第二話「変態館の住人達1」
変態て…結構いっぱいいるんですよ?周囲にかなり(笑)
「ふん、御苦労様と言っておくわ」
「ありがとうございます、お嬢様」
「手続きは済んでるはずよ、荷物は任せたわよ」
「はい、お嬢様」
そう言うと辰馬は車へと戻って言った。
蝶華は先に変態館へと向かい、玄関の扉を開けた。
この扉のむこうには、予想も出来ない数々の波乱が待ってるいる。その事を、蝶華はまだ知らない。
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変態館の玄関をけて直ぐ左側に『受付』と書かれた表札が掲げられていた。
その表札の下に小さな小窓がある。
そこから、愛想の良い笑顔と共に男の顔が現れた。
「鶯谷蝶華、連絡はもう届いてるはずよ?」
「はい、御待ちして居りました鶯谷蝶華様」
と言い、一礼した。
「私はこのマンションのコンシェルジュをしております、受付橋教と申します」
「ふん、名前まで受付…おもしろいわぁ」
因みに、蝶華が今の様に「~わぁ」みたく、語尾を少し上げるのは御機嫌な証拠である。
話しは戻り、蝶華は自分の部屋の鍵を頼んだ。
「そう言えば…」と鍵を受け取りながら聞いた。
「君がコンシェルジュを務めてるという事は、このマンションも君が管理しているの?」
コンシェルジュというのは本来、マンション等の管理人を差すのだ。
「いえ、私はあくまで受付兼管理人代理、という立場です、正式な管理人は他にございます」
「ふん…まぁ察しは付くわ、どーせあの変態作家でしょ?…」
「…その様な表現は少々失礼かと思われますが…そのとうりでございます」
「もうあの男には会いたくないわよ、ありがと…それじゃ」
鍵を受け取ると、蝶華は受付を後にした。
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変態館は、正面の玄関扉こそ手動なものの、玄関から受付を挟み、入口までは幅10メートル、長さ25メートルの長い廊下があり、入口まで歩かなくてはならない。
「長い廊下ね…ま、本家の廊下よりは短いか」
…鶯谷家の廊下は大層長くて大きいそうな…
しかし、体力に自信が無い蝶華は廊下の左右にあるエスカレーター(空港によくある床を滑るヤツ)に乗った。
ウゥゥ…と、鈍くエスカレーターの機械音が聞こえる。流れる景色を尻目に、蝶華は一人妄想に耽っていた。
(それにしてもさっきの受付さん…ズッと笑顔だったわぁ…ホント笑顔以外の表情が全く見えなかったわぁ、まるで苛めてるときの辰馬みたいな表情…あぁぁ…ゾクゾクする……)
と、完全にお一人の世界にダイブ中のご様子。しかし、妄想に夢中で足元が疎かになっていた。
ハッ、と気付いたときはもう遅く、エスカレーターの流れる床は蝶華を乗せたまま止まらず、蝶華はエスカレーターの床と普通の床との境目を超え、足を取られ、ドサァッ、と派手な音と「キャンッ!」と可愛らしい仔犬の様な悲鳴をあげてズッ転けた。
その時、入口付近には人は居らず、受付からもかなり離れていたことは幸いだった。
もし人が見ていたら、蝶華はもう一生エスカレーターには乗れないだろう。
それが辰馬であっても…。
どうも筆者です^^
第二話御購読いただき、ありがとうございます。
さて最後のシーンの蝶華ちゃんかわいかったですね(笑)実はこのシーン、私の実体験なんですw
私もこのタイプのエスカレーターに乗ってて、ボーッ、と妄想してたら、ガッ、て足が引っ掛かって…(照笑) 妄想は、時と場所を考えましょう!(笑)
では、これからもこの作品を応援宜しくお願いします、ありがとうございました。