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はじめまして、田中

『初めての学校ドキドキするな、友達できるかな?』


 私は17歳高校生のアミ。自慢じゃないけどこれまで会う人みんなに美人だ、かわいいと言われ生きてきた。好きでもない人に言い寄られるのは面倒だけど、それなりに美人で得した方だと思っている。


 友達も彼氏もいて、楽しい高校生活を送っていたけれど、ママが離婚して家を出て行くことになり、全く知らない土地へと2人で引っ越してきた。今日は新しい学校への初登校日だ。

 

 高校へは家から5分ほどのバス停からバスに乗って20分ほどかかる。これまで自転車通学だったから慣れないことばかりだ。


「お弁当忘れないでよー!バス乗り間違えないようにね!」

「分かってるー!いってきまーす!」


そう言って勢いよく家を飛び出したアミ。

 髪は染めていないけど、色素が薄いせいか明るい栗色で細く柔らかい髪質が、肩下まである緩いウェーブのかかった髪を歩く度にフワフワ揺らす。

日焼けをしたことがないような白い肌に、大きくクリっとした目にツンとした鼻、薄ピンクの唇は、日本人じゃないと言えば思わず信じてしまうような顔立ちだ。


 余裕を持って家を出たつもりがバス停にはすでに多くの人が並んで待っていた。次のバスに乗れるか不安になりながらも、最後尾に並ぶ。そこでふと何人か前の男子高校生と目が合った。すぐ目を逸らすも再びすごい勢いと表情で二度見する。


「おいっ、やばい美少女いるぞっ!!」


 そう言って次々前に並んでいた人々が振り返り物珍しそうに騒ぐ様子はまるで、珍種の動物でも見たかのような騒ぎだ。


『またしばらく騒がしいな』


地元ではある程度知られてたから、視線は感じるけどここまで騒がれることはなかったけど、転校先の高校でもしばらくは静かに過ごせないかもしれないと思うと、アミの心はひとつずしっと石が乗ったように重くなった。


 バスに乗車中も降りてから学校への歩きの最中も、ジロジロと遠慮のない視線にさらさらながら学校へと辿り着いた。


『心が折れそう、もう帰りたいよぉ』


そう心の中で泣きながらも、ホームルームの時間がやってきた。担任の先生とともに教室へ入り挨拶をする。


「初めまして、高坂あみです。

        よろしくお願いします。」

 

 隣や後ろの席の人とコソコソ話しながらざわつく生徒たちの中に、ポツンと1人誰と喋ることなく俯いている男子生徒がいて、逆に目立って目を引いた。


「えー、高坂の席は一番後ろの田中の隣な。じゃ席について」


 先生の指さす方向には、あの俯いている男子生徒がいた。先生の声にピクッと反応した彼が、ゆっくり顔を上げてこちらを見る。黒髪ストレートの髪型だけど、前髪で目が見えず髪の隙間からぎょろっと瞳が動くのが見えて、アミは思わずドキッとした。


『あの人が田中くんかぁ、喋らなそうだし、ついてないな』


 そう思いながら、ジロジロとした視線をかきわけ一番後ろの窓側の席に座ったアミ。第一印象はあまり良くないが、誰でも分け隔てなく接することを常日頃から母親に言われ、アミ自身も誰とでも話すことを抵抗がなく、とりあえず田中に挨拶をすることにした。


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