第96話 アマネ
風が吹いた
ジゼルの髪が又乱れた
乱れた髪が再び吹いた風に流され靡く
その姿はまるで絵画の様である。
「ジゼル、紅茶飲むか?」
「その‥‥ 流石に悪いです‥‥」
「遠慮すんな、それとも俺が淹れた紅茶は嫌か?」
「そんな事ありません、頂きます」
ん、素直で宜しい、まぁ飴で口の中が甘ったるくなってるだろうからな、口直しは必要だ。
日曜のあの日も今日と同じ様な陽気だった。
夏の暑さが終わり、一息ついた様な陽気で‥‥
世界が違うのに不思議である。
『おい遅いよ』
『いやお前な、待ち合わせの時間前に来てるのにヤカラ言うなよ』
『うっせーな、あっしは十分前に来てたんだぞ、とゆー訳で銀河が悪い』
『お前どんだけ楽しみにしてたんだよ‥‥ てか外で名前で呼ぶな』
『はぁ? 何で?』
『俺の名前は独特だから目立つんだよ、名前呼ばれたら皆振り向くんだ、まぁ俺が男前ってのもあるがな』
うん、キラキラネームっぽいからな。
それに時代がキラキラネームに寛容になっても、
やはり目立つ名前ではあるんだ。
てか中途半端なキラキラネームだから、
余計に目立つんだよな‥‥
どうせなら突き抜ければ逆に目立たないかも知れないが、中途半端だから結構振り向かれるんだ。
『なぁ、お前は軽口のつもりで言ってるんだろうけど、お前が言うと割と嫌味に聞こえるから止めといた方が良いぞ、まぁ名前はあっしは慣れたから気にならないけどそうだな、考えとく』
『嫌味ってのは顔か?』
『そう言う事にしといてやる、まぁ不細工じゃ無いしな』
『実際顔に関しては事実だからな、否定する方が嫌味に感じると思うんだけどなぁ、てか歳取ったらどうせ崩れるんだ今だけだよ』
『否定する美徳が無いのかよ、まぁ良いけど、てかお前は師匠似だからな歳取っても案外変わらないかもな』
『否定する方が余計嫌味になるんだよ、てか男は母親に似るし、女は父親に似るんだ、確かその傾向が強くなるらしいがな、それと俺は真の男前を見たから正直男前って言われてもなぁ‥‥』
『それ天使君だろ? あれは別格だよ、てかあっしらの年代ではむっちゃ有名だからな、あの子は整いすぎだ』
そうだよなぁ、神々しさすらあるからな、しかも強いし性格もかなり良い、男が惚れる男ではあるな。
本人は んーな事言われたら嫌がるだろうが。
コイツも初めてあの子を見た時に見とれて、
いや、唖然としてたからなぁ、余りの神々しさに。
修練者になって初めての対外試合が俺で、完膚無き迄やられて、てかついこの前の事だからな。
まぁ又やりましょうって約束したが‥‥
『てかお前あの子と比べる事自体どうかと思うぞ、弁えろ』
『分かってるわいそんなもん、俺はそこまで自意識過剰じゃねーよ』
『どうだか、まぁ良いやさっさと行くぞ銀河』
『だから名前を言うなや』
本当もう‥‥
ほ~ら振り向いて見て来る奴が何人も居る。
コールドアイアンはマイナス数十度に冷やされた鉄板の上で、アイスをこねこねして作る店である。
正直最初はそんなの美味いのか? そう思って居た。
一昨年この愛愛に新規オープンした時に初めて来たが、俺の常識を打ち破る程の美味さだった。
その後も何度も来たが本当に、
もっと早く行けば良かったと毎回思って居る。
ただ問題もある、
それは客に歌を歌うサービスがあると言う事だ。
問題、まぁ難点は男一人で行きにくいのと、歌を歌われる事だ、まぁそれが売りの一つでもあるし、歌は要りませんと言えば無しに出来る。
とは言え雰囲気的に男一人ではちょっとって空気がある、まぁ男一人で堂々と並ぶ剛の者も居るがな。
俺ももう少し歳を取れば出来る様になるかも知れないが、今はまだ躊躇いがある。
とは言えそれでも一人で行っちゃおうかな、
と思える位の美味さがある。
それだけの美味さがあり、良く女と行って居た。
実際この経験は後に役立つ事となる。
と言うのもアイスに対する興味が湧き、
色々とアイスの事を調べる様になった。
そして本格的に調べる事となる切っ掛けが、
天音と二人で行った事がある意味始まりだった。
アイツはアイスに一家言ある様で、一緒にコールドアイアンに行ってから俺に良くアイスについて語る事となる。
後に、まぁ転生してからアイスクリームを商売の一つとして販売するに当たり、大いに役立つ事となった。
思えばアイツとの関わりの中で得た事や知識は多い、アイスの事もその中の一つだ。
そして紐パンの知識を得たのもアイツからだし、
あの時の会話からだった。
『だからな、何回も言ってるけど紐パンは結構しっかりしてるからそんな簡単にずり落ちたりしないから、てかこの前も言ったけどコントかよ‥‥ 良いか、紐パンってのはな・・・・・・』
二人で紐パンの話をして居た俺達はかなり奇異に見えた事だろう。
だが実際アイツの話は後に役立つ事となる。
俺が得た知識はアイツ経由で聞いた事や、
話に興味を持ち調べる様になった事は多い。
転生後にかなり助かったなんてアイツに言ったら、
『あっしを吾が身奉れ、そして毎日毎日、女神天音様のお陰です、って言って感謝しろそして祈りを捧げろ』
間違いなくドヤ顔で俺に言うだろう。
それとも『良かった、役に立てて』と、
もしかしてそう言うかも知れない。
兎に角、紐パンは俺の手によりこの世界に出現する事となる。
最初に作られたモノは当初かなり不評であった。
と言うより穿く前から不評であったと言うべきか、
曰く、
『こんな横紐だけだと不安過ぎる』
『紐がほどけそう、そしてほどけて下に落ちそうでコレを身に付けるのはちょっと怖い』
『簡単に紐がほどけてしまうんじゃ無いか?』
『幾ら何でも布の面積が狭すぎる』
『夜の女でもこんな派手な下着は身に付け無い』
『単純に派手過ぎるし、余りにもふしだら過ぎる形をしている』
等々と穿く前から散々だった。
まぁシドの嫁のメリルは
『賃金貰うから穿くけど、穿くけど‥‥』
と、かなりしぶしぶであったが了承し、テスターとなった。
従業員の女性達もバイト代を弾むからと、
何とか納得させ了承させたが、母がごねた。
曰く、
『こんなはしたない下着はちょっと‥‥』だの
『落ちるか、ほどけるかしそうで嫌』と‥‥
まぁ俺が可愛く可愛くおねだりをして、
最終的には何とか了承させた。
因みに我が姉妹達もテスターとなった。
最初は子供だからと除外し、
紐パンテスターの数に入れて無かった。
だが私達もやりたいだの、
ズルいだのとゴネたので仕方無く加える事にした。
皆に試して貰った結果、評価は上々であった。
寧ろ絶賛された、特にシドの嫁のメリルが大絶賛であった。
曰く、
『これなら金を出してでも欲しい』と。
思っていた以上にしっかりして居るし、
何より穿き心地がとても良いらしい。
それにかなり楽で良い、それに気分が上がるとの事だ。
この分だともう一人出来るかもと、余計な事を言い、シドが顔を覆って居たのが印象的だった。
まぁその上で問題点を洗い出し改良し、何度か試作品を作り、その度に皆にテストして貰い完成した。
そしてただ売り出すのもいまいち芸が無いと思い、
キャッチコピーを付ける事にした。
『女には大胆になる時がある』
『女の為の大胆な鎧』
『母から女に戻る時』
このキャッチコピーが受けて飛ぶ様に売れた。
デザインも良かったのか、かなり評判になった。
まぁ俺がデザインしたんだがな。
前世で見たモノのパクりであったり、こんなデザインあったなと思い出したりして制作した。
そして紐パンは貴族や富裕層だけで無く、
他の階層の女性にも売れた。
特に夜のお姉さん達には爆発的に売れた。
その内、夜のお姉さん達が働く組合から要請があり、曰く、自分達用のを新たに作って欲しいと言われた。
なので了解したが、こちらから条件を出した。
出した条件は店の女達に、客の男に紐パンをプレゼントさせる様にねだる事を指導するである。
ある程度の流れを作ってくれたらこちらで何とかするから、その様に指導する様に言った。
そしてその条件を組合は飲んだ。
まぁ組合も店も、店の女も誰も損は無い話だ。
寧ろ得しかない、組合の奴等は笑って居た。
考えた物だと、後は怖い子だとも言われたが、俺は見た目こそ子供だが中身は一応大人だからな。
まぁ夜のお姉さん組合と繋がりが出来た事は、
後々役立つ事となったがまぁそれは別の話だ。
そして俺は更なる売上増の為、ある流れを作る事にした。
それは結婚する女性の為のプレゼントにする事だ。
結婚する友人の為に友人達が金を出しあい、
紐パンを贈ると言うのが女性達の間で流行る事となる。
現在帝国ではそれは流行では無く、
当たり前の事として定着して居る。
この村でも結婚する時に紐パンを受け取ったと言う女衆も多い。
あのロリババアの領地でもその風習は、
定着して居ると言って居た。
そう、帝国では結婚する女性の友人達が紐パンを贈ると言うのは、風習と言える迄になって居る。
残念ながら既に我が商会、まぁ俺の独占販売では無い、だがそれは売り出した商品に魅力が無いからでは無い、今でも笑いが止まらん位に売れている、まぁ単純に生産が追い付かないのと、需要に供給が追い付いていないだけだ、他の商会も真似して売り出して居るが当然我が商会が人気No.1なのは揺るがない。
俺がデザインしてる商品は女心をくすぐるらしく、
売上が他の商会とは比べ物になら無い位ある。
この世界は著作権何て御立派な物が無いのでパクり放題だが、所詮はパクりだ。
ウチが販売した商品のデザインをパクっているので、結局は他の商会は二番煎じでしかない。
最新のモノがいち早く欲しければウチから買うと言うのが女性達の、少なくとも帝都の女性達の常識となっている。
アイツから聞いた話は俺にとって有益な物ばかりだった、アイツとの関わりで得た知識や興味は転生してから役に立つ事ばかりだ。
パンツ関係だけでも莫大な利益を得た。
転生してから俺の力に、金になる物ばかりだ。
アイツ‥‥ 天音は何て言うんだろうな?
『紐パンの話をして良かっただろ?』
そんな何気無い面白味の無い事でも言うんだろか?
もう二度と聞く事が無いあの声で何を言うんだろうか?
紐パンのブランド名がアマネって聞いたらアイツは何て言うんだろうな‥‥
「天音・・・」
「あの守長、何か言いましたか?」
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