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テーマ詩集:身体検査

胸に孕んで 胸を痛めて

作者: 歌川 詩季

 妊娠も、出産も経験ありません。

 からっぼの(かご)を目の前に積んで

 ハンドルを(にぎ)ってた あの頃のぼくだけど

 きみと出逢ってからは

 ちっぽけな金網が あふれそうなほどだよ

 ふらつきながらも 前に進むために

 ペダルを()いでいけたんだ


 欲望と境界線(さかいめ)()くした愛情で

 きみを()きしめられたら きっと どんなにか


 胸に(はら)んで(ふく)らませた想いだから

 きみとぼくのふたりだけと

 似ている 笑い顔うかべる

 胸を痛めて()みだしたことばだから

 きみとぼくのふたりだけを

 ()まれたての てのひらで(つな)げる



 詰めこんだ(かご)(うらや)んで ひとり

 ハンドルを(にぎ)ってた あの頃のぼくならば

 きみと出逢えるまでは

 張り裂けた金網じゃ こぼれていくきのうへ

 よろめきながらも あすをめざすために

 ペダルを()ぐしかなかった


 愛情と接合面(つなぎめ)の見えない欲望で

 きみと()きしめあえたら もっと どんなにも


 胸に(はら)んで(ふく)らませた想いだから

 きみとぼくのふたりだけに

 聞こえる 産声(うぶごえ)をあげる

 胸を痛めて()みだしたことばだから

 きみとぼくのふたりだけの

 ()まれつきに 面影を継いでる

「金網」と「金剛」が似ている!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人間の子供じゃないけれども、神社の境内で仔猫を拾った時を思い出しました。 自転車の前の金網の籠に載せて、家まで帰った記憶。 その猫は寿命が来てもう居ないけれども、紡いできた思い出は終わり…
2023/03/08 19:07 退会済み
管理
[良い点] >胸を痛めて誕うみだしたことば とても心に響きます♪ 言の葉が生まれる降りてくる前の、 焦燥にも似た想いが気持ちの中に溢れてくる。 読み終えてからそんな気持ちになりました(^ω^) …
[良い点]  「きみ」と出逢う前の「ぼく」と  「きみ」と出逢ったあとの「ぼく」に、  透き通った哀と愛の情を感じました。  >張り裂けた金網じゃ こぼれていくきのうへ   よろめきながらも あすを…
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