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思考凝固

作者: 黒子 明

始まりの思いは本当に純粋で、見てほしかっただけ。気が付いてほしかっただけ。


でも誰も私を見てはくれなかった。目端にすらかけてくれなかった。


だから私は待つ事にした。私を見てくれる人が現れるまで待ち続ける事にした。


何年も何十年も何百年もただただそこで待ち続けた。


闇が晴れて人々が囁く朝も、酷く強い日差しが射す眩しい昼も、月明かりが届かない漆黒の夜も、雨が降り止まない日も待って待って、いつしか何の為に待っているのかすら解からなくなってきた頃、自分の中に小さな疑問が生まれ始めた。


私はいったい何なのだろうか…?

なぜ待ち続ける事を選んだのだろうか…?

そもそも私は何なのだろうか…?


こんなに長く待てるのならば人ではないのだろう。


同じ理由できっと動物や昆虫でもないのだろう。


限られた範囲ではあるが動けるのだから植物でもないはずだ。


寒さや暖かさを感じる事は出来るから無機物でもない。


私はいったい何なのだろうか…?


考えて考えてある時この行為こそが自分なのではないかという答えに行き着いた。


自分は思考の塊なのではないのだろうかと。


最初は誰かの小さな見てほしい、気が付いてほしいといった小さな願いだったのかもしれない。


けれどその想いが寄り集まって私という存在が生まれたのではないだろうか。


そう考え付いた時、初めて私は見つけてもらえた気がした。


寄り集まって私を形成していたモノたちが剥がれ落ちていくのがわかった。


私達はやっと思考の渦から解放された。

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