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こんなのが運命なんて信じない! 2

確かに、備えは必要かも知れないけど、それを彼女に見られた日には俺は憤死してしまうかもしれない。


「あんまり深く考えずに、男の嗜み程度に思っておけばいいんだって」


男性は尚も薦めてくる。

なんだかだんだんその気になってきたような。


「持ってても、変じゃないですよね?」


「全然! むしろ普通だって」


備えあれば憂いなしとも言うし。

まぁいいか。


「えと、じゃあ、買います、これ」


「あはは、毎度アリー♪」




男性は店員だった。




よく見なくても店のエプロンを着用している。


「………」


なんというか、ちょっと凹んだ。


「ん? 買わないの?」


「イエ、カイマス」


ココでまた買わないとなると煩そうだから、買っとくだけ買って、その後どうするかは俺次第な訳だし。

まぁいいや。

問題は、無い。

自分に言い聞かせた。




「ポイントカードはお持ちですかぁ?」


さっきまでのおせっかいさはどこ吹く風、立派な店員としての対応になった。つまりは、味も素っ気もない営業用。

……寂しくなんかないやい。


「本日五百円以上お買い上げのお客様には抽選くじを引いていただいてましてぇ、当たった番号の物をプレゼントさせていただいてますー」


「へぇ?」


男性店員はありがちなくじ引き用の箱(太い赤字で創立十周年記念とか書いてある)をずいと俺の前に差し出してきた。中身は正方形の紙を三角形に半分に折って、ホッチキスで止めてある簡素なもの。

手作りだろうか。

景品棚の方を見ると、下はポケットティッシュ(残念賞)からトイレットペーパー、有名所の洗剤、CMで良く見るリンスとシャンプー、温泉名所の入浴剤、微妙なお年頃用の化粧品等々…、対奥様用と思われる品々が並んでいた。

その中で唯一俺が必要になりそうだったのが、遊園地チケット。

なぜあるのかは分からない。




「やっぱりお兄ちゃんはそれ狙いかぁ! 当たるかな? 当たるかな?」


男性店員はやたらに楽しそうで、嬉しそうだった。

どの客に対してもこんな態度だというのなら、ある意味仕事熱心だと言えるだろう。


まぁ構わない。

今の俺は寛大だ。

そして無敵だ!

深呼吸なんていらない。

今ならイケるっ!


俺は迷いの無い動きで一つのくじをつまみあげる。それは一回折り畳んだ紙をホッチキスで止めてあるだけの簡素なものだった。

妙にどきどきしながらホッチキスの針を外すと……。






『残念賞!』





 

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