首切り祭
とある大陸の
とある地方の
とある領主国の話
その領主は気分で人の首を切る男だった
首を切ると言っても、仕事を失わせることなどではない
物理的に首が切られるのだ
ある時、通りかかった旅人が、ちょっとした事で領主の機嫌を損ねた
旅人は首を切られる事になった
両腕を縛りあげられると、広場の真ん中にあるギロチン台に乗せられた
ドスン!
鈍い音と共に旅人の首が飛ぶ
領民は目を逸らした
かわいそうに……
旅人の体はその場に放置された
明くる日、役人が旅人の体を処分しようと広場に来ると、体から首が生えていた
驚いた役人は領主にすぐに報告する
領主はもう一度首を切るように命令した
ドスン!
首が飛ぶ
領民は目を逸らした
明くる日、首は再び生えている
ドスン!
ドスン!
ドスン!
何度やっても首は生えてくる
やがて、領民は首が飛ぶことに慣れてきた
旅人の首が飛んでいる間は自分たちは安全なのだ
ドスン!
ドスン!
ドスン!
広場には露天商が並びはじめる
ドスン!
ドスン!
ドスン!
皆が首が飛ぶのを眺めるようになった
ドスン!
ドスン!
ドスン!
首が飛ぶ瞬間には歓声が上がる
ドスン!
ドスン!
ドスン!
やがて領主も代替わりする。
この旅人を許そうとしたが、領民がそれを許さない
ドスン!
ドスン!
ドスン!
「さあさあ、首切り祭にようこそ!」
この国の名物になった
ドスン!
ドスン!
ドスン!
首切り祭の産業収入で領民は豊かになる
ドスン!
ドスン!
ドスン!
領主はすでに、ことのはじまりを知らない世代になった
ドスン!
ある時、旅人の首は生えてこなくなった
領主は困り果てて、皇帝に相談する
「首を切ったら生えてこないんです。」
「あたりまえだろ?」
領主は困り果ててしまう。明日は誰の首を刎ねればよいのだ。
領主は1人目の犠牲者を探しに街に出た……




