空に向かって
え、だれ?
「誰だてめー」
あ、ここにきて初めてこの不細工と意見があったよ
す、といきなり現れた謎の人物に視線を向けて息をのむ。これまた、イケメンだ
しかもうちの高校の制服、学年は2年だ。ネクタイの色が青だ。一個下なんだ
「何だねちみは?って?俺は轟やん」
不細工がお、おま、と狼狽えるのが視界に入る。わかるよ。その気持ち。あたしだってビックリだ。轟だなんて、口にするのさえ怖い
「轟よ?あんたの名前はよ。まぁ知りたくもないけん。遊ぼーや」
「あ、と。俺、塾あるんで」
おい、嘘付け。お前、あれだろ塾って柄じゃねーよ。塾っつーよりはあれだ、なんか牛肉工場に居そうな顔だよ
「そか、遅刻すんなよ」
そう轟と名乗る男が言うと不細工は走って行った。きっと塾じゃなくて牛肉工場に向かったんだと思いたい。あの顔で塾なんてカオスだ
「おい。」
あ、と轟と名乗る男に目を向ける。うっかり、不細工の背中を追っていた
「あーなんか、ありがとね」
「別に。家、どこなん?」
「あっちだけど?」
「ほか。送ったるわ」
何、この人。轟兄弟だよね?
え、なにこの優しさ溢れる会話。ってか、イケメン過ぎて言葉に違和感無いんだけど。なんの疑いもなくついて行きそうになるんだけど
「いや、悪いし。大丈夫」
「また、あんなんでるかもじゃん。」
「でも、知らない人に送って貰ったら申し訳ない」
「轟 桃也」
「ん?」
「名前」
「あぁ、あたしは高山 明」