ヒーラーは大体おっさん
「いってぇ…明日筋肉痛だわ」
「気がついた?ユッキー」
「…生きてた」
ガキ共に担がれてる俺
なんか恥ずかしいけどあちこち痛くて動けんし今は甘えとくか
「筋肉痛に突っ込んでくれよ…」
「もうすぐで着くから」
無視かよ
「どこに着くって?」
「地下の秘密基地」
「…ロボットとか作ってるのか?」
「作ってないけど?結構な人数がそこで暮らしてるみたい 回復魔法使える人がいるからそこで治してもらって 亜古ちゃんもね」
「……うん」
「京一達もそこにいるのか?」
「今頃戦ってるんじゃないと思うよ 犬飼がいれば大丈夫だよ「勝てる相手」って言ってたし」
「そうか、そんな強いのになんで最初に倒さなかった」
小一時間程問い詰めたい
「夜だから"見え"づらいのと爆発で気絶して何もできなかったって」
「ムカつくが仕方ないな たしか能力は…」
碑文使いみたいな名前の…
「『死の恐怖』」
「う、あ…うわああああ!」
爆発男が、がたがた震えだしその場から動かなくなった
「今だ!京一!」
手に持つ銃しまい、手錠・ロープ・猿轡・耳栓を男につける
「こんな趣味はないんだけどねぇ」
「そろそろ…限界…」
犬飼が膝を衝くと、途端に暴れようとするがクネクネと体を曲げる事しかできない
「ンンンン!ンン!」
《レベッカ 来てくれ》
《は、はい!》
「大丈夫か?」
「…つかれた」
もう一度念入りに縛り上げ、3分程で来た車に男を放り込み、犬山、亜古、ユッキーのいる場所に向かった
「だ、大丈夫れすか!?」
「かすり傷だよ あいつまだ力があったなんてね」
「それより皆の所にいこう」
「え?えっと、とにかく治療を…」
「大丈夫、着いたら説明するから」
…
「この明るいのなんとかなんないのか…」
三回目の魔方陣は未だになれないようだ
「生きてたかユッキー」
「…うるせぇよ、なんでヒーラーがおっさんなんだよ
ネットゲームのなかだけにしてくれよ…」
「せめて俺が居ない時に言ってくれねぇか?」
「…すごい」
亜古は塞がった傷触って確かめる
「流れた血は戻んねーからな」
「……幼女はなくてもせめて女の子だろ……おっさんって何だよ…女ですらねぇよ…」
治してもらったことを忘れてるかのようにブツブツと文句を垂れる
「ユッキー、気持ちは分かるけどこれが現実なんだ」
「…爆弾男はどうなった」
「それなら車にいるよ、もちろん拘束してある」
「そうか、よく勝てたな」
「あっけなかったよ、僕はなにもしてないけど」
それから1時間ほどテントで休ませてもらってると、場所に似合わない能天気な声が響く
「すっごーい!こんな所に秘密基地があったなんて!」
「あれっ?春ちゃん」
「主席!」
「おい、上のもん呼んでこい」
大工風の男がその辺にいたやつに命令する
上の者とやらが来るまでに春ちゃんと地下の住人に事のあらましを京一と亜子が説明してる間に戦闘班を収集をかける
「まだ居住区を見てないよな?」
「あっ…たしかに」
「わっ、わたしゅもですか?」
「今度も車にボッチはいやだろ?」
まだ任務完了じゃない 最後までやり通さないとな
本音はこんな人の多いところに閉じ込められるのは凄まじく嫌だ
「長老!」
杖をついた老人がゆっくりと歩いてるのを見て近くにいた女性が手を貸す
入れ替わりで京一と亜子が戻ってきた
「…あとは主席達が話を進てくれるみたい」
「しばらくは時間があるな」
話?同盟とか?
今聞きに行ける雰囲気じゃないし
「それじゃあ最後の仕事だ」
魔方陣の真ん中に集まり地上へと転移する
「そういや、戻るときどうすりゃいいんだ?あんな覚えにくいパスワード覚えてるのか?」
「いや、一度入ったら自動で戻れるようになるみたい」
会話しながらではあるが警戒は怠っていない
闇に紛れるようにビルを目指す
まだ反乱軍がいないとは言い切れないからな
「なんか、出そうだな」
「ひぃ!?や、やめてくだしゃいぃ」
そんな検討もハズレ、何事もなくビルを攻略し用意していた爆弾で破壊しようとするが、力を使いきったのか京一の『Skype』が反応しないらしい
「まいったなぁ…ここには何もいないみたいだし先に居住区の確認だな」
ビルから出たところでふと思い付いた
やるだけやってみるか
ドッガアアアアアン…ガラガラガラガラ
いましがた出たばかりのビルが轟音を発しながら崩れてゆく
「な、なに!?」
「……俺の能力って…『劣化コピー』だよな…」
何が起こったのかすぐには理解できなかったが
目の前の大破壊をしたのはユッキーだと悟ると
「あー、えっ?敵がめっちゃくちゃ強い能力だったとか?拓海はどう思う?」
「だとしたらどんだけつえーんだよ」
「真の強さは思いの丈、つまりそれだけ強い思いがあったんだろう」
「俺今何も考えずにやったぞ?」
「やったのはユッキーじゃない…とか?」
「タイミングぴったりすぎない?」
京一とレベッカは…口が開いたままだ
「と、とにかく!あとは居住区の確認だけだ」
「そうだな、多分勝手に崩れただけでユッキーの思い込みだろ!」
そんなはず…あるのか?
今俺は力を使ったはずだが…
更新遅くて申し訳ない…




