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こんなのが運命なんて信じない! 3




「あっはははははははははは!」




笑ってるのは男性店員。笑いすぎです。ていうかお客様に失礼だろ。

…………まぁ、こんなこったろうとは思ったけどね。

俺は今日というか、暫く分の運は使い果たしたのだろう。

そう考えればいい。

例え残念賞だとしても悔いは無い!

これで暫くはいつでも鼻をかめる!

俺はなんだかよく分からない楽観思考になっていた。




「いやぁー、残念だったねぇ」


男性店員は笑いすぎて出た涙を拭いつつティッシュを渡してくれた。

地域限定のマスコットの描かれたティッシュというのはなんだか持ち歩き難いが、街で渡されるデリバリーヘルスとかの広告入りティッシュよりは遥かにマシだろう。

だってほら、まだ高校生だし。


「やっぱ遊園地で彼女とデート☆ とかしたかった?」


「そりゃあ…」


それを望まない男なんて、いるのだろうか?


「じゃあコレ、俺がもらった分だけど、あげようか?」




ひらりと翳される二枚のチケット。

艶やかに彩られた遊園地御招待券の文字。




「え、そんな悪いですよ」


俺はぶんぶんと両手を振って、お断りの意思表示をする。

そりゃ、欲しくないと言えば嘘になる。

けれど、人の幸せの邪魔をしてまで、自分が幸せになりたいなんて思わない。

幸せは、振りまくものだ。

……なんちって。

今日の俺は何処までも寛大だ。

きっと赤い羽根募金にも千円札を入れるだろう。

微妙とか言わない。




「君はいい子だねぇ」


素直に受け取っておけばいいのにと、男性店員は苦笑いを浮かべる。


「いえいえ、貴方も、彼女とかと行けばいいんですよ」


「彼女、ね」


男性店員は空笑いをしてから、ますます苦笑いを深くした。

もしかして、いないとか?

結構整った顔立ちをしてるのに、世の女の子たちはもったいないことをしてるもんだ。


「そんなことは気にしなくていいんだよ」


そんなこと言われても、気にはなりますって。


「じゃあ交換で」


「は?」




何をと言う前に、視界が塞がれた。

男性店員のまつ毛が普通よりも長いと思った。






なんだこれ。




なんだこの状況。






「案外、平気だったりするの?」






吐息のかかる距離、どころじゃない。

全然平気じゃない!


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