この学校は狂ってる
なぜこの学校の1年A組は二人しかいないのか。
私、三宅泉と山神夏樹。
私と奴しかいないのは、大方予想がついているだろうが、もちろん山神夏樹のせいだ。
期待と不安を胸に入学してきた四月には、確か36人いたはずのこのクラスは、八月には、かなり早めのクラス替えをして、皆他のクラスへ行ってしまった。
クラス替えを提案したのは山神夏樹。
忘れもしない、夏の蒸し暑い日のことだ。
『クラス替えをしよう』
頭がおかしくなったのかと私は思った。
山神夏樹にだけではない、担任を含めた、クラスメイト全員にだ。
だって、私以外のすべての人間はクラス替えをする、という話を知っていて、張り出されたクラスの紙を見て、『○○ちゃんと同じクラス!』だとかはしゃぎだしたのだ。
先生は、八月のクラス替えというイレギュラーなことに怒るどころか私に
『良かったな、お前はA組だ』
そう言って笑った。
私は理解できなかった。
そこに山神夏樹がやって来て
『三宅さん、これからよろしく』
なんて言って笑った。
みんなが幸せそうに笑う教室で、私だけが笑っていかなかった。
八月以前の1年A組に、おかしなところなんかなかった。
いや、強いていうなら女子だけでなく男子までもか山神夏樹を崇めていることは異常だが、この学校じゃあ当たり前だった。
ただ、四月には仲良くしてくれた女子達が、五月になって私を無視したことはあった。
それは山神夏樹が私に構うから。
構うだけで周りから嫌がらせを受けさせることができるなんて私は思ってなかった。
毎日毎日、学園の王子様が話しかけてきたのにそれを毎回冷たくあしらったのだ。
嫌われないほうがおかしいだろう。
私は奴を甘く見ていた。
構ってくるだけで、攻撃になるなんて。
まだこの環境に馴れていなかった私には、精神攻撃はこれでもかというほどにきいた。
山神夏樹に復讐をする。
これはこの学校に奴がいることを知ってから、誓ったことだ。
まだ、入学した頃は復讐なんて良くないと思い留まろうとした。
だが、こうして攻撃を受けた今、私を止めるものはなかった。
山神夏樹のせいで死んでしまった私の親友、森月明里のための復讐が始まった。




