引きこもり-PC=?
「池袋地下の帝国"あなぐら"と同盟を結んだ!ここを第2拠点とし活動していく」
戻ってきて早々、伝えられたのは同盟を組む代わりに戦闘員数名の配置、及び住人の保護
それから戦闘にはなるべく関わらない方向で、というのだった
「戦闘員って何人くらいだ?」
「二人いればいいかな…んーとね、亜子とユッキーがいいと思うな 話を聞く限り今回活躍したみたいだし」
なんの嫌がらせだ
「活躍って、一番はあのガキだろ、それに家に帰れなくなるなら断るぞ」
「戦闘班の人数も少ないしねぇ……」
なにか思い出したようにぽんっと手を叩く
仕草は子供らしく可愛らしいが中身はどうだかな
「そうだ!あいつ、使えないかな?ちょっと話つけてくる!」
「えっ、ちょ」
話も聞かず、俺たちをほっぽりだして駆け出していった
はぁ…
「…っておいおい、まさかあの爆弾男でも連れてくるのか?」
たしかに戦力としては充分だが、俺達を殺しかけたやつだ
いつ暴れだしてもおかしくないんじゃないか?
いや、まだあいつと決まったわけじゃない
どうか裏切ってくれ…
「いきなり現れたおっさんも仲間にするくらいですし、リーダーならやりかねませんね
簡単にはいかないでしょうけど」
「京一はいいのか?俺が言うのもなんだけど勝手に仲間を増やされたらチームワークとか崩れるだろ」
「別に集まったばかりの団体にチームワークもなにもないですけどね
それに、リーダー曰く僕達はチームプレーをしないのがチームワークっと言ってましたね リーダーの名称を統一しない理由はそれもあるんだとか」
「チームプレーをしないのがチームワーク…か」
分かりにくいが、分かりやすい
元々団体行動とか苦手な奴等みたいだし、チームワークを意識させるとうまく動けなくなる…
逆に個人プレーをさせれば仲間の動きを見なくていい、つまり好きに動けるって事かな
「俺も別にいいんだけどな、ただ本人はどうだろうな」
沈黙が流れ、息苦しくなってきた頃そいつは縛られたまま担がれてきた
「連れてきたよ とりあえず話し合うか
京一、繋いで」
繋いでというのは『Skype』のほうだろう
ケータイなんて日本じゃ使えないからな
爆弾男を中心に囲うように座る
「すみません…使えなくなってしまって…」
「よし、じゃあユッキー行けるか?」
「えっ、あ、まぁ…いつ切れるか分からないけど…」
俺はまだ自分の能力がどれだけ持つか試してないからな
「『Skype』」
《あー 聞こえるか?》
全員が頷く
《こいつ、直接脳内に!?》
まさかそのセリフをお前が言うとはな
《…冷静だな》
《あんだけ放置されたらな》
キャラ変わってね?
普段おとなしいけどキレるとヤバいタイプ?
《…なぜ殺そうとした、仲間はどこだ 、何が目的だ 》
今のは…亜子ちゃんか
一応全員に繋いでるけど、一番会話に参加しなさそうなのに食い気味だ
親でも殺されたのか?
《親でも殺されたのか?》
やっちまった…思ったことまんま出てきた
《家族だけじゃない、私は…こいつに全て(PC)を奪われた!思い出した…こいつ、反乱軍の斬り込み隊長です》
気持ちはわかる、痛いほどわかる
俺だってパソコンが使えなくなったら発狂する自信がある 他に時間の使い方なんて知らないからな
でもさぁ…誰か突っ込めよ…
《お前らは洗脳されてないみたいだけど、何者だ?》
《…洗脳?》
「亜子、落ち着け」
フッーフッーと肩で息してる亜子ちゃんが立ち上がろうとすると春ちゃんが宥める
こいつのハッタリだろうが何だろうが今は話を進めなければ
《どういうことだ?》
《お前らは国に洗脳され、利用されるだけされて捨てられたんだよ 覚えてないのか?》
何いってるかわからんけど、俺家出てねーから
何とかして反乱軍に引き込もうとしてんのか?無理あるだろ
《そんな話聞いたことないね 洗脳されてるならそちらの宗教団体の人達じゃないの?それに私達は戦争とは関係ない》
宗教団体?反乱軍てオ○ム真理教的な感じなの?
あと春ちゃん、どこまで知ってるんだ…
《関係ない?じゃあお前らいったい…》
《長々と話してやる筋合いはない…が、私達は第三勢力とだけ言っておこう
聞きたいことは1つ、今すぐ殺されるか、それともこちらの勢力に引き抜かれるか、だ》
怖っわ 春ちゃんそんなドス聞いた声出せるのかよ…
《死んだ方がましだ》
「犬飼くん」
その合図で犬飼が男を見つめる
すると、ウッーウッーと喚き散らし必死に暴れだした
《死ぬ覚悟すら出来てないやつがほざいてんじゃねーぞ》
だからこいつ中学生じゃねーだろ
どんだけ場数踏んだらこうなるんだ
《で、どうする?…》
ひでぇなこりゃ、ただの拷問だ
ん?
「おい、気絶してねぇか?」
「あっちゃあ」
「どうするんですか…」
「んーと…とりあえず放置で!」
そんな適当な感じでいいのかよ
気がつくと亜子ちゃんはテントの隅で膝を抱えてる
何か話しかけた方がいいんだろうか?いや、コミュ症の俺が言っても仕方ないだろうし見なかったことにするか
「ユッキーこいつ運ぶの手伝ってー」
あれ、こいつ一人で持ってきたよな 俺がいく必要ないんじゃないか?とか思ったが頑なに断る理由もない
「…まかせろ」
車に男を乗せると、急に質問を投げ掛けてきた
「ユッキー、母親が生きてたらどうする?」
なんだ急に
生きてたとしても、もうどうも思わない
帰って来なくなってからも悲しいと思わなかった
でも、1つだけ聞いておきたいことがあるな
「俺は、俺のせいで引きこもった
それを父親がいないからとか自分の教育が間違ってたとか思ってるのなら、俺は誤解を解きたい」
「そのあとは?」
しつこいな
まさか本当に生きてるとか言わないだろうな
「いや、それだけだ ババアも俺にうんざりしてただろうし もし、生きてたら後は好きに生きてほしいな
んで、この質問の意味は?」
ついでに謝っておきたいってのはプライドが口を閉ざし心の奥に飲み込まれてく
10年以上つっかえてたものは、いつか言えるだろうか
亜子って名前「ネトゲの嫁は…」のヒロインと被ってるやん…
ブックマークしてくれたら嬉しい
オナシャス




