BBQするやつは通報する
日村正幸 34歳 高卒 職歴はバイトのみ
俺の人生は一行に収まる。昔は落ち込んだりもいていたが、今は違う。
背負うもんながなくて楽でいい。
それに、今の時代学歴とか関係ないしな。
「力」がものをいう世界だ。
某掲示板
【凡人】なんとか力を無力化する方法考えようぜ
出、出~すぐ力で差別する奴~wwwww
力に目覚めた奴集合汁wwww
声優の生存を確認するスレ
【悲報】グンマー壊滅状態な模様
…
おっこれは、と1つのスレを開いた
【凡人】なんとか力を無力化する方法考えようぜ
……やっぱり、無いか。
そもそも国がしてる研究が何も進んでないのに無力化できるわけねぇだろ。
ついでに群馬の状況も見とくか。
その後も3時間ほどネットサーフィンしたが、有益な情報はなにも得ず。
「くそっ、ネトゲは何もできない。更新されるのは戦地の状況、唯一生きてるのは掲示板。」
大きく溜め息をつく。
やはり引きこもっていると独り言が増える。それに加えて今は家に一人だ。
カーテンの隙間から外を覗きこむと、
空を飛んでいるのが数人、イチャついてるリア充約20組。
こいつら全員「敵」だ。
あのクリスマスの日に目覚めたやつらだ。
きっと茨城県辺りの徒党だろう。
たとえ敵でも俺は対抗手段を持っていない。俺は特殊能力相手に生身で突っ込む程バカじゃない。
俺はただ楽に生きたいだけなんだ、だからそれを邪魔するやつは全員敵だ。
誰もいない部屋で一人カッコつける。
俺はリビングに降り冷蔵庫を開ける。
「隊長!在庫切れです! なんだと、ならばお前を喰う他ない。ひっ!そんな…食べないでっ…」
一人小芝居をしながら卵を取りだしあつあつのご飯に乗せ、思いっきりかっ込む。
これぞジャパニーズスタイル。
「とにかく、夜まで待つか…」
昼間に外へでるのは自殺行為と言えるだろう。
あいつらは自分の"力"で何者も支配できると本気で思っている。
対して"力"を持たない俺が出ていっても役立たずとバレれば即ゲームオーバーだ。
夜、"力"を持つものは外へは出ないらしい。
昼間しか活動できないってのが有力な説だ
食べ終わると、部屋に戻りすぐに寝る。
これもジャパニーズスタイル。
いや、これは俺のスタイルだが。
うっすらと覚醒し、壁に掛けてある時計に目をやる。
午前2時、丑三つ時だったか?
体を起こし、窓から外を確認する。…よし、昼間のようなやつらは居ないようだ。
すぐにシャワーを浴び、着替えてから中身の入っていない大きなリュックを背負う。
「大丈夫、大丈夫。俺は神だ、俺は神だ。」
自分に暗示をかけるようにぶつぶつと呟く。
靴は…よかった、サイズは変わっていないようだ。
鍵持った、ペンライト持った、よし。
玄関の扉に手をかける。
今年最初で最後にしたい。そう願いながら闇につつまれた世界へと足を伸ばす。
「よ、よし。大丈夫だ」
震える足を無理矢理動かし、前へと進む。
歩くのってこんなに大変だったっけ?
まわりを警戒しながら早足で進む。
目的地は近所のスーパーである。
「外に出ないっても、餓死するなら別だよな。出てもノーカンだよな」
いったい誰に言い訳してるのかと突っ込む。
無論、自分で自分にだ。
町には静寂が広がってる。俺のいる町はそこまで田舎じゃないが、こんなに静かなのは人がいないからだろう。
「ここを右、次を左」
スーパーへの道はパソコンで何度も確認済みだ。
「ここ曲がったら、食いもんは目の前だ」
角。体を傾けた瞬間、体に緊張が走る。嫌な汗が体を覆う。
やばい!そう思う頃には体が動いていた。
"やつら"だ。
スーパーの駐車場で、肉や野菜やとうもろこしを焼いている。
BBQだ。
何度もみた周辺のマップを思い出す
いくつもの道から最適なルートを導きだす。
んだよっ!なんであいつらがこんなところで!
しかもバーベキューだと?くそっ!リア充が!
5分程経ち、いや実際はもっと短かったのかもしれないが"やつら"が追いかけてくる事はなかった。
息を整え、辺りを見回しゆっくりとスーパーへと歩を進める。
"敵"は6人だったか。3人3人で炭を囲っていた
きっとカップルか合コンだろう。恋愛なんてよくわかってないガキには早すぎだろくそっ
なんで俺が童貞なんだ普通は逆だろ、これだからゆとりは
ぶつぶつと文句をいいながらも警戒を続ける。
やがて裏口に着くと誰もいないことも確認すると扉に近づく。
「鍵は…空いてるな」
運が良かった ここまで来て鍵が掛かってたら絶望だ。
だが、空いてるということはあいつらが入ったあとなのだろう。まだ"敵"は他にいるのか、食料はあるのか、不安が募る
BBQ禁止の川原多いですよね