(短編)とある商人の決意
DQ3をプレイして感じた事を適当にアレンジしてみました。
続きませんw
昔から妹とは比較されてきた。
妹は頭がよく、様々な才能に恵まれていた。
周りの人は妹を勇者だった父に似ていると賞賛した。
祖母も祖父も、そして俺を生んだ母さえも。
自分の無力を嘆き、妹に嫉妬しなかったと言えば嘘になる。
かといって、妹を邪険にしたりという気は起こらなかった。
魔王を倒す旅に出た日、父が俺に言った
「妹を守ってやれ」
という言葉が頭から離れなかったのである。
そして、父は帰ってこなかった。
年月が過ぎ、
国は妹に復活した魔王討伐を命令してきやがった。
ふざけるな。
世界の国々が恐れた魔王をしょぼい装備とはした金で外に放り込んで妹に倒せと言うのか。
母達や周囲の人もそれが使命だと喜んでやがる。
皆、妹が成し遂げるのが当然の義務と考えてやがる。
その為だけに色々施したってか。
技術も、知識も、情さえも。
俺の職業である商人の観点から見ると合格だよ。
優良な物件に麦粒程度の投資で、大きな利益を生み出そうとしているのだからな。
だがな、俺の妹にはそれしか価値がないってのか。
人間ってのはそうじゃないだろ。
人の繋がりだって、そこまで徹底して合理的なもんじゃないぞ?
所詮「勇者の子は勇者」って事でしかアイツを見てなかったということか。
妹はお前達の道具じゃねえんだよ。
上等だ。
安心しろ妹よ。
俺には直接お前を助ける力はねえ。
ましてや守る力もねえ。
だがな。
お前は俺が命に代えても間接的に助力してやる。
しょぼい装備しかないというなら、
大陸駆けずり回って良い装備を揃えてやる。
弱い仲間しかいないっていうなら、
酔狂な凄腕の傭兵を探し出してやる。
モンスターが多すぎて魔王の下まで辿り着けないというなら、
私兵団作って可能な限り、雑魚を一掃してやる。
勇者には勇者の、
商人には商人の、
妹には妹の、
そして、
兄には兄の戦い方があるって事だ。