表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/23

白獅子と黒の真実

俺が魔力操作の片鱗を掴んでから、ほどなくして。

澄人と結衣も、それぞれの内で魔力が巡る感覚を掴み始めた。


「よしよし。君たち、案外センスあるじゃないか。やっぱり僕の教え方が良すぎるってことなのかなー?」


天城がひらひらと手を振って、そんな冗談を飄々と口にする。

そのまま、俺たちは自分の内側にある熱を循環させる練習を続けていた。


だがその時だった。


――!

――……!!

――…………!!!


背後から凄まじい足音と威圧感が迫りくる。


先ほど天城が放った火の玉。

その爆発音が演習場に高く響き渡ったのを聞きつけたかのように、一人の男が猛烈な勢いで歩み寄ってきた。


「――あーまーぎー!! またお前か! 演習場を壊すなと言っているだろう!」


怒声の主は、揺れる白髪に、獅子のような力強さを感じさせる体躯の男だった。

だが、その瞳にはどこか海のような深い穏やかさが宿っている。


「これはこれは、団長さん。またお小言ですか?」

「お小言で済ませているうちに反省しろ。……それで、この子たちが例の?」


天城は微塵も悪びれる様子もなく、俺たちの方を向いた。


「ええ」


天城は頷くと、俺たちの目を順に見つめて言葉を継いだ。


「紹介するね。この方はエクシア共和国聖騎士団・団長、ゼファー・アネモス殿だ」


アネモスと呼ばれた男は、俺たち一人一人の目を真っ直ぐに見つめ、優しく頷いた。


狐人族ルナ・フェネクスの集落で起こったことは聞いている。あれだけのことがあって、よくぞ立ち直ってくれた。天城の救援が間に合い、被害は甚大だが集落は無事だ。まずはそれを伝えておきたかった」


その言葉に、澄人が一歩前に出て、震える声で問いかけた。


「……あの。俺たちは王国から、あの作戦は魔物の脅威を排除するための正当なものだと聞かされていました。でも……」


アネモスはあからさまな呆れを混じらせ、首を横に振った。


「あることないこと吹聴されているのだろうな。狐人族ルナ・フェネクスが住まう地からは決まって、魔道具の最高級材料になる『ルナ鉱石』が採掘される。大方、その資源を独占するための侵略だ」


「そんな……。嫌な予感はしてましたけど……本当に、失望しました」


ソルディア王国のあまりにも浅ましい真実を知り、結衣は絶望したように呟く。

俯く結衣の震える肩を、天城がいつになく穏やかな手つきでそっと叩いた。


「君たちなら理解は早いだろうけど、ソルディア王国の主張は真っ赤な嘘だ。あの国は理想国家などではない。周辺諸国を飲み込もうとする真っ黒な侵略国家だよ。だから僕たちは、こうして周辺諸国と手を取り合って抗っているってわけさ」


重い沈黙が流れる。

けれど、それは以前のような「無力感」からくる沈黙ではなかった。


「さあ、疲れただろう? 初日はこの辺にしようか。こう見えて僕も忙しい身なんだよ? 団長から書類の山を押し付けられる前に失礼するとしよう」


天城の冗談に、アネモス団長が「逃げるな天城!」と声を上げる。


自分たちが信じ込まされていた正義が、音を立てて崩れ去った。

けれど、代わりに得たものがある。


それは、憎むべき本当の敵と、進むべき真実の道。


俺は夕闇が迫る演習場を見つめ、握りしめた手のひらの中に、消えることのない逆襲の火が灯るのを感じていた。

王国の語る「正義」は、単なる略奪のための嘘だった。

残酷な真実に直面した三人の心に宿ったのは、絶望ではなく、確かな「逆襲」への意志でした。


次回、第15話は 2/18(水) 20:10 更新予定です。


二章の勢いを加速させていきますので、ぜひブックマークや**評価(★★★★★)**で応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ