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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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11羽目:クラス替えの時って緊張するよね

「あのー、初めて登録に来たのですが、何をしたらいいのでしょうか?」


「騎士団ギルドへようこそ。新世界人(ニュービー)の方ですね、初回登録はまず、こちらにご記入からお願い致します」


 淡々と説明をしたのち羊皮紙を手渡されたが、タッチパネルか羽ペンで、記入を切り替えが選択できるようになっていた。

 いやー、芸が細かいなぁ、ファンタジー気分を味わいたいから、羽ペンにしよう!しかし立派な羽だなぁ、どんな鳥ちゃんの羽なんだろ?


「すいませーん、この探索依頼の詳細きけますか?ヒッ」


 背後から集団がやってきて、受付嬢に声をかけるが、ものすごい睨まれたからなのか短い悲鳴を上げていた。


「……拝見いたします。……こちら、ですと……あちらの窓口でどうぞ」


 集団はさっとお礼を言いながら、そそくさと案内された窓口へと、逃げて行った。


 すべての記入が終わり、登録カードと装備一式を受け取り、講習の部屋に行くよう案内してくれた。


「登録カードは貢献度に応じて、ランクが上がり素材が変わります。

 現在、ルーイ様のランクは銅です。ランクは下から銅・銀・金・プラチナとなっております。ランクに応じて、当ギルドでお買い物するなどの際に、割引が適応されますので、ぜひご活用ください。


 今、お渡ししました装備は、こちらでつけていただいても構いませんし、講習の後半には、課外学習も含んでおりますので、その時に装備頂いても構いません。


 最後に、この書類にサインをお願い致します。当ギルドへの登録完了証明となりますので、こちらに羽ペンでのご記入でお願い致します。他にも何かございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。」


 ふむふむ、こう聞くとシステマチックな所とか、ペンで記入させるところとか役所っぽいな。


 しかし、小鹿くんもさっきの集団もだけど、そこまで怖がる事あるかなぁ?この人、仕事も早いし言葉遣いも丁寧でいい人だと思うけど。

 ん?あー、もしかしてこの人……?

 うーん、さすがに突っ込んで聞けるほど、まだ仲が良くないので、今はとりあえず講習を終わらせよう。


 ギルドの2階に位置する部屋が、講習を受ける所になるらしい、だがその前に郵便ハトへメッセージを託してから、教室へ入ることにしよう。




 

 いやぁ、まさかあの郵便ハトさんが、また来てくれるとは思わなかったなぁ。もう運命の糸で、結ばれているとしか思えない!窓の外に来て目が合った瞬間、Uターンしようとしてた、もう恥ずかしがり屋さんなんだからぁ~!


 少しずつ、2人の距離を縮めていこうね!うふふ、(ごはん)にする?水浴び(おふろ)にする?それとも、け・づ・く・ろ・い?なーんちゃってキャー!


 スキップ気味に部屋へ足を踏み入れると、そこはまるで、コンパクトな大学講堂のような空間だった。階段状に配置されたテーブルが並び、全体で40名ほどが収容できそうなほどの広さがある。


 ぎゅうぎゅう詰めというほどではないが、ちらほらと空席がある程度には人が入っており、ほどよい熱気が感じられる。

 見渡すと、先ほどの小鹿くんもいた。せっかくだし隣に座ろうかな、何かちょっとでも、知ってる気がする人がいると安心するよね。


「すいません、隣いいですか?」


 防具を付けたり外したりして、何やらステータス画面に夢中だったせいか、周囲の気配に、まったく気づいていなかったらしい。

 声をかけた瞬間、まるでバネ仕込みのぬいぐるみのように、ビクッと跳ね上がった。

 必死に体勢を立て直そうとするも、バタバタと手足を振り回し、その拍子に机に置いていた盾が落ち、ガシャン!と盛大な音が響き渡り、教室内の全員が一斉に振り返った。



「ひゃ、ひゃい!じょ、どうじょ!」


 無事に注目の的になってしまった小鹿くん、めちゃめちゃ噛むじゃん。嚙みすぎると、口内炎だらけになっちゃうよ?最初のひゃとか、若干叫び声みたいになってたけど、隣に座ったのは良くなかったかな。


「初めまして、ルーイです。急に声かけちゃってごめんね?さっき受付で君の事見かけたから、同じ初心者かなって思ってたんだ。

 そしたら教室にいたから、親近感沸いて隣に来ちゃったけど、人といるのが落ち着かないなら言ってね」


 自分もそれほどコミュニケーションが達者ではないが、小鹿くんがどえらい噛むほど緊張しているので、自分よりも緊張している人がいると、逆に落ち着いて物事が見られるよね。


「だ、だいじょびです!問題ないです!」


 本当にだいじょび?まだ若干緊張しているのは、先ほどの一件が尾を引いているからか?今もなお、ちらほらと、こちらへ向けられる視線が感じられる。そのせいか、緊張が抜けず、落ち着かない様子だ。


 

「こうやって、知らない人同士で集まっていると緊張するよね。クラス替えの時みたいな感じで。

 うちもさっき教室に入ってくる時、すごい緊張していて、心臓バクバクしてたんだー。でも受付でもみた君がいたから、少し緊張が解れたんだよね。

 あ!知っている人がいてよかったって、ちょっと一方的だったかもだけど」


 前半部分は、首がもげるのではないかと言うほど、ヘドバンで力強く返事をしていたが、最後はものすごい左右に顔を振っていた小鹿くん。

 会話を続けるうちに、少しずつ緊張がほぐれてきたようだ。


 せっかくだし、これを期に友達になれたらうれしいな。なんて思っていたら、ふと気づく。

 そういえば、彼の口から名前をまだ聞いていない——よし、聞いてみよう。

 ずっと心の中で「小鹿くん」と呼んでいると、うっかり口から出てしまいそうで危ないし。


「もしよかったらだけど、名前なんて呼べばいいかな?ずっと、君とかだと他人行儀でいやだなぁと思って、せっかくだから友達になれたら嬉しいな」


「ば、ばばば」


 ば?ばばばさんかな?





「バンビーですぅ……」


 どっちみち小鹿だったわ。

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