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ポケットの中の違和感
その日の夜。ユウトはバイトを終えて、部屋に戻ってきた。
制服を脱ぎながら、ポケットをひっくり返すと――見慣れないものがコロンと床に落ちた。
「……ん?」
それは、小さな木の欠片だった。
丸く削られ、表面には見覚えのない模様がうっすらと刻まれている。
手に取ると、ほんのりと温かい。
「こんなの、俺……拾ったか?」
思い返す。倉庫の奥に入ったとき、影や冷たい風に気を取られていた。
気づかぬうちに、ポケットに紛れ込んだのだろうか。
スマホのライトで照らして眺めてみる。
ただの木片に見える――けれど、じっと見つめていると、文字のようにも、模様のようにも思えてくる。
ユウトは深くため息をついた。
「……いや、考えすぎだ。セリカの変な影響受けすぎだな」
そう言いながら机に置き、ベッドへ倒れ込む。
部屋の外では秋虫の声が響き、現実の音がやけに頼もしく感じられた。
しかし、眠りに落ちる直前。
机の上の木片が、かすかに「カタン」と揺れた気がした。




