済みダ。まぁ俺一人の力じゃないがナ」
潰されてる可能性が高い場所は除外してあるらしい。
絶句した。昨日の今日集まったばかりなのに、こんなにも進んでいるのか
「簡単な話だヨ!青い印のところを我々のアジトにすル、赤い印は叩き潰ス。
けど情報班にやれるのはここまで!こっからは戦闘班に期待してるよ!」
俺たちのやることは安全施設の確認と周辺の敵軍基地(?)を破壊することらしい
ふと疑問に思ったことをそのまま口に出す
「なぁ、直接反乱軍を潰しに行かないのか?」
視線が一人のおっさんへと集まり空気が一気に冷める
「まず、反乱軍の本拠地は分かってないんだ、それに俺たちの力でも勝てるかどうかわからない相手だ。もし奇襲したとして、失敗したら能力の対策をたてられ二度と奇襲が効かない。いくらなんでもデメリットが多すぎる」
ここにいる者達は反乱軍を直接みたことあるのだろう、勝てるや負けない等といった言葉を強がりですら言えないようだ。
こんなチート集団でも勝てない相手なのか…
きっとTVに出てた瞬間移動能力者が一人で軍を潰していたように、何十、何百とそんなのがいるのだろう。自分はこの先そんな化け物を相手にするのかと考えると鳥肌が立ち、汗をかく。
そんな恐怖を一言で拭い去る人がここにはいる
「万に一つ。だから作戦を立てきっちり土台を作り、勝利への道を創る。勝機はかならずあるさ」
なぜだかとても信頼できる言葉
能天気な明るい声色で励ましてくれ、自分を信じることができる
皆も同じようだった
「決行は夜22時以降が好ましいでス。その辺はそちらで決めちゃってくだサイ」
「わかりました。戦闘班集まってください」
その号令で戦闘班は集ま……らなかった
「そのままでいいんじゃないか?」
イケメンもどきに声をかける
「やっぱ俺が仕切っちゃったからかなぁ…もうやだ…」
えー
心折れるの早すぎじゃね?多分俺が同じ立場だったら部屋に引きこもるがな
「春ちゃん、仕切ってもらっていい?」
「戦闘班は別で動くことが多いんだから、私に頼りっぱなしじゃだめだよ。そっちでリーダーきめてね」
うーむ。レベッカちゃんは人前で話すの苦手だろうし、三馬鹿はまだまだガキだ。京一はすぐ心が折れる、根倉女はそもそも話し合いに参加してるのか?
「適任は『Skype』をもってる俺かユッキーだろう」
もう復活したのか
「俺は劣化だしオリジナルの京一の方がいいと思う。それに俺は向いてないし京一でいいだろ」
とりあえず京一がリーダーで進めることになった
「作戦会議の前に質問。夜だと力が使えないんじゃないのか?」
それに答えたのは中学生三人だ
「いや、そういうわけじゃない。能力は太陽の光をエネルギーにしてるだけで、昼に力を溜めて夜に消費することもできる。」
「ま、ソーラーパネルみたいなもんだな」
「溜められる量は人それぞれ違うらしいから今度調べとくといい 」
なるほど、ネットの情報なんてやっぱり当てにならんな
太陽の光でチャージできるなら満月でもできるのかと聞いたら分からないと言われたので、それも今度試してみるか
「んじゃ、決行は0:00。まず潰すのは豊島区池袋の駅から半径5km地点。その後居住地の確認だ」
「もし反乱軍がいたら?」
「殺さずに拘束だ、手錠目隠し耳栓して、口を塞げ。能力をがわからない以上、下手に動くな。」
細かい指示を聞いたあと、俺は時間まで部屋に籠ることにする
「はぁ…やる気でねぇ」
ベッドに倒れ込み無意識に呟く。
たしかに俺は変わりたいと思ったが、部屋に引きこもって生活できればそれでいい。今までの人生は変わらないんだし、これから変われるなんて思えない きっと無理だ。
ましてや戦うことになるかもしれないなんて、正直荷が重い。
春ちゃんはホントに記憶を覗いたのだろうか。ならなんで俺を戦闘班に入れたんだ
。
今、俺は何してんだろう