一ノ舞、新選組
「な……!!」
俺の足元には、刀で滅多切りされた人間の死体。
あまりの出血に、俺の洋服も血で汚れる。
その死体のすぐ傍
――俺のすぐ傍なのだが
数名の男が血のたっぷり付いた刀を俺の首元に当てている。
男達の服装は
――まるで江戸時代の武士のような
格好をしていた。
「なんんだその格好?異人か?」
「な……!!」
俺の足元には、刀で滅多切りされた人間の死体。
あまりの出血に、俺の洋服も血で汚れる。
その死体のすぐ傍
――俺のすぐ傍なのだが
数名の男が血のたっぷり付いた刀を俺の首元に当てている。
男達の服装は
――まるで江戸時代の武士のような
格好をしていた。
「なんんだその格好?異人か?」
一人の大柄な男が言う。
――異人……?なんだ?外人のことか……?
ならすぐの外人と言うだろうし、異人なんて死語だ。
それにこの男達は、この平成でどうして刀を振り回し人を殺しているのか――?
まったくわからない。
それに俺は、今
――命の危機にさらされている。
「おい、おめぇどこの国のもんだ?」
大柄の男のすぐ隣に威風堂々と立っている、黒髪の長髪の男が不審げに問う。
あまりのことに声が出せなかったが、今ここで話さないと確実に殺される……。
そう本望で感じた俺は、小さな声だが黒髪の男達へ言う。
「日本人だ」
そう……、俺は日本人。
異人でもなければ二世でもない。
黒目黒髪、まぎれもない日本人だ。
なのにこの男達はどうして、こんなに訝しげな顔をしているのだろう?
「日本語は話せるようだな……。しかしその服装、西洋の服によく似ている」
西洋。
長髪の男は確かめるように言った。
この服装のどこが西洋なのだろうか。
ただの平凡な私服なのではないのか。
男達のこの侍みたいな服装のほうが異常だ。
もしかしたら俺は、どこかで狂ってしまったのだろうか――?
「いやぁ、長州なんじゃないですか?ほらあそこ、どこか西洋かぶれしているところもありますしねぇ……。特に坂本とか」
大柄の男と長髪の男の数歩後ろに立っていた、小柄な男が子供なような声で二人に問う。
色白の男だった。
目は細いが凛々しく、髪は絹のように綺麗で顔には子供のような笑みを浮かべている。
だが、その笑みはとても不気味だった。
しいて言うなら、
――人間のふりをした妖魔のように
恐ろしくて、不気味な笑みだった。
長州……?
坂本……?
聞いたことのある言葉だ。
俺の知っている意味は、
長州……長州藩
坂本……坂本竜馬。
何を言っている?
この男達は。
何をいっているのだ……?
「長州か……。だったら生かせてはおけないな。歳、総司、殺せ」
大柄の男が強い口調でそう、言う。
俺は頭が混乱していた。この男達の言っている言葉も理解できないし、この男達の存在も理解できなかった。
だから、せめて………。
――殺されぬ前に。
「――あんたらは、一体何なんだ……?」
「新選組だ」
刀が、俺の脳天に降りかかる。