プロローグ
前から書こうと思っていたお話しです。
本当は短編にまとめたかったのですが中々まとめられず、長編にしました。
不定期に更新することになるやもしれませんが、どうか長い目で…よろしくお願いします。
あ、書いてる途中思ったんですが…
…なんだか、エッチな小説に聞こえる台詞?描写?なんて言ったらいいか分かりませんが、そんな表現があるかもしれません。
が、決してエッチな小説では無いのでご安心を(笑)
でわどうぞ。
お嬢様と執事……
執事は主の手となり足となり、主の生活をサポートする。
綺麗なお嬢様に美男な執事が付き、車で送り迎えしたり、紅茶を淹れたり、禁断の恋に堕ちたり……
……とまぁ、上記のものが一般的な『執事』のイメージだろう。
しかし、これから話す物語の彼等の主従関係は、我々が想像しいてるものより、かけ離れていた…
それでわ、そんな少し変わった…というか、少々狂いぎみの彼等の物語を見ていこう。
*****
「さあっ!私の前に早く跪きなさいっ!」
とある豪邸に響き渡る凛とした声。
彼女の名前は鶯谷蝶華
大財閥「鶯谷グループ」のご令嬢様である。
背中を覆い尽くす程長い黒髪、美しい白い肌、長い睫毛にきりりとした大きな瞳。
外見は、まるでお人形さんの様に、申し分なく美しい、しかし……
「なにしてるのよ?早くしなさいよ、この変態っ!」
「はい、お嬢様」
微笑みを浮かべ、彼女の前へ跪く男性。
服装は黒いスーツに黒いフレームの眼鏡、黒いネクタイ、黒いズボン……
全身黒一色で統一された彼の容姿は、一目で「普通の人間ではない」と、思わせる雰囲気を醸し出している、才気溢れるというような……
右頬にある一文傷さえ無ければ優秀なサラリーマンや政治家を思わせるだろう。
そして何より、かなりの美青年だ。
「ふんっ、こんなことされてもヘラヘラ笑うとか…ホント変態ねぇ辰馬は……」
膝ま付く彼の頭に足を乗せ、罵る蝶華。
「はい、光栄でございます」
辰馬と呼ばれた彼は、笑みを崩さずそう返した。
「この司之宮辰馬、お嬢様の手足となり、玩具となることこそ、史上の喜びでございます」
「当然よ、貴方は私の下僕なんですから」
さて、このやり取りをみる限りでも、このお嬢様…かなりの「ドS」のようだ。
「ああぁ…お嬢様はいつ見てもお美しい…こんな卑しい僕には眩しい限りでございます」
「ふん、アンタみたいな下劣な者が私のような高貴な乙女を見ていられるってこと事態あり得ないことなのよ、感謝しなさいっ!」
傲慢、自画自賛、ナルシストも甚だしい台詞
その上、相手をこれ程目下に見た発言……
しかし。
「はい、感謝します、お嬢様」
ここまで言いたい放題言われ、見下され、罵倒されてもなお、笑顔を絶さず彼は言う。
……その後も、蝶華は散々辰馬を罵った挙げ句、
「もう飽きたわ、下がっていいわよ」
と、言った。
「はい、お嬢様」
と、だけ言い、一礼して辰馬は部屋を後にした。
部屋には、蝶華だけが残る。
「ふぅ……」
と、蝶華は一息つき、そして…
「きゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ベットに飛び込み、枕に顔を埋めいきなり大声をあげた。
「うう…今日もまた辰馬に色々酷いことしちゃった……」
先程の罵声を悔やんでるのか、何やらぶつぶつ言い始めた。
「ああ…っ、辰馬ぁ…アナタの事考えるだけで…ああんっ……次はどういたぶってあげましょうか…ふふふ」
……どうやらこのお嬢様、一人で妄想に耽るほど、あの執事にご執着のようだ。
「……でも……」
枕から顔を上げながら蝶華は言う。
「辰馬を見つめると……胸がドキドキして…つい…罵りたくなるのよねぇ……」
顔を赤らめ、独り言を続ける蝶華。
「何なのかしら…この気持ち」
*****
……さて一方、先程蝶華に下がれと言われ、部屋を後にした辰馬。
「……」
彼は自室に戻り、スーツの上着を脱ぐとベットに腰掛け「ふぅ……」と、息を吹く。
そして顔に手を当て、
「クッククク……」
と、奇妙に笑い、
「ああぁ…お嬢様…今日もまたお美しく有られていらした…その美しさは、まるで荒野に咲く一輪の花の如く…暗闇の海底に光る真珠のよう…ああぁ…とても僕のような下劣な人間では表せない…いや表そうとするのも烏滸がましい程……」
……この執事、どうやらとてつもなく、あのお嬢様を好いているようだ。
それも変質的なまで、に……
「ああぁ…お嬢様…いつ見てもお美しい……」
辰馬は壁は勿論、天井まで張り詰めた蝶華の写真を見上げながら言った。
「はぁぁぁ…お美しいです、お嬢様」
……どうやらこの執事…かなりの『変態』のようだ。
この『ドS』なお嬢様と『変態』な執事……
はたして奇妙な二人はこの後、どのような物語を歩んで行くのか。
見てみよう。