第一話 白の少年
あるところに「アル」という少年がいた。
アルは白い目、白い髪、それに白い肌をしていた。
そのため村のものからは「ブランカス(白い)」
を略して「ブラン」と呼ばれていた。
ある朝、アルが村に買い物に行くと、
「やだ…またブランが来てる、にしても本当、気味の悪い色ね。」
「本当にね、何でこの街にいるのかしら、早くいなくなってほしいわ。」
などと言いながら村の人は家に入って行った。
アルはパン屋のところへ行くと、パンを五つ取りお金を置いて森の奥にある家へ戻って行った。
「ただいまー、」
アルは誰もいない家に向かって言った。一人の部屋はどこか寂しげだった。
だが、アルはそんな事気にせず黙々と料理を作った。
「アル、大好きよ。」
その日の夢でアルは母の夢を見た。アルのことが大好きで、とっても優しかった母の夢を、
次の日…
「よく寝たなぁ…もう母さんがいなくなってから一ヵ月か…」
そう、アルの母は、約一ヵ月前に亡くなってしまったのだ。
アルは少し、俯きかけていた顔を上げ母の部屋を見た。
「そういえば、母さんの部屋をまだ片付けてないなぁ、」
アルにとって母の部屋を片付けるという事は母の記憶を消し去るのと同じことなのだろう。
だが、いつまでもこのままではいけない、とアルも感じていたらしい。
アルは覚悟を決めて母の部屋に入って行った。
「うわぁ、汚いなぁ…」
そう言いながらアルが掃除をしていると、大きな棚からアルが一人入りそうな袋が落ちてきた。
「何だろ、これ?」
怪しがりながらそっと開けてみると…
そこには空色のバックと月の帽子、そして一通の手紙が入っていた。
その手紙には、母からアルに宛てた手紙だった。
アルはすぐ読む覚悟は出来ずその時は読まなかった。
その日の昼、アルは森の奥にある一つの墓の前にいた。
その墓は今は亡き母と、会った事はない父の墓だった。
「ねぇ、母さん?何で僕に手紙を書いたの?」
アルは墓の前で手紙を取り出し読み始めた。
「拝啓、私の大事なアルへ♡
アルがこの手紙を読んでるって事は私はもういないかしら?
小さな頃から私の言う事をしっかり聞いてくれたり、私の代わりに家事をしてくれたり、アルには沢山助けられたね、
もしかしたら、アルは私を残すのが嫌でこの村にずっといるかもなって思いました。
だけどアルには自分の人生を楽しんでほしいと思ってます。
それで、アルには旅に出てほしいなと思ったので空のバックと月帽子を入れておきます。よかったら使ってね。
あなたの事が大好きな母より、
P.S.これからの人生はアルの思い通りに楽しんでね。たまには帰って来てくれたら嬉しいな、」
この手紙を読んだアルの目からは涙が溢れていた。そして微かな声で
「ありがとう、母さん、本当にありがとう。」
と、呟いた。
次の日の朝、アルは旅に出た。もちろん、空色のバックを背負い月の帽子を被って、