光に飲まれる教室
その日は、いつも通りの朝だった。
教室はうるさくて、退屈で。
誰もが自分の世界にしか興味がない。
クラスの中心では相変わらず楽しそうな声が飛び交い、目立つ連中が、目立つままに笑っている。
その喧騒の少し外側に、彼女がいた。
昔から知っている顔。
今はもう、特別に話すこともないけれど。
たまたま視線が合って、彼女は少しだけ、柔らかく微笑んだ。
淀んだ空気の中で、そこだけが唯一、澄んでいるような気がした。
「今の見た?」
すぐ横で、誰かが小さく笑う。
「後ろのやつ、見てたよね」
「きも」
聞こえたが、何も言わない。
ここで声を上げれば、標的が自分に変わるだけだ。
こういうのは、日常。
気にした方が負け。
俺はそう自分に言い聞かせ、机の上の傷に視線を落とした。
チャイムが鳴る――はずだった。
けれど、鳴らなかった。
代わりに、教室の中央で、暴力的なほどの白い光が弾けた。
「……え?」
誰かの抜けた声と同時に、光が奔流となって教室を埋め尽くす。
眩しい。目を開けていられない。
「なにこれ!?」
「やば、なに!?」
悲鳴。
机が倒れる不快な音。
逃げようとしたが、足が床を掴まない。
足元の感覚が抜け落ちる。
落ちているのか、浮いているのか。
上下も前後も、意味を失っていく。
光の中で、俺たちの日常だった教室という「場所」が、砂のようにほどけていく。
気づいた時には、
そこはもう、俺の知っている世界じゃなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!本日このあと15時、18時にも更新します。渚たちの運命をぜひ見守ってください!
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