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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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38羽目:筋肉と食べ物は偉大だった

 何度目かのクエスト表示に、2人で「YES」を選択する。

 2つもクエストを抱えることになったけど、急ぐ必要はないし、まぁ大丈夫かな?


「そういえば、みぃ。導きって今どうなってるの?」


 みぃの瞳、 風導の瞳(ゼフィールアイ)を見ながら尋ねた。


「扉までは一本の導きだったんだけど、中に入ってからは全体がうっすらとした靄みたいになったの。この中のどこかって意味なんだと思うけど……」


「なるほど。じゃあ、手伝ってるうちに何か見つかるかもしれないね!」


 ニカッと笑いかけると、みぃも笑って小さく頷いた。

 とりあえず、天井に向かって祈っているスピルカさんの意識をこちらに戻す。


「スピルカさーん、戻っておいでー。まずはここの本をタイトル順とかで片せばいいのかな?」


 本を片すのに名乗りを上げたはいいけど、この世界でも著者やタイトル順で並べたりするのかな……?


「ハッ……!夢じゃない……。はい!ここにある本はすべて魔術紋が印字されているので、戻すべき場所に本を近づけるとその箇所が光ります。1冊試しに……はい、この通り光ったので、そこが戻すべき場所になります。魔法整理機はその光を感知して本を戻してくれるんです」


 スピルカさんが山の中から一冊取り出し、棚に近づけると、3段目の真ん中がチカチカと光った。そこに本を戻すと、光がスゥーっと消える。間違った場所に入れると、光はずっと消えないらしい。

 へぇ、ファンタジー世界のRFIDタグみたいな仕組みだ。


「それでスピルカさんは、棚の間を歩きながら、あんなに沢山の本を抱えてたんだ」


 少しバツの悪そうな顔で、スピルカさんがほっぺをかく。


「返却棚に何度も戻るのがめんd……手間だなぁと。一度に沢山の本を持って歩けば効率的かと思いまして!」


 今、めんどくさいって言いかけたね?司書ってインテリなイメージだけど、案外脳筋なのかも?


「この集めた本以外にも、返却が必要なものはある?場所さえ教えてもらえれば、そこに取りに行くよ」


「あそこの壁沿いの棚が、すべて返却しないとダメなやつです」


 指差された棚を見ると、図書館にあるような4段の棚が壁沿いに5つ並んでいて、どれも8割ほど本で埋まっている。


「かなりあるね~。1人じゃ確かに手が回らないはずだよ!」


「わかってくれますか?!このエリア担当の魔法整理機が3台とも子供にやられてからはもう……他の魔法整理機は登録変更に時間がかかるし、あんのクソガキどもめ……次とっつかまえたら本の栞にしてやる……」


 あどけない少女のような顔から、一気に悪人顔になるスピルカさん。


「じゃ、本はやっておくから!スピルカさんは他にも司書のお仕事あるなら、うちらに任せてそっちやっても大丈夫だよ?ね、みぃ?」


「うん、司書って裏の仕事たくさんあるだろうし、できるうちにやらないとね」


「わっ……え……こんなに優しくされて、私明日死ぬんでしょうか……?あ、ありがとうごじゃいばずぅぅうう」


 スピルカさんは宇宙猫みたいな顔になったかと思うと、ぶわっと泣き出した。2人で慌てて慰めて、作業しながら食べられるようにと【ドライルーナベリー】を差し出すと、すっと泣き止んだ。


 食べ物の力は偉大だね!ルーナベリーは、前にルミさんがくれた果物セットの中に入っていたものを、干しただけの簡単おやつだ。


 【ドライルーナベリー】

 カテゴリー:料理

 効果時間:10分

 味わい:さっぱりとした甘みと、ひんやりとした口当たり。喉を通ると、微かな清涼感が残る。

 効果:軽くかじるだけで、目と頭がすっきりし、集中力が高まる。就寝前に食べると、夢の中で記憶の整理がしやすくなる。

 注意:過剰摂取して寝ると夢に閉じ込められる可能性あり。容量・用法を守って食べましょう。1日20粒まで。


 作ってみたら、なんだかサプリか薬みたいな説明になっちゃったけど……とりあえず容量の半分だけスピルカさんにあげた。目にも良さそうだし、ちょうどよかったかも。


 みぃはスピルカさんに案内されて、裏の部屋で作業することになった。


「よし、本を片していきますかね!唸れ、私の視力!」


 スピルカさんの戦法を真似て、大量の本を片手に抱えて棚を歩く。


「【反転 STR】でらくちん、らくちん~」


 スキルで腕力を強化しているので、山のように本を片手で抱えられる。とはいえ、崩れない高さにしておく。

 ふふふっ。野鳥を素早く見つけるために続けてきたビジョントレーニングが、今こそ火を噴く!


 左手に積み上げた本を抱え、右手でテンポよく棚に戻していく。光を頼りに、次々と本を収めていく作業は、まるでミニゲームのような感覚だ。


 実際に、ミニゲームのような画面に切り替わっていて、《Start》と表示が出て、視界の隅にカウントダウンタイマーが現れる。本を持つと返却すべき棚に吹き出しが出てくるので、目の前に行くと返却位置が光るのだ。

 軽快なBGMも相まって、集中力も高まり、どんどん片付いていく。


「エッホエッホ」と本を運び、「ホイホイ」と戻していく。気づけば、あっという間に最後の1棚にたどり着いていた。


 作業しながらふと思う。司書って、なんとなくインテリなイメージがあるけど……実際は、脳筋の方が向いてるだろうなぁ。

 この本戻し作業、ゲームじゃなければ完全に筋トレだし、ビジョントレーニングにもなる。

 野鳥観察用の最強トレーニングメニューとして、一石二鳥だね!

スタンプ、ブクマ、★をポチっとしていただくとルーイのエッホエッホが早くなるかも?!


ルーイ:「【反転 AGI】!エッホエッホエッホエッホ」



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