表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と闇のラプソディー  作者: 華ノ月
3/7

それぞれの想い


次の日、アールたちはその家に向かった。ライカも「一緒に行くわ」と言って付いて来たので全員でその家に向かった。家に着くと、その時は家に灯りは無かったのでアールたちは家のそばの茂みに身を潜めて隠れて待つことにした。しばらく隠れていると、足音が聞こえてきた。足音の感じでは一人ではなさそうだった。この近くに他の家は無いから、この家に向かっているのだろう。アールたちは息をひそめて、茂みから様子を伺っていると、影を捕えた。影は全部で三人分だった。そして、その影が姿を現した。三人ともフード付きのマントを頭から足先まで覆うように纏っていた。そして、ミットたちが住んでいた家の前に来ると、その内の一人が手慣れた手つきでドアの錠を開け、三人は中に入っていった。アールとレインが見つからないように窓の近くまで移動して中の様子をこっそりと伺った。三人はマントを脱いで着替えをしているところだった。着替え終わると、今日の盗みの収穫の話のようだった。アールはおそらくこの三人が光の国で起こっている出来事の犯人たちだろうと感じた。三人は話が終わると、またマントで体を覆って家を出ると、その場を去っていった。アールたちは三人の足音が完全に聞こえなくなってから、体を起き上がらせた。アールはライカたちにも先程のことを話し、ギンガたちが来たらここに直接案内しようという話をして、アールたちもそのばを離れた。屋敷の戻る道のりでアールはあることに頭で考えを悩ませていた。このことをギンガに伝えるのだが、本当にそれをしていいのか・・・・・・。しかし、アールは「これが真実なのだ」と思い、伝えることに決めた。ライカはそんなアールの様子に気付いたが、あえて何も言わなかった。


***


 その頃、光の国ではあれから毎日のようにギンガの元にビッキーたちが被害の報告をしていた。ギンガたちが闇の国から戻ってきて、次の日の朝早くにビッキーたちが訪れてどうなったかを聞いて来たので、「五日後にもう一度行くことになっている」と答えた。何か進展はあったかも聞かれたが、特に何もないことを伝えると、ビッキーたちは苦い表情をしたが、光の国の頭領に逆らえるわけでもなくビッキーたちは苦い表情のまま報告だけをすると、下がっていった。そんな状況のせいか、光の国ではある噂が広がっていた。噂の内容はギンガに対する不満だった。光の国の頭領でありながら何も解決できていないこと、なんとかすると口ばかりで解決する気が無いのではないのかと不満の声が溢れていた。噂の中には、これではこの国のただのお飾り頭領だという噂もあった。しかし、上下関係が厳しいこの国で、この話がギンガやカレン、側近たちの耳に入れば罰せられるかもしれないと思い、ギンガたちの耳には入らないように注意しながら噂を流していた。そんなことになっているとは知らずに、今日もギンガはシドと共に「謁見の間」でビッキーたちの報告を受けていた。ギンガもシドもガローもクレムも早く五日後の朝が来ることをただただ祈っていた。たった五日なのにその日にちがとても長く感じるような感覚だった。ビッキーたちの報告が終わり、部屋から下がり、その日のおおきな仕事は終った。そこへ、カレンが「お茶にしませんか?」と、誘ってくれたのでギンガたちはその誘いに応じた。部屋に戻り、カレンがハーブのお茶を用意してくれた。ギンガはソファーに腰掛け、お茶を飲んだ。すると、さっきまで強張っていた表情が和らいできた。

「・・・・・・カレンの淹れるこのお茶はとても気持ちが和むね。このお茶を飲むと気持ちが癒されるよ。こんなおいしいお茶をどこで知ったのだか・・・・・・」

 カレンは「内緒です」と言って優しく微笑んだ。ギンガは「・・・・・・やはり秘密か」と言うと、明日のことを話し始めた。

「明日は約束の日だ。私は明日また闇の国へ行き、何か分かったかを確認してくる。場合によっては犯人たちを連れて帰るだろう。犯人たちはしかるべき罰を受けてもらい、アール殿にはこれを機に闇の国の制度を厳しくするように伝えるつもりだ・・・・・・」

 ギンガは力強く言った。その言葉にカレンは何も言わずに頭をギンガの肩に乗せた。ギンガはカレンを優しく抱き締めると、優しく言葉を紡いだ。

「大丈夫だよ。悪い奴らは捕まえて、光の国にまた穏やかな日々が戻るようにしてくるよ。だから、カレンにはまたお茶を用意して待っていてくれ。帰ったら一番にこのお茶が飲みたくなるだろうからね」

 ギンガの言葉にカレンは答える代わりに頷いた。カレンがどこか辛そうとも悲しそうとも見える表情にギンガは「不安なのだろう」と思い、更に強く抱き締めた。

 

 ギンガやシドたち、そして、光の国の住人たちの想いが交差する中、ギンガたちが待ちに待った約束の日の朝が来た・・・・・・。

ついに来た、約束の日。

次からは事件の真相に入ります!!


次回更新予定

9月11日(日)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ